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歯科医が緊急警鐘「常時マスクでむしろコロナ感染リスクが高まる人」の特徴

プレジデントオンライン / 2021年2月12日 9時15分

出所=照山裕子『歯科医が考案した新習慣!免疫力を高めてウイルスを遠ざける 7秒うがい』(きずな出版)より

コロナ感染対策のためのマスクがかえって感染リスクを高める可能性がある。歯科医の照山裕子氏は「マスクをしていると息苦しくて、つい口呼吸になることがあり、ばい菌やウイルスが体内に入りやすくなる。またマスク下で口の周りの筋力が低下すると、感染症にかかりやすくなるだけでなく、誤飲・誤嚥の増加やほうれい線が深くなることにもつながる」と警鐘を鳴らす――。

※本稿は、照山裕子『歯科医が考案した新習慣!免疫力を高めてウイルスを遠ざける 7秒うがい』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

■マスクをすると感染しやすくなる⁉

新型コロナウイルスによる感染症が拡大してから、多くの方がマスクをするようになりました。しかし、マスクだけではウイルスの感染を防ぐことはできません。

東京大学医科学研究所が発表したデータによれば、ウイルスを吸い込む側の人が布マスクを着用した場合、着用しなかったときに比べて吸い込む量が60〜80%に低下したとされています(※)

※(注)新型コロナウイルスの空気伝播に対するマスクの防御効果

これは逆にいえば、マスクをしていても60〜80%くらいのウイルスは吸い込んでしまうということです。また、マスクをつねにすることによって、かえって感染症リスクが高まる可能性があります。

マスクをすることで「口呼吸」してしまう人が増えるからです。

みなさんも、マスクをしながら外を歩いていたりすると、息苦しくなって、ついつい口呼吸をしてしまっているのではないでしょうか。口で呼吸しているか、鼻で呼吸しているかは、感染症対策においては、マスクをするかしないか以上に大きな違いがあります。

たとえば福岡のある小学校では、生徒の口呼吸を鼻呼吸に変えるトレーニングをしただけで、インフルエンザにかかる子どもが40%から5%に激減したという調査結果があります。

■鼻は「天然のマスク」

私たちはふだん、鼻で呼吸をしています。

鼻のなかにはたくさんの鼻毛が生えているほか、つねにネバネバした粘液(いわゆる鼻水)が出ています。

鼻毛や鼻水が、ばい菌やウイルスをからめとり、それ以上体のなかに侵入するのを防いでいるのです。また、鼻のなかは細かい血管が張りめぐらされていて、吸い込んだ空気をすぐに温め、加湿する効果もあります。

加湿されることにより、高温・高湿な状態が苦手なウイルスの増殖を防いでいるのです。これらの効果は絶大で、空気と一緒に入ってくるばい菌を70%ほどはカットしてくれます。

つまり、鼻呼吸は、「天然のマスク」の役割を果たしているということです。口で呼吸するのは、この「天然のマスク」を外してしまうのと同じ。ばい菌やウイルスが体内に入り放題になっているのです。

もちろん、だからといってマスクをしなくてもいいわけではありません。

マスクは自分や他人への飛沫感染を防ぐだけではなく、「接触感染を防ぐ」という役割も大きいです。じつは、私たちはふだん、自分が思っている以上に口や鼻、目などを指で触ってしまっています。それにより、指に付着していたばい菌やウイルスを自分で粘膜に運んでしまっているのです。マスクをしていれば、そうした接触感染を防ぐことができるというわけです。

■口呼吸で口のなかが乾燥する

口呼吸の悪いところは、それだけではありません。口呼吸をしてしまうと、「口のなかが乾燥しやすくなる」というデメリットもあります。

口のなかが乾燥するとは、つまり、唾液が必要以上に蒸発してしまって、循環する唾液の量が減ってしまうということです。唾液はさまざまな働きで私たちの体を守ってくれています。そして、唾液の大切な役割に「抗菌作用」があります。

小さいころ、親や先生から「ケガをしたらツバをつけなさい」といわれたことがある人もいると思いますが、これは理にかなっています。また、唾液そのものが歯や歯ぐきなどについた食べかすを洗い流す役目もあるので、唾液が少ないと、それだけで口のなかが汚れてしまうのです。口呼吸をすると唾液が減り、ばい菌が繁殖しやすくなって、ウイルスにも感染しやすくなるということです。

