「在宅勤務はダラダラしがち」オンとオフを切り替えるシンプルな3つのスイッチ
プレジデントオンライン / 2021年2月16日 15時15分
※本稿は、平井孝幸『仕事で成果を出し続ける人が最高のコンディションを毎日維持するためにしていること』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
■在宅勤務のオンとオフを切り替える3つのスイッチ
リモートワークでは、従業員の残業時間が増えている企業も少なくありません。調べてみたところ、仕事の時間に自分の趣味のインターネットサーフィンをしてしまって、プライベートと仕事の境目が曖昧になってしまい、生産性が落ちて時間が超過するケースもあるようです。
在宅で仕事をすることになってから、仕事とプライベートの切り分けができず、ずっと仕事モードになってしまって集中力が散漫になったり、ずっとストレスを感じているという声が聞こえてくるようになりました。
オンとオフを切り替えるためのシンプルな対策は3つです。時間で区切ること。場所で区切ること。体感(温度、香り)で切り替えること。この3つです。
■食事、散歩、仮眠…1日の計画をスケジュールソフトに組み込む
オンとオフがしっかり切り替えられない原因は、予定が組めていないことが大きいようです。まずは1日の計画を立てることから始めましょう。仕事のオンとオフの時間だけでなく、食事の時間や散歩の時間、仮眠の時間などもすべて組み入れてしまう。そうすることで、オンとオフはもちろん、1日の流れがしっかり見えてきて、仕事効率のアップにもつながります。
予定が決まれば、スケジュールソフトなどに仕事の時間と休憩時間をしっかり入れ、それに則ってきちんと行動していきます。
決めた時間に仕事と休息をとることで、メリハリを出すことができます。結果として、モチベーションのコントロールができ、生産性の低下や疲れの蓄積を防ぐことができるでしょう。
■スマホの機内モードをフル活用する
以前にも紹介しましたが、脳はその場所が何をする場所なのかを覚えています。なので、オンとオフも、明確に場所を分けることで切り替えがスムーズになります。
オフィスにいるときには、コピーをとりに行ったり、会議室に行ったり、ランチに出かけたりと、場所を何度も移動する機会があります。しかし自宅では、それほど移動する機会は生まれません。また、仕事も食事もダイニングテーブルという家庭もあるでしょう。そうなると、なかなかオンとオフの切り替えが難しくなります。
そうならないために、「仕事用のイスを決めておいて、休むときにはそのイスを使わないようにする」といったことを意識することも大切です。
また、休憩時間はパソコンの前から離れて、スマートフォンも機内モードにするなどして、本当に休むことがポイントです。Wi‐Fi環境下だと、ずっと連絡が入ってきてしまいます。休みの時間をしっかり取るには、そうしたネット環境下からも遠ざかり、強制的に仕事をしないようにすることが必要です。
五感を使うことでオンオフを切り替えるのも効果的です。
たとえば、オンの時とオフの時で、違うアロマの香りを使ってみることです。会社では香りを充満させることはできませんが、在宅であれば誰に気兼ねすることなくアロマを使うことができます。
また、シャワーを活用して、シャワー後に休憩をとるなどして、仕事とプライベートの線引きを行うのもひとつ。特に夏場のシャワーはすっきりとした気分を演出することにも役立ちます。これも在宅ならではのオンとオフのスイッチングです。
■大前提として自宅の仕事環境は未整備
在宅ワークで多くの人たちが生産性を下げていることが、いろいろな企業の調査でわかってきています。残念ながら、自宅には最高の作業環境がないからです。
多くの場合、自宅のイスや机は長時間の作業に向いていません。簡易的な机だったり、イスだったりして、仕事用ではないのです。こうなると、姿勢が崩れやすくなり、疲れを誘発します。その結果パフォーマンスが落ちることは、ある意味当然です。
また、そうした状態のままでいると、腰痛や肩こりにもなりやすく、集中力の低下を招くことになりかねません。
何度も書いているように、頭の重さは体重の約10%、5~6キロにもなります。言ってみればボウリング球を首の上に乗せているようなものなのです。頭の位置が身体の真上にないと、首の骨や背骨に大きな負担をかけるため、身体に負担をかけやすくなります。
対策としては、ひとつは設備に投資をすることです。第3章でも紹介しましたが、座り仕事に適したイスもあります。可能であれば、イスや机は、できるだけ仕事用のものを用意する。本当は会社に用意してもらいたいところですが、会社が用意してくれないのであれば、自分で用意するしかない。
また、PCのディスプレイが常に目の前にあるような位置にセットして首への負担を減らします。そのためには、モニターアームを用意したり、ノートPCであれば、傾斜台などを用意することが賢明です。
■10分に一度天井を見て身体の硬直を回避する
会社のオフィスと異なり、周囲に誰もいない環境で仕事をしていると、ついつい時間を忘れ、長時間パソコンのキーボードを叩き続けているということにもなりがちです。人体は同じ姿勢でいると、血流が低下し筋肉も硬くなりやすく、体温も低下しやすいです。
これを回避する方法は、イスでも床でもどこに座っていても、姿勢を整えることを30分に一度でいいので意識することです。たとえば、10分に一度天井を見るようにして、頭の位置を整えるのです。
首を右や左に回すのも有効です。頭は前に出やすいので、いかに後ろ(背中と後頭部を一直線にした位置)にしておけるか、意識すること。
集中していると時間を忘れてしまう、ということであれば、スマートフォンのアラームを活用してもいいと思います。ちょっとした工夫で、忘れずにストレッチをすることでひどい状況にならずに済むのです。
どうしても姿勢が悪くなりがちな人は、「ひとつの姿勢を長時間続けない」ということだけでも意識しておくことです。自分の姿勢のクセを知り、その逆の動きを取り入れることで、身体をリセットさせるよう心がけます。
ほとんどの人が前に丸まるように猫背になるため、伸ばしたり上を向いたりすることが、最もシンプルな姿勢の戻し方です。トイレに行くたびに、なにかひとつ運動をしてみるのもいいでしょう。
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ディー・エヌ・エー(DeNA) CHO室 室長代理
東京大学医学部附属病院22世紀医療センター研究員。東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、ゴルフ事業で起業。2011年DeNA入社。2015年従業員の健康サポートを始める。16年健康経営の専門部署CHO室を立ち上げる。19年同社での取り組みが経済産業省と東京証券取引所から評価され、健康経営銘柄を獲得。翌年も連続して獲得する。18年DBJ(日本政策投資銀行)健康経営格付アドバイザリーボード、PGA(日本プロゴルフ協会)経営戦略委員会アドバイザーなどを歴任。
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(ディー・エヌ・エー(DeNA) CHO室 室長代理 平井 孝幸)
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