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「好きなことを仕事にしたい」が口癖の人はいつまでも幸せになれない

プレジデントオンライン / 2021年2月15日 9時15分

星渉氏 - 撮影=櫻井健司

「好きなことを仕事にしたい」が口癖の人は要注意だ。作家の星渉氏は「夢や目標を達成するには目的地の『解像度』を上げなければいけない。『好きなことを仕事にしたらどうなるだろう』と考えてみてほしい」という――。

※本稿は、星渉『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■自分の「目的地」を明確化せよ

自分だけの幸せを掴むには、まず自分が幸せになるような「目的地」を設定することが、なにより大切です。

なぜなら、その目標を達成することよりも、むしろ目的地に近づいていくプロセスにおいて、人は幸福感を感じることが科学的にわかっているからです。

夢や目標を持ち続けている人のほうが幸せだとも、科学的にあきらかになっています。目的地に向かう日々の努力や行動に、人は喜びを感じるのです。

例えば、飛行機に乗っているときに、「当機はあと20分で○○空港に着陸します」といわれたら、なんだかワクワクしませんか? でも、もしそのとき目的地がわからなければ……楽しいどころか不安が増すばかり。

また、夢や目標を持っていても、毎日が楽しくないという人もいますが、それは近づいていることを実感できる目標になっていないためです。それこそ、目的地は「南のほう」というくらいにあいまいな場合が多く、いったいどの程度近づいているのかわかりません。

「お金持ちになる」「いまより心の余裕を持てる生活を送りたい」といった目標設定では、近づいているのかいないのかわかりません。結果、いつまでも楽しくならないし、目標を達成するまで続けることも難しくなるでしょう。

だからこそ、目的地の明確化はとても大切。

近づいていると実感できる具体的な目的地を設定すれば、そこへ向かう「プロセス」の一つひとつによって、あなたは日々、幸福感を感じることができるようになるのです。

■言葉よりも「絵」を描く

ぼんやりした「目的地」を明確にするコツとして、私はいつも「目的地の絵を描いてください」といっています。なぜなら、絵に描こうとすると、細部まですべて明確にしなければならないからです。

例えば、南の島に住んで理想的な生活をしている絵を描くとします。でも、どんな場所のどんな家に住んでいるのかを具体化しなければ、ほとんどなにも描けません。ビーチ沿いの家なのか、海が見える高台の家なのか? 屋根は何色? 広さはどのくらい?

細かい設定まで決めなければ、そもそも目的地がしっかり見えてこないのです。

でも、目的地を絵で描いて、その絵を実現するために必要な費用や時期などまで考えられたなら、すべてが明確になっていきます。

よく目的地を言葉にする人がいますが、これは場合によって、イメージがあいまいになることがあります。「幸せに暮らすこと」を具体的な言葉にしようとして、「毎日ワクワクして暮らしている」と書いても、抽象的な目標にスライドしただけで、実質的な違いがありません。

そうではなく、目的地の「解像度」を上げていくことが、夢や目標を達成するには必要。そのためにこそ、目的地の絵を描くことが有効な方法になります。

■好奇心を燃料にする

「自分がなにをやりたいのかわからない」というように、そもそも、自分の目標や目的地がわからない人もいると思います。

そういう人は、そもそも「知っていること」の数が少ない場合が多いようです。知っていることや体験の数が少ないので、「これをやりたい!」というものにまだ出会えていないだけなのです。

わかりやすくいえば、フラメンコという踊りを知らなければ、当然フラメンコをやってみたいとは思えませんよね。また、フラメンコは知っていても、実際に体験したことがなければ、あなたが夢中になることもないでしょう。でも、一度でも体験してみると……もしかしたらおもしろくて、ハマってしまう可能性が出てくるわけです。

だからこそ、好奇心はとても重要。自分と違う価値観を持つ人たちと積極的に交流し、いい意味で、選り好みせずに情報を集める姿勢が大切なのです。

そうして、「知ること」と「体験する機会」の数を増やしていけば、自分の目的地が見つけやすくなります。

■他人のための人生を生きない

人には、自分が好きなことのほかに、得意なことや、ほかの人よりもできることがあります。

そんな自分が得意なことを活かすほうが、他人からも評価され、自分の決めた目的地へ向かいやすくなる場合もあるでしょう。

ただし、ここで注意しなければならないのは、得意なことをすることが本当に自分にとって楽しくて、幸せを感じるのか? ということです。

楽しくもないのに、ただ得意だからという理由だけでそのことを続けるのは、ある意味で自分を置き去りにし、他人の期待に応えるだけの人生になってしまっているともいえるでしょう。

