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「コロナのおかげで店が空いている」知らないうちに周囲を失望させる言葉遣い

プレジデントオンライン / 2021年2月1日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/g-stockstudio

あなたの言葉遣いは、知らず知らずのうちに周りの人を失望させているかもしれない。イメージコンサルタントの吉原珠央氏は「例えば、『コロナのおかげで、お店が空いていてラッキー!』というコメントは不適切だろう」という――。

※本稿は、吉原珠央『その言い方は「失礼」です!』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

■同じ言動でも気になる人と見過ごす人がいる

あなたは、この1週間で誰かの言動について、「失礼だな」「がっかりした」などと思ったことはありましたか?

私には、すぐに思い出せることだけでも3回はあります。

・買い物で支払いが済むと、店員が目も合わせずに、片手でクレジットカードを返してきた
・私が乗車して降りるまでに発したタクシーの運転手の言葉が「740円」だけだった
・満員のエレベーターで私が「開」のボタンを最後まで押していたが、全員が我先にと無言で降りていった
・知らない人のSNSで「コロナのおかげで、お店が空いていてラッキー!」という、目を疑うコメントを見た

こうして書いていると、私自身が小さいことを気にするタイプで、さらには恩着せがましい人に見えるかもしれません。

きっと、それは少なからず当たっています。

私自身は、人から「細かい」と思われても気になりませんし、度量が小さいことを自覚しています。

そんな度量の小ささを、開き直っているといいたいわけではありません。

大事なのは、失礼だと思うことを平然とし続けている人たちに出会ってしまったときに、「自分の感覚とは違うのだ」と冷静に受け止めて、そこで覚えた違和感に、どのように対処していくかということを伝えたいのです。

特に先程の例で傍線を引いた箇所は、見過ごしてしまう人もいますし、特に気にならない人もいるであろう、「かすか」なことです。

■失礼な言動の対処法を吟味すると、冷静に人や社会と向き合える

あのときのタクシー運転手の方は、たまたま虫の居所が悪かっただけかもしれませんし、過ぎ去ってみればとるに足りないようなことなので、私自身、相手の顔や声すら、すでに忘れています。

失望
写真=iStock.com/skynesher
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skynesher

ただ、いわれたこと、されたことから抱いた、かすかな違和感だけは、どうしても腑(ふ)に落ちないまま未だに気になってしまうことがあります。

すでに感染によって亡くなっている方や治療中の方、仕事を失った方もいるという重な局面において、「コロナのおかげ」というのは、あまりにも心ない言葉だといわざるをえません。

私のように日頃から人の言動に、「何か失礼だ」「がっかりするな」と敏感に反応する人たちは、単に細かくていつもイライラしているわけではなく、自分も失礼なことを他人にしているかもしれないと振り返る機会があると捉えています。

失礼なことをされたときの対処法を吟味することで、イライラや怒りに翻弄(ほんろう)されず、「こういうふうに考えればいいだけのこと」などと、冷静に人や社会と向き合えるというメリットもあります。

それによって、仕事もプライベートも機嫌よく過ごせますし、失礼なことをいわれたり、されたとしても、感情の浮き沈みに惑わされない「強いマインド」を持てるようにもなります。

この「かすかな違和感」というのは、人と接したときに感じるモヤモヤやイライラのことをいいます。

■自問自答は「かすかな」あるいは「明確な違和感」を抱いている証拠

誰かに何かをいわれたり、されたときに「それっておかしくない?」「これはよいことなのか?」「今、私傷ついたよね?」「これって笑えることなのか?」「これは聞き流してよいこと?」などと頭の中で自問自答が始まったら、それは間違いなく「かすかな」あるいは「明確な違和感」といえます。

〈身近な事例〉

・ファミリーレストランで注文するとき、「和風ハンバーグ」とだけいう人

(違和感ポイント)
なぜ、「お願いします」と一言付け加えないのだろう。

・注文から20分以上も経ってハンバーグを運んできた店員が、無表情で「ご注文は以上ですね」とだけいって去ったとき、そんな店員に対して「だからバイトってダメだよね」などという人

