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「大したことじゃないんだけど…」嫌われる人が無意識に発している余計な言葉

プレジデントオンライン / 2021年2月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pheelings Media

頼みごとを快く引き受けてもらえる人と、嫌な顔をされる人は、どこが違うのか。イメージコンサルタントの吉原珠央氏は「頼み方が下手な人は、無意識に相手を不快にさせている。頼み方には怖いくらいに本性が出る」という――。

※本稿は、吉原珠央『その言い方は「失礼」です!』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

■最初に情報を与えない頼みごとは時間泥棒

あなたは、ごく最近、誰にどのような頼みごとをされましたか? また、誰かに何かを頼みましたか?

仕事やプライベートで簡単に引き受けられることもあれば、少々骨の折れる作業であったり、時間がかかる依頼など、様々なやりとりが日常的に起こっているはずです。

そんな中、人から何かを頼まれたとき、相手の言葉一つで「この人のためなら、できることは何でもしてあげたい!」と思ったことはありませんか。

身近な例でいえば、街頭でのティッシュ配りの方が、笑顔であなたの目を見ながら、「よろしければ、ぜひお使いください!」といってティッシュを差し出したとしましょう。

怖い表情で無言のまま、無理やりティッシュを渡そうとする人よりも、「よろしければ!」という人からのほうが、ティッシュを受け取りやすくなります。

頼み方のちょっとした違いで、私たちの行動が大きく変わることがあるのです。

私がよく頼まれることでいえば、「六本木で美味しい和食のお店を教えてほしい」など、お店の情報を知人からメールで聞かれることです。

誰にでも経験のあるような、ありふれた頼みごとに見えますが、実は相手の頼み方によっては、頼まれた側がかなりの時間を割くことになってしまいます。

そのときの知人からのメールには、どんな人が食事をするのか、人数、時期、食事の目的、予算、好き嫌いやアレルギー、好みの雰囲気、和食の中でも蕎麦やすき焼き、寿司なのかなどの情報が一切ありませんでした。

そこで、情報を入手しようとメールをし、相手からの返信を待って確認するといったやりとりが始まります。

結果的に、最初にメールを受け取ってから、三つのレストランに絞り込んで知人に紹介するまで、メールのやりとりは10回以上になってしまいました。

せっかく私を頼りにして質問をしてくれたのですから、少しでも有益な情報を相手に提供したいとの思いは変わりませんでしたが、なんだかぐったりしてしまったことを覚えています。

人に頼みごとをするときには、相手が考えやすいよう、必要最低限の情報を最初に簡潔に提示したほうが、依頼された側としてはとても助かるものなのです。

■頼みごとは「する側もされる側も、礼儀と謙虚さがあってこそ」

人間関係というのは義理と人情で成り立っていると、私は考えています。

幸せな女性
写真=iStock.com/AntonioGuillem
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AntonioGuillem

必要な情報が過不足なく書かれ、なおかつ丁寧で謙虚な文面であれば、頼まれた側も「頑張って力になろう!」という気持ちになるはずです。

相手に手間をとらせないよう、予め情報を明確に伝える丁寧さと、「お忙しい中、本当に恐縮なのですが、○○さんのような経験豊かな方に、ぜひ伺いたいことがあるのです……」などといった謙虚な頼み方ができれば、「一肌脱いであげたい」と多くの人が張り切って、あなたの依頼を引き受けてくれるはずです。

一方で、仮に何か頼まれて、それを果たせる自信がないのであれば、はっきりと断ることも親切というものではないでしょうか。

というのも、「いいですよ」と安請け合いしてから、結局、中途半端に終わってしまうなどといった場合、相手と自分の時間が無駄になってしまいます。

さらにはその後、相手の方は新たに引き受けてくれる人を探さなくてはなりません。

そこで依頼を受けるに当たっては、ご自身の中で揺るぎないポリシーを持つことをおすすめします。

ちなみに、私のポリシーは次のようなことです。

〈人から頼まれ事をしたときのポリシー〉
①その相手のために最後までやり遂げられる覚悟があるか考える
②自分にできることの範囲と期間を明確にする
③不安があるときは一日、考える時間をもらう
④相手の頼み方で違和感を覚えた場合は断る
⑤引き受ける場合も断る場合も、丁寧に伝える

さあ、あなたのポリシーも具体的に考えてみませんか。

頼みごとは、する側も、される側も、礼儀と謙虚さがあってこそ、なのです!

■筆者が後味の悪い思いをした「父の無礼な頼み方」

「頼み方」といえば、身内の恥ずかしい話になるのですが、私の父の頼み方はつっこみどころが満載です。

父は地域の英会話サークルに入っていて、自分の好きな本の一部や、自分が書いたスピーチ原稿などがあると、「大した量じゃないんだけど、ちょっとお願いがあって。イギリス人の先生に読んでほしい原稿があるから、明日までに英語に訳してくれない?」と突然、私に連絡をしてくるのです。

毎回、A4判の用紙1~2枚に、7割は解読不能な文字がぎっしりと書かれていたりします。

育ててくれた父親とはいえ、「大した量じゃないんだけど……」という前置きにも、「ええ! 相当な量なんだけど……」と言い返したくなってしまいます。

父は英会話力を身につけたくて英会話サークルに通っていますが、翻訳を私に任せてしまっては英語の勉強にならず、目的と行動が矛盾しています(笑)。

そもそも、私の英訳のレベルを勘違いしている気がするのですが、「期限が明日って! お父さんの文字はなかなか解読できないから、余計に時間がかかるんだよ。悪いけど、私も毎日結構、忙しいんだよ。翻訳アプリもあるから、調べて使ってみたら?」といって断ると、「難しいことを頼んでいるわけでもないのに、たまちゃんは心が狭いな。こんな簡単な頼みごとを『いいよ、お父さん!』って引き受けられないなんて」などと電話を切られ、後味の悪い思いをすることがあります。