そこで私は、IKIGAIベン図といわれる図の「好きなこと」「楽しいこと」「得意なこと」、そして「人の役に立つこと」の4つが重なる部分から、目的地を探すのがいいと考えています。

IKIGAIベン図
『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)より

4つの円の中心部分というイメージです。

本来、幸せに生きるためには、「好きなことか、得意なことか?」と、ひとつに絞ろうとして悩む必要はないのです。

■理想と現実のギャップにどう向き合えばいいのか

「好きなことを仕事にしたい」「もっと自由に働きたい」と思う人も多いでしょう。でも、「目の前の仕事」は、それとは違う場合が多いのもまた事実です。この理想と現実のギャップに、どのように向き合えばいいのでしょうか?

実はそこには、「本当に『好きなことを仕事にしたい』と思っていない」という意外な盲点が潜んでいます。

この点に気づいていない人は、本当にたくさんいます。好きなことをして自由に働きたいし、もっといえば、年収も2000万円くらいあったほうがいい……。

でも、そんな理想を実現するには、代償となる膨大な努力や、多大な時間を費やす覚悟が必要です。それらがなくて、単純に「いいな」とうらやんだり、「うまくいかないかな」と願ったりしている場合がとても多いのです。

これは、ある行動を続けられない(習慣化できない)場合も同じ。「本当はそこまでやりたいことではない」から、続けられないわけです。

だからこそ、夢や目標を考えるときに、「それって本当になりたい姿なの?」と、自分にしっかりと問いかけてみてください。おそらく、問いかける時点では「なりたい」と思っているはず。ならば、「そのための代償を払う覚悟はある?」と突き詰めてみましょう。

本気でその覚悟があるなら進めばいいし、もしそこまで思えないなら、「自分にとってちょうどいい目的地はなんだろう?」と考えを深められます。

本当に自分が求めているものを考えていくと、結果として、より自分を知り、より多くを手に入れることができます。

■「完了形」の言葉を刻む

人間が1日のなかでいちばん話している相手は、ほかでもない自分自身です。「寒いなあ」「急がなきゃ」という独り言も含めて、誰よりも自分と会話をしています。

では、もし目標を考えて、「うまくいかないかも……」という言葉をよく使っていたらどうなるでしょうか? おそらく落ち込んでいるイメージが浮かんできて、ますます「うまくいかないかも」という気持ちになります。

星渉『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)
星渉『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)

逆に、「うまくいった!」という言葉を使っていれば、まわりから祝福されているイメージが浮かんできて、気持ちいい感情を味わいながら行動に移りやすくなるでしょう。

つまり、自分と、どんなセルフトークをしているかが大切だということ。肯定的な言葉を何度も自分に話すことによって、ふだん頭のなかに見えているイメージを変えていく。すると感情も変わり、無理だと感じていたものごとにも挑戦しやすくなります。これは「アファメーション」と呼ばれる、自己言及のメカニズム、方法のひとつです。

2012年のロンドンオリンピックで金メダルを取ったボクシングの村田諒太選手は、大会前から自宅の冷蔵庫に、「ロンドンオリンピックで金メダルを取ることができました、応援ありがとうございました」という紙を貼って、毎日眺めていたそうです。

この例が示すように、目標を「完了形」で書くのも大切。「~したい」と書くと、脳は「まだしていない」と認識しますが、目標を完了形で見続けていると、「~した自分ならどうするだろう?」と自然に考えるようになるからです。

言葉を変えることから、すべてがはじまります。

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星 渉(ほし・わたる)
作家、ビジネスコンサルタント
1983年仙台市生まれ。大手企業で働いていたが岩手県で東日本大震災に被災。生死を問われる経験を経て「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び始める。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」ことを中心に置いた独自のビジネス手法を構築。日本や海外で数千人規模の講演会を実施し、グローバルに「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」ための活動をしている。『神メンタル』『神トーーク』(KADOKAWA)はシリーズ累計20万部突破のベストセラー。最新刊は慶應義塾大学の前野隆司教授との共著『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)。

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(作家、ビジネスコンサルタント 星 渉)

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