(違和感ポイント)
なぜ、店員は「お待たせして申し訳ございませんでした」と謝らないのだろう。店員も礼儀を知らないが、その本人の態度の問題であって、アルバイトをしている人全員を指して「だからバイトって……」という言い方はおかしい。

・歩道に広がってゆっくり歩いているため、道が塞がっているのに、誰も後ろに人がいることに気づかない

(違和感ポイント)
横を向いて話している人の視界には、後ろを歩く人が入っているはずなのに、なぜ「あっ、ごめんなさい」といって道を空けないのだろう。それをすることで、お互いが気分よく感じられるのに。

「ありがとう」「お願いします」「ごめんなさい」といった基本的な言葉が出ない人や、一つの出来事で短絡的に「○○な人は全員ダメ」と口にする人がいると、そういう人たちに対して、私は違和感を覚えます。

■「かすかな違和感」は無視しようとすればするほど気になってしまう

旅行したあなたが、「昨日お渡ししたお土産、お口に合ったかしら?」と友人に聞いたときに、「あっ、忘れてた」と答えられたら、少しムッとしませんか?

うっかり忘れてしまうことはありますが、せめて、「あっ、ごめんなさい! 大事に味わいたくて、今夜ゆっくりと贅沢な気分で頂く予定なので、ぜひまた感想を伝えさせてね!」などといってくれたら、途端に嬉しくなります。

社会生活を営んでいる以上、家族も含めた他者に対して覚える違和感を気にしないように我慢し、努力されている方もいらっしゃるかと思います。

また、相手のことをおおらかに受け止め、感情的にならず、すべてを丸く収めることができればスマートですが、私のように「かすかな違和感」は無視しようとすればするほど、気になってしまうものです。

そこで、かすかな違和感は「失礼なことである」と自分の中で認識し、客観視することができれば、冷静になれますし、その状況をコミカルに捉えることさえできるのです。

■相手の「失礼」は自分を磨くヒントになる

あるとき、私の会社で運営する化粧品を愛用してくれている友人と、お喋りをしていたときのことです。

たまたま、その場に居合わせた別の女性が突然、「なんで、みんなすぐに化粧品ビジネスに走りたがるの? そんなに儲かるの?」といいました。

私がまだ、他人の失礼な言動に対して瞬時に判断できなかった20代の頃でしたら、女性が発した言葉に対して、「なんて失礼なことをいうのだろう! 信じられない!!」と頭にきてしまい、彼女を避けるような態度をとったでしょう。

そもそも、彼女の発言の中にある、「みんな」や「すぐに」の定義も不明ですから、真に受けて反応する必要のないことは明らかです。

また、「したがる」という表現は、欲を貪(むさぼ)るような意味も含みますから、そのような言葉をためらいもなく発してしまう女性の品性すら疑ってしまいました。

私は彼女の言葉に対して否定も肯定もせず、「儲かっている人たちは、きっとすごく努力されているんだろうね。私の会社は、全然まだまだだけどね」というと、彼女は「ふーん」といって沈黙。その後は、もともと私とお喋りをしていた友人が別の話題に移すなど、機転を利かせてくれました。

そのおかげもあって、「なんで、みんなすぐに化粧品ビジネスに~」といった女性の作った、違和感だらけの空気は正常に戻っていきました。

違和感を覚える人に出会ってしまっても、たまたまそのときの言動が目についただけの場合もありますから、たった一つの違和感によって、相手を「嫌い」「付き合いたくない」などと判断する必要はないかもしれません。

ですから焦点を当てるべきは、「違和感を覚えた相手」ではなく、「自分が感じた違和感」だけでいいのです。

生活の中で感じる「違和感の正体」を放置せず、その原因を突き止めたら、「私は自分の価値観に自信を持っていればいいだけのこと」と考え、振る舞うことが、私の目指したい在り方です。

