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「ありがとう」と言えない人は、夢や目標も達成できなくなる

プレジデントオンライン / 2021年2月22日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

夢や目標を達成するにはどうすればいいのか。作家の星渉氏は「『心の回復力』(レジリエンス)を高める必要がある。そのためには『ありがとう』を口癖にするといい」という――。

※本稿は、星渉『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■なぜ行動が長続きしないのか

「今日から自分を変えていこう」「今日からがんばろう」と思って新しい行動をはじめても、いつも気持ちの揺り戻しがやってきて、行動を途中でやめがちな人がいます。

それは多くの場合、いままでとは違う行動を「すること」をゴールにしているから。

新しい行動をすれば、そのあと、「本当にこれでいいのだろうか?」という不安や、「面倒だからやめたいな」といった誘惑が必ずやってきます。これは現状を維持させようとする脳が持つ性質で、人間である以上、避けられません。

つまり、大切なのは、はじめから気持ちの揺り戻しが起きると想定して行動しているかどうかです。

私からすると、新しい行動をやめさせる脳の誘惑がくるとわかっていて、その誘惑に打ち克つ準備をしないまま行動するのは、最初から「失敗したい」といっているようなもの。

脳の誘惑に打ち克つ準備をしないのは、例えるなら、雨が降るとわかっていながら傘を持たずに出かけるようなものです。

いずれ誘惑がくると決まっているのなら、その対処法を先に考えておくべき。誘惑に打ち克つのがゴールだと、最初から設定しておけば、新しい行動が定着しやすくなります。

本当のゴールは、新しい行動を「すること」ではなく、新しい行動を「続けること」。脳の誘惑に打ち克つことにあるのです。

■心の回復力を高める科学的手法

瞬間的に動けたとしても、途中で心が折れてしまっては、自分の目標や夢を達成するのが難しくなるのはいうまでもありません。

そこで必要になるのが、「心の回復力(レジリエンス)」です。心の回復力が強い人はどんな人なのかは、科学的にわかっています。

4つの特徴があり、ひとつめはまず「挑戦」しているかどうかが関係します。日常において、つねに挑戦ができている人は、心の回復力が強くなるといわれています。

挑戦といっても、小さなことで構いません。いつもと違うルートで会社へ行ったり、ランチに入ったことがない店で食べてみたり。なにか新しい行動を設定し、それを自ら実行できる人は、心の回復力も養われていきます。

自分に対して、なにか小さな挑戦を設定し毎日クリアしていくのもいいでしょう。例えば、他人になにかをしてもらったとき、ただ「ありがとう」といっていたのを、これからは目を見て「ありがとう」というようにするのはどうでしょうか?

買い物カートに積み上げられたハート
写真=iStock.com/pimpic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/pimpic

こうした小さな挑戦をクリアしていくトレーニングを、日常生活のなかで楽しみながら続けることで、心の回復力はどんどん強くなっていきます。

■人に感謝するだけでレジリエンスは高まる

ふたつめの要素として、「感謝」する習慣が、科学的に指摘されています。

他人に感謝できる人は幸福度が高く、多様な人間関係を有する傾向があります。友だちの数がただ多いだけではなく、様々な人と接する経験をとおして、ピンチのときにも自分で立ち直れる力が養われるのです。

そこで、意識的に「ありがとう」と口に出すなど、なにかを人にやってもらったら、必ず感謝することを意識してください。

私の場合、お礼をいうときは、必ず「名前+ありがとう」のかたちで伝えています。

仕事では、秘書から連絡がくるたびに、「○○さん、ありがとうございます」と伝えます。1日に何度もチャットでやりとりをしますが、最初の文言は、必ず「○○さん、ありがとうございます」ではじめ、そのあとに用件を続けます。

つまり、必ず「○○さん、ありがとうございます」とはじめることを、ルール化しているわけです。

日常でも、「お皿を洗ってくれてありがとう」「買い物に行ってくれてありがとう」と、感謝できるチャンスにはすべて、意識して「ありがとう」と口に出しています。

そう考えると、1日のなかで感謝できる場面は、本当にたくさんあることに気づかされます。

「ありがとう」ということは、ふだんの生活のなかで、無理なくレジリエンスを高められる最高のトレーニングです。

■「ありがとう」は意外と言い慣れていない

感謝は心のなかでするのもいいですが、できれば口に出したほうが相手に伝わるのでよりいいでしょう。

そこで、まずは1日5回、誰かに対して「ありがとう」と伝えるトレーニングをしてください。ありがとうという言葉は、使っているようで、意外と使っていない言葉のひとつだからです。