このように悪いことだらけの口呼吸ですが、私が考える口呼吸の最大のデメリットは、「口の力を衰えさせる」ことです。

■口周りの筋肉がどんどん弱くなる

新型コロナウイルスの感染が広まり、しばらくたってからの話です。とある取材の際にうがいを実演して見せたところ、いつも同席しているPR担当の方に、

「先生、口の力が弱くなっていませんか?」

といわれてしまいました。そうです。私としたことが、四六時中マスクをつけていたせいで、口の周りを弛緩(しかん)させるクセがついてしまい、口の筋肉が弱っていたのです。

マスクをし続けていると口腔周囲筋が衰える
出所=照山裕子『歯科医が考案した新習慣!免疫力を高めてウイルスを遠ざける 7秒うがい』(きずな出版)より

唇を閉じる、すぼめる動作に使うのはおもに口腔周囲筋(こうくうしゅういきん)という筋肉で、名前の通り、口の周りを輪っかのようにグルリと取り囲んでいます。

この筋肉が弱まると、口がだらしなく半開きの状態になりやすくなるのです。身体のほかの部分と同じく、筋肉は、使わなければどんどん衰えます。

マスクで息苦しいからと、口を半開きの状態にしていないでしょうか。口で呼吸することが普通になると、マスクを外したときにも口呼吸をするのがクセになり、かえって感染症にかかりやすくなってしまいます。

■口呼吸は百害あって一利なし

口腔周囲筋が弱いと、感染症にかかりやすくなるだけではありません。もっと、いろいろな悪影響を体に及ぼします。

たとえば、小さな子どもがやわらかいものばかり食べていると、あごや筋肉が発達しにくくなります。そうすると、いつも口が半開きになり、歯並びが悪くなったり、出っ歯になったり、舌の力が不十分で、滑舌が悪くなってしまったりします。

照山裕子『歯科医が考案した新習慣!免疫力を高めてウイルスを遠ざける7秒うがい』(きずな出版)
照山裕子『歯科医が考案した新習慣!免疫力を高めてウイルスを遠ざける7秒うがい』(きずな出版)

高齢者の方で口腔周囲筋が衰えると、ものを飲み込む力が弱くなり、誤飲・誤嚥につながるリスクが高まります。また、口呼吸は鼻呼吸よりも酸素を取り込む効率が悪く、疲れやすくなったりストレスの原因になるともされています。

口呼吸は美容にも健康にもよくありません。口腔周囲筋が弱くなると、ほほのたるみや、ほうれい線が目立つ原因になります。

さらに、起きているときでそうなのですから、口腔周囲筋が衰えてくると、睡眠中もつねに口が開いた状態になります。これは当然、イビキや睡眠時無呼吸症候群の原因につながります。本書で提唱する「7秒うがい」は、口のなかをキレイにして感染症の予防に役立つだけではありません。口のなかで激しい水流をつくり出すためには、口周りのさまざまな筋肉を動かす必要があります。

つまり、7秒うがいを習慣化することで、口腔周囲筋のトレーニングもできるということなのです。

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照山 裕子(てるやま・ゆうこ)
歯学博士、東京医科歯科大学非常勤講師(顎義歯外来)
日本大学歯学部卒業、同大学院歯学研究科にて博士号取得。世界でも専門家が少ない『顎顔面補綴』を専攻し、口腔がんの患者と歩んだ臨床経験から予防医学の重要性を提唱する。「日本人の口腔ケアへの意識を変えるにはどうしたらいいのか?」という課題の答えのひとつとして考案、推奨している『歯科医が考案 毒出しうがい』(アスコム)が書籍化され、13万部のベストセラーとなった。現在は大学病院および全国の歯科クリニックにて診療を続ける傍ら、テレビ・ラジオなどのメディアにも多数出演。『日経xwoman』のオフィシャルアンバサダーも務める。著書に『「噛む力」が病気の9割を遠ざける』(宝島社)、『歯科医が考案 毒出し歯みがき』(アスコム)がある。

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(歯学博士、東京医科歯科大学非常勤講師(顎義歯外来) 照山 裕子)

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