違和感を覚えても、やたらと作り笑いをしたり、どのように反応したらよいのかわからずにうろたえたり、または感情的になったりする必要はありません。

かすかな違和感にしっかり向き合い、自身の言動を磨くヒントを一つずつ増やしていきましょう。

■違和感を明確にしておけば、大切にしている価値観を守れる

「この人は失礼だ」「話していることが明らかにおかしい」「かなり極端な考え方だな」といった違和感を覚えたら、「うんうん、この人は自分とは違う感覚を持っているのだ」と頭の中で明確に振り分けられれば、平常心で対処しやすくなります。

そして、違和感を認めるには、自分の中で「違和感チェックリスト」のような項目を予(あらかじ)め立てておくことをおすすめします。私の場合は以下のようなものです。

〈他人の言動に関する「違和感」チェックリスト〉
・誰かが傷つく内容か?
・相手からの敵意を感じる内容か?
・相手の敬意を感じられるか?
・自信を持って人にも話せる内容か?
・自分の気分がよいか?

会話の中で、「いやいや、あの人は悪い人ではない」「今回はたまたまだ」「私のメンタルが弱いからなのか」「私の心が狭いだけなのか」などと無理やり思い込もうとすると、結局は自分の本心や相手の本質を見落とすことに繫がるのではないでしょうか。

私がおすすめしたいのは、相手からの言動に違和感を覚えたら、「あの言い方で、私は確実に傷ついた」「あの態度は、○○さんに対して失礼だ」などと、いったん判断する癖をつけることです。

違和感を明確にしておけば、あなた自身が大切にしている価値観を守れますし、相手とある程度の距離感を保ちながら付き合うことで、ストレスを軽減できるからです。

■考え方をほんの少し変えるだけで、ストレスフリーに会話ができる

このように「この人の態度は失礼だけど、仕事のアイディア力は素晴らしい。気をつけながら付き合えば大丈夫だ」「この人は自分の非を認めず、絶対に謝らないところがあるけれど、要望を伝えるとその通りにやってくれる人だ」などと相手から感じるストレスと相手の持つ長所を見極めながら、付き合っていくこともできるのです。

吉原珠央『その言い方は「失礼」です!』(幻冬舎新書)
吉原珠央『その言い方は「失礼」です!』(幻冬舎新書)

プライベートであれば、話していて違和感だらけの人とは縁を切ることもできるかもしれませんが、仕事となれば、ばっさりと縁を切れないこともあるでしょう。

失礼な言動というのは、「そのとき、たまたま出た」というよりは、その人の人柄や考え方の一部が露呈したケースが多いことは否めません。

ですから相手から受ける違和感をうまく処理しながら付き合っていくという発想こそが、心穏やかに生きていく秘訣なのではないでしょうか。

私たちは、考え方をほんの少し変えるだけで、もっとストレスフリーに会話ができますし、自分らしく堂々と人付き合いを楽しむことができるのです!

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吉原 珠央(よしはら・たまお)
イメージコンサルタント
プレゼンテーション、コミュニケーションをメインにしたコンサルティングを行うほか、「体感して学ぶ」というオリジナルのメソッドで企業向け研修や講演活動を全国で実施。また「ストレスフリー」をコンセプトにした化粧品、ファッションアイテムなどを扱う『PURA Tokyo』を立ち上げ、会社を経営。著書に『「また会いたい」と思われる人の38のルール』『「もっと話したい!」と思われる人の44のルール』『人とモノを自由に選べるようになる本』『自分のことは話すな』(すべて幻冬舎)、『パワーウーマンのつくり方』『「選ばれる女性」のシンプルな習慣40』(宝島社)、『シンプルだけど心にひびく大人の気くばり』(三笠書房)がある。

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(イメージコンサルタント 吉原 珠央)

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