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「寝る前のホットミルクは逆効果」寝ても疲れが取れない人がやっているNG習慣

プレジデントオンライン / 2021年2月5日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Albina Gavrilovic

質の良い睡眠をとって免疫力を高めるにはどうすればいいのか。管理栄養士の森由香子氏は「寝る前の飲み物選びが大切だ。例えば、ホットミルクは睡眠の質を低下させるので避けるべきだ」という――。

※本稿は、森由香子『免疫力は食事が9割』(青春新書)の一部を再編集したものです。

■睡眠時間が短いと風邪にかかりやすい

免疫力を高めるために、質の良い睡眠をしっかりとる必要があることは、改めて言うまでもないでしょう。

私たちは、睡眠中、日中の活動で疲れた脳とからだを休め、健康維持に欠かせないさまざまなホルモンを分泌し、傷ついた細胞を修復しています。睡眠の質や時間が十分でないと、からだの組織はどんどん疲れ、免疫力は低下してしまいます。

実際、睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上の人に比べて、約3倍も風邪にかかりやすかったとか、眠りの質が良い人ほど、風邪の発症率が低下していたなど、睡眠と免疫の密接な関係を裏付ける報告がいろいろあります。

問題は、どうすれば質の良い睡眠をとれるかですが、実はここに、食事や飲み物が大きくかかわっています。

睡眠に影響を与えてしまう飲み物といえば、コーヒーを思い浮かべる方は多いでしょう。確かに、コーヒーや紅茶、お茶などに含まれているカフェインは覚醒作用があるため、夜飲むと、眠れなくなる可能性があります。

でも、実はもうひとつ、睡眠のために注意しなくてはならない飲み物があります。ビール、日本酒、ワイン、ウイスキーなどのアルコール飲料です。

■お酒は睡眠の途中で目が覚める原因になってしまう

皆さん、「お酒を飲むと眠くなるじゃないか」と、思われるかもしれません。

ストレス
写真=iStock.com/HbrH
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/HbrH

確かに、アルコールには入眠作用があるので、最初は眠くなります。でも、睡眠の後半になると今度は逆に作用し、途中で目が覚めたり、朝早く目が覚めたりする原因になるのです。さらに、利尿作用もあるため、膀胱が尿でいっぱいになり、眠りを妨げることもあります。

そうは言っても、ひと仕事終えた夜やリラックスタイムにお酒を飲みたくなる人は少なくないはずです。

そこで、そんなお酒好きの方に、耳寄りな情報をお伝えしておきましょう。実は、お酒を飲む前に、「にごり酢」を飲んでおくだけで、アルコールの分解を早めることが期待できると考えられるのです。

にごり酢とは、伝統的な製法でつくった、ろ過していないお酢のこと。その健康効果が注目され、ネットなどで人気の商品となっています。

もともと、人がアルコールを飲むと、胃や小腸から吸収されて血中に溶け込み、肝臓にたどり着きます。そこで、肝臓にあるアルコール分解酵素によって分解され、尿となって体外に排出されます。

しかし、肝臓がワイン1杯のアルコールを分解するのに2時間かかるという研究もあり、アルコールの分解は肝臓の大きな負担になっていることは確かです。

■飲酒前のにごり酢がアルコールの分解を早める

そんなとき、肝臓の強い味方になってくれるのがにごり酢です。

にごり酢には、最近話題の成分である、酢酸菌が含まれています。

酢酸菌とは、アルコールを分解してお酢をつくる菌で、ナタデココや、特定のヨーグルトなどに含まれている、細菌の一種です。

飲酒前ににごり酢を飲んでおくと、体内に吸収される前の一部のアルコールを、胃に届いた酢酸菌が分解してくれると考えられるのです。

つまり、胃に酢酸菌があると、肝臓への負担も少なくて済む可能性があるわけです。

にごり酢はそのままでは酸っぱいので、大さじ1杯を水や炭酸水などに溶かして飲んでもよいでしょう。

飲んだお酒の一部をなかったことにしてくれるのなら、こんなにうれしい話はありません。

ただし、酢酸菌がすべてのアルコールを帳消しにしてくれるわけではありません。

そもそも、アルコールは、免疫力維持のためにも、あくまで適量が鉄則です。にごり酢を飲みはじめたからといって、お酒の飲みすぎにはくれぐれもご注意ください。

■お風呂上がりの牛乳は、睡眠の面からも理にかなっていた

温泉旅館やお風呂屋さんに行ったとき、ひと風呂浴びたあとに飲むものといえば、やはり牛乳ではないでしょうか。冷たい瓶入りの牛乳は、お風呂上がりに飲むと、いつも以上においしく感じるものです。

最近は銭湯も減って、お風呂上がりに牛乳を飲む人は少なくなってしまったかもしれませんが、実はこれは、睡眠の質を上げる、なかなか良い習慣です。あまりよく眠れていないと感じる方は、自宅でもお風呂上がりに実行してみてください。

理由は、牛乳にトリプトファンをはじめ、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸が豊富に含まれているから。これらは、睡眠ホルモンであるメラトニンの大事な原料になる成分です。

そもそもたんぱく質は、免疫力をアップさせるために、もっとも重要な栄養のひとつです。

体内のたんぱく質が足りなくなると、ウイルスなど病原体を殺すはたらきを持つナチュラルキラー細胞・通称NK細胞や、抗体が減少してしまいます。

新型コロナウイルスの流行で、よく耳にするようになった「抗体」とは、免疫ブログリンと呼ばれるたんぱく質で、体内に入り込んだ病原体から私たちを守るためにつくられるものです。“一度はしかにかかると体内で抗体ができるので、もうはしかにはかからない”という話は、皆さんもご存じでしょう。