かつての私も、日本一の個人投資家といわれた故・竹田和平さんが、1日3000回ありがとうといっていたと知り、反射的にありがとうと口をついて出てくるようにトレーニングしようと考えました。毎朝約40分の準備中に、「ありがとう」と1カ月言い続けたのです。

すると、もう最初の60回くらいで、ろれつが回らなくなりました。そのとき、「ありがとうって、意外と言い慣れていない言葉なんだ……」と気づいたのです。

その後、あきらめずに1カ月言い続けたところ、いまでは完全に体に記憶され、なにかあれば反射的に口から出るようになりました。いまでは、どんな人でも場所でも、ふつうに「ありがとう」と伝えられるし、お店でお釣りを返されたときなども、「ありがとう」と反射的に出てきます。

そのくらいになれば理想的ですが、まずは1日5回、意識的に感謝の気持ちを誰かに伝えてみてください。

続けていると、どんどん心の回復力も強くなっていくはずです。

■心配ごとのほとんどは起きない

心の回復力を高める3つめの要素は、「楽観的な思考」ができるかどうかです。つまり、気持ちの切り替えがうまく、たとえ嫌な出来事があっても、「大丈夫」「たいしたことないよ」と思えるかどうか。

母親にカーネーションの花を手渡す少年
写真=iStock.com/kohei_hara
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

もともとポジティブな性格の人なら、使う言葉を変えるだけでできるでしょう。嫌な出来事が起きても、「まあいいか」というようにルール化すればいいからです。

でも、なかなかそうは思えない人もいると思います。そんな人は、「不安や心配ごとの記録を取る」トレーニングをしてみてください。そして、1カ月ごとに見返します。すると、心配ごとのほとんどは実際には起きていないとわかるはず。多くの場合、本当は起きないことを、大きくとらえ過ぎてしまっているだけなのです。

そうして記録を見て自分で納得できてはじめて、「心配し過ぎることに意味なんてないんだ」と思うようになり、切り替えがうまくなっていきます。

皮肉なことに、1カ月前になにを心配していたかなんて、ほとんど覚えていません。つまり、不安や心配ごとはほぼ起きないのに、そのことを忘れてしまうから、次々と新しい不安や心配ごとが出てくるわけです。

過去に不安に思ったことをすべて記録しておけば、それらが起きていないとわかり、気持ちを切り替えやすくなります。自分の目でたしかめ、体感することを続けていけば、少しずつ「楽観力」が養われていくでしょう。

■「ありのままの自分」の真の意味

心の回復力に影響を与える4つめの要素は、「ありのままの自分」でいられるかどうかです。

ありのままの自分でいるとは、「自分は自分でいい」と思える気持ちを持つことです。自分を他人と比較せず生きている人は、気持ちの切り替えも上手な傾向があります。

自分は自分でいいと思えるのは、自分はなにが好きで、なにを大切にして生きているかを知っているからできることです。逆に、なんでも他人と比較してしまう人は、自分自身を知らないから他人と比較してしまうのです。

星渉『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)
星渉『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)

よくSNSで他人の投稿を見て、「ただの自慢じゃないか」と腹が立ったり、「なんか幸せそうだな」と落ち込んだりする人がいますが、これも自分のことを知らないから心が騒いでしまうのです。

自分はなにをしているときがいちばん幸せなのか? それをよく知っていれば、他人がなにをしようが、比較してショックを受けることはなくなるでしょう。

「ありのままの自分なんて好きになれない」という人もいます。

でも、そんなときは、「そもそも、ありのままの自分を知っているのかな?」と考えてみることも必要でしょう。好きになれていないのは、「まわりから見られている自分」「まわりから評価されている自分」の姿であって、それを本当の自分だと思い込んでいる可能性があります。

ありのままの自分は、「素の自分」というより、「幸せだと感じる瞬間の自分」だととらえると、見え方も変わってくるのではないでしょうか。

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星 渉(ほし・わたる)
作家、ビジネスコンサルタント
1983年仙台市生まれ。大手企業で働いていたが岩手県で東日本大震災に被災。生死を問われる経験を経て「自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び始める。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」ことを中心に置いた独自のビジネス手法を構築。日本や海外で数千人規模の講演会を実施し、グローバルに「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」ための活動をしている。『神メンタル』『神トーーク』(KADOKAWA)はシリーズ累計20万部突破のベストセラー。最新刊は慶應義塾大学の前野隆司教授との共著『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)。

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(作家、ビジネスコンサルタント 星 渉)

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