■人に頼みごとをする前には5秒間でも考える時間を

父のことを悪くいうつもりはありません。また父には、私が小さい頃から何事にも弱音を吐かず、愚痴も言わないような尊敬できる面もあります。

母が数年前に他界した後、心にぽっかりと穴が空いたにもかかわらず、生活のために相変わらず忙しく働きながら、趣味の水泳に没頭し、英会話サークルにも通い始めた父の姿には、たくましさすら感じています。

それに「明日までに」「今すぐやってよ」といった頼みごとは、家族だからこそできるわけで、父が家族以外の人たちに対してもこのような失礼な頼み方をしているわけではないことはわかっています。

ただ、父と娘という関係であっても、社会人になれば、それぞれの生活のリズムや事情があることを少しは考えてほしいのです。

命に関わることを除き、相手に準備や時間、労力を割かせてしまうような頼みごとについては、行動を起こす前に、5秒間でも考える時間を持ってみるとよいのではないでしょうか。

■頼み方には怖いくらいに本性が出る

頼み方には、怖いくらいに本性が出ます。

「このくらいのこと、簡単じゃないか」「大したことじゃないんだから」「やってくれて当然だ」という本心がみえみえで、相手の状況も労力も一切、気にしないような頼み方では、いくら身内であっても、寝る時間を削ってまで引き受けようとは思いません。

他人であれば、なおさらです。

社内で経理部社員に聞きたいことがあったり、プレゼン資料を頼んでいた部下に追加の情報を加えてほしいときは、「月末でいつも以上に忙しいところ、本当に申し訳ないのですが……」「きっと今、手一杯だよね。そんなときに恐縮なんだけど……」などと労(ねぎら)いの言葉を加えることは必須です。

「これ、やっておいて」といわれるのと、「お昼休みの直前になってしまって本当に申し訳ないけれど、データ入力だけ今、お願いできないかな?」といわれるのとでは、印象が全く違いませんか?

仕事ですから、頼み方が横柄だからといって断ることはできないにしても、後者のように「申し訳ない」という気持ちを込められたほうが、頼まれた側としては、だいぶ気分よく作業にとりかかれます。

私たちの脳は、感情が安定しているほうが集中力を高められるので、いい頼み方をするほうが双方にとってメリットが大きいのです。

■「図々しい人」と「丁寧な頼み方ができる人」の差

念のためですが、頼み方を丁寧にすれば、相手にいつ何を頼んでも失礼ではない、ということではありません。

吉原珠央『その言い方は「失礼」です!』(幻冬舎新書)
吉原珠央『その言い方は「失礼」です!』(幻冬舎新書)

特に、社内の繁忙期や昼休みが始まる直前、終業時間間際、病み上がりの人へのお願いなどに関しては、タイミングをよくよく考えた上で行いたいですよね。

どんな状況であっても、「1分でできる簡単な作業だから、パパッとやっておいて」などと、昼休みや退社時間の1分前に人に頼むようなことは避けましょう。

友人同士であっても、「○○さんの連絡先、教えて」「この間、一緒に行った焼肉屋さんの営業時間教えて?」などと用件だけのメッセージを時間に関係なく唐突に送る人は、想像力が欠けているといわざるをえません。

「お忙しいところ申し訳ないのですが」「お疲れのところ、ごめんね」「お手数をおかけしてしまうのだけど……」などと相手に敬意を払う一言を加えるだけで、「図々しい人」から、「丁寧な頼み方ができる人」になれるのです。

■頼みごとを聞いてもらった後の感謝も忘れずに

また、誰かがあなたの頼みごとを聞いてくれた後も、メールやSNSを活用して、「とても助かりました」「ありがとうございました」といった感謝のフォローは必要です。

その後、本人に会ったときは、「先日は中川さんの連絡先をすぐに教えてくれて、本当にありがとうございました!」などとお礼を直接伝えれば、義理堅く礼節を重んじる人として、相手はきっと「何かあったら、またいつでもどうぞ!」という気持ちになるはずです。

ちなみに、父に「『頼み方に本性が出る』という項目で、お父さんのこと書かせてもらったよ」と電話で話したところ、「はっはっは。まさにその通りだね!」と明るく笑っていました。

現在は、英語の得意な親戚に翻訳を丁重にお願いし、快く引き受けてもらっているそうで、心ばかりのお礼をさせてもらったそうです。

心の狭い私が翻訳を断ったがために、父のことを手伝ってくれることになった親戚には申し訳ないやらありがたいやらですが、父は頼み方には気をつけていると話していたので、少しホッとしています。

果たして、この先、父の英語力は磨かれていくのでしょうか!?

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吉原 珠央(よしはら・たまお)
イメージコンサルタント
プレゼンテーション、コミュニケーションをメインにしたコンサルティングを行うほか、「体感して学ぶ」というオリジナルのメソッドで企業向け研修や講演活動を全国で実施。また「ストレスフリー」をコンセプトにした化粧品、ファッションアイテムなどを扱う『PURA Tokyo』を立ち上げ、会社を経営。著書に『「また会いたい」と思われる人の38のルール』『「もっと話したい!」と思われる人の44のルール』『人とモノを自由に選べるようになる本』『自分のことは話すな』(すべて幻冬舎)、『パワーウーマンのつくり方』『「選ばれる女性」のシンプルな習慣40』(宝島社)、『シンプルだけど心にひびく大人の気くばり』(三笠書房)がある。

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(イメージコンサルタント 吉原 珠央)

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