ですから私たちは、免疫力を保つためにも、積極的にたんぱく質を摂取する必要があるのです。

その点、牛乳は、9つある必須アミノ酸のすべてを含んでいる、優れたたんぱく源。免疫力アップにぴったりの牛乳を毎日飲んで、しっかりたんぱく質を補給していきましょう。

■メラトニンの抗酸化力はビタミンよりもはるかに高い

トリプトファンなどのアミノ酸をたくさんとったほうが良い理由は、睡眠の質が上がるからだけではありません。

睡眠ホルモンとして有名なメラトニンは、抗酸化作用が非常に強く、私たちのからだを老化や病気から守るはたらきもしているからです。

抗酸化作用とは、文字通り、酸化作用に抗う作用で、つまり、私たちのからだが酸化する(サビる)のを防ぐ作用のことです。

私たちの体内には、普通に生活しているだけで、活性酸素という物質が生まれています。これは、普段は病原体などから私たちを守るはたらきをしてくれているものですが、量が増えすぎると、私たちのからだの組織にもダメージを与えてしまうものでもあります。

抗酸化作用がある成分として有名なものに、ビタミンCやビタミンEなどがありますが、メラトニンの抗酸化力は、ビタミンよりもはるかに高いといわれており、免疫力アップの強力な味方になり得るのです。

そして、メラトニンの材料であるトリプトファンを含んだ食品の代表が、牛乳です。ですから、睡眠と免疫力のために、毎日牛乳を飲むことが大切なのは確かです。

でも、ここでひとつ注意していただきたいことがあります。

■寝る前のホットミルクは睡眠の質を低下させる

よく、寝る前にホットミルクを飲むとよく眠れるといわれていますが、実はこれは、あまりおすすめできません。意外に思われる方も多いと思いますが、理由は大きく2つあります。

森由香子『免疫力は食事が9割』(青春新書)
森由香子『免疫力は食事が9割』(青春新書)

まず、時間の問題です。メラトニンは、朝の光を浴びて14~16時間くらい経過して暗くなると分泌されます。7時に朝の光を浴びて朝食を食べたとすれば、だいたい夜の9時から11時です。牛乳から摂取したトリプトファンがメラトニンになるまでにはそれなりに時間が必要なので、寝る直前では間に合わないのです。

もう1つの問題が、牛乳には脂質や糖質も含まれていることです。これらの成分が胃の中にあると、睡眠中も消化器のはたらきを誘発し、からだの機能が目覚めてしまう可能性があるのです。寝る前に牛乳を飲むことにより、質の良い睡眠を得るどころか、かえって眠りの質を低下させてしまうことになりかねません。

実際には、ホットミルクを飲むと、内臓の温度がいったん上がります。眠気は、一度上がった体温が下がっていくときに出現するので、ホットミルクを飲んだあと、しばらくすると眠くなる可能性はあるにはあります。

しかし、先ほど述べた通り、牛乳をおなかに入れてしまったことで、からだが熟睡できなくなる可能性は否定できませんし、どうせなら、就寝時間頃に分泌されるメラトニンの原料になるように、早めに飲んだほうが得策です。

ですから牛乳は、毎日、日中のうちに、せめて夕方には飲んで、質の良い眠りと免疫力アップに役立てるようにしましょう。

■緑茶をぬるめの湯で淹れるだけで睡眠の質が上がる

抗酸化作用をはじめ、抗がん作用、抗菌作用、血圧や血糖の上昇を抑える作用など、さまざまな健康効果を持つ緑茶。免疫力アップのためにも、1日に何杯もいただきたいものです。

でも、ちょっと気になるのが、夜間。緑茶にはカフェインも含まれているので、寝る前に濃いお茶を飲んで、眠れなくなってしまったという人もいるでしょう。

ご存じのようにカフェインには覚醒作用がありますし、利尿作用もあるため、いざ寝ようと思ったらトイレに行きたくなって目が覚めてしまった、ということもあり得ます。

そこで、夜もお茶を飲みたくなる緑茶好きの方々に、ひとつ良い情報をお伝えしておきましょう。

夜に緑茶を飲むなら、ぬるめの湯でじっくり淹れたものにすること。60度ほどに冷ましたお湯で、いつもより時間をかけて淹れるのです。

こうすると、カフェインの抽出が減るだけでなく、うまみもたっぷり抽出されます。苦みは減ってしまいますが、甘みが感じられておいしいです。温度が低いと、緑茶に含まれているビタミンCの損失も少なくてすみます。

緑茶のうまみや甘みを出す成分はテアニンといい、比較的低い温度で溶け出す性質を持っています。リラックス効果もあるので、テアニンがたっぷり溶け出したぬるめのお茶は、寝る前に気持ちを落ち着かせるのに最適な飲み物といえるでしょう。

そもそも温度の高い飲み物を飲むと、カフェインが入っていなくても、温度の刺激により目が覚めてしまいます。水出しした冷たいお茶の場合は、テアニンが豊富でカフェインは少なくなりますが、あまり冷たい飲み物を飲むとからだが覚醒してしまうので、おすすめできません。

やはり夜のリラックスタイムは、ぬるめの湯でじっくり淹れたお茶を、ゆったりした気分で味わってみてください。

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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。

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(管理栄養士 森 由香子)

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