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「スカウトメールを真に受けてはいけない」"本気"と"脈なし"の見極めポイント

プレジデントオンライン / 2021年2月19日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

求人サイトに登録すると送られてくるスカウトメール。あるいは職場にかかってくる「ヘッドハンター」を名乗る電話。自分の経歴が評価されてのことかと思いきや、実はそうでないケースのほうが圧倒的に多いのだとか。こうした勧誘に振り回されないためのコツを、35歳以上の転職事情に詳しい黒田真行さんが解説します——。

■「経歴が評価された」は思い違い

転職活動の経験者には、「ヘッドハント」や「スカウト」という言葉を聞いたことのある人も多いかと思います。こうした勧誘があると、「自分の経歴が評価された」とつい喜んでしまいがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。まずは、それぞれの内情を解説したいと思います。

ヘッドハントは、基本的にエグゼクティブクラスだけを対象に行われるものです。「A社の経営者があなたに会いたいと言っている」と名指しで連絡があり、具体的な面談日時まで提案されるのが一般的。行動の主体は企業とヘッドハンターであり、声を掛けられる側は、必ずしも転職を希望しているわけではありません。通常は自らが希望して「ヘッドハントされる」のではないのです。

時々、「ヘッドハンター」を名乗る人から職場に電話がかかってきたという話も聞きますが、前述の通り、ヘッドハントは名指しで行うもの。名前や面談日時などの具体的な話がなければ、やみくもに掛けた営業電話の可能性が高いので、惑わされないでほしいと思います。

一方、スカウトは一般的な転職者も対象になります。求人サイトや転職エージェントに登録したら「スカウト」と書かれたメールが送られてきた──。こんな経験をした人も多いのではないでしょうか。

こうしたメールは、企業側が対象者を選んで送っている場合もありますが、たいていは求人サイトによる一斉送信。誰か一人にではなく、何百人もの不特定多数に送られていることがほとんどです。

■「スカウトメール」は単なるDMの可能性大

転職者に求人広告を見てもらおうと、ただのDMに「スカウト」とタイトルをつけて送るケースも多いのです。こうした場合、実際にはスカウトでも何でもない一斉求人メールなので、返事を書いたり応募したりしても、他の人より採用が有利に進むというわけではありません。

こうした実情は、複数の求人サイトに登録して1カ月も経てばわかってくるのですが、初めての転職活動で、求人サイトに登録した直後だったりすると、喜んで飛びついてしまいがちです。その結果、不採用になって「有利なはずなのに受からなかった」とひどく落ち込んだり、よくわからないまま入社したらブラック企業だったりと、結果として失敗につながってしてしまうこともしばしば。

ですから、スカウトメールはあくまで転職情報のひとつとして、冷静に見てほしいと思います。自分一人にではなく登録者全員に送られているのだという認識で、自分がやりたい仕事かどうか、本当に行きたい企業かどうかなど、内容をじっくり精査してください。

ノートパソコンの画面を眺める女性
写真=iStock.com/shih-wei
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shih-wei

■転職エージェントの「本気度」はこう見抜く

ただ、こうしたメールの中にも、まれに「本気スカウト」が入っている場合があります。

見抜くポイントは、エージェント側が、あなたに時間を割く気があるかどうか。「相手企業と交渉するから他のエージェントに行かずに待ってほしい」「(日時を提示して)一度お会いしたい」などと言ってきたら、本気度が高いと言えるでしょう。

自ら時間を割いて具体的に動こうとしているわけですから、この場合は転職が他者より有利に進む可能性が高いと思います。多少でもその企業に興味があるのなら、一度会って話を聞いてみることをおすすめします。

ちなみに「会いたいと思っているが、まずは書類を送ってください」は脈ナシと考えたほうがいいでしょう。本気でスカウトしたいなら無条件で、かつできる限り早く会おうとするはずです。この点は文面をしっかり読み取っていただきたいと思います。

また、「希望に合う求人があれば連絡します」も、本気スカウトには入りません。こうした言葉は「希望に合う求人はありません」と断っているのと同じで、実際に連絡がくる可能性は限りなく低いと言えます。自分は需要に合わなかったのだと割り切って、連絡を待つことなく次の社に応募してほしいと思います。

とは言え、転職エージェントは、企業に適した人材を紹介することで利益を得ているわけですから、優秀な人材がいればぜひ自分が担当したいと考えています。エージェント同士の競争も年々激しくなっているので、目当ての人材がいれば積極的にスカウトするようになっています。ただ、そうした本気スカウトの対象になる人はほんのひと握り。

■スカウトを待っていてはいけない

転職エージェントは、野球界で言えば球団に選手を紹介する代理人のようなものです。優秀な選手をできるだけ高年俸で紹介したほうが利益が上がるので、そうでない選手にわざわざ時間を割くことはしません。そのため、自分が「そうでない選手」に入ると思う人は、スカウトは来ないと考えて自ら動く必要があります。

その意味で、スカウトメールは新築マンションのチラシと同じだと考えておくといいでしょう。この類のチラシがポストに入っていたからと言って、「マンションを買える高収入の人間だと思われている」と喜ぶ人はいません。チラシは選んだ人にだけではなく、誰にでも配られているからです。本当にマンションを買いたい人は、チラシを待つことなく自ら情報を集めにいくはずです。

スカウトメールに惑わされないためにも、転職の際にはやはり大手から中小まで、複数の人材会社を使ってほしいですね。何社か使い分けているうちに、それぞれの使い勝手や効率のよい応募方法が見えてくると思います。

■40歳以上なら、月に数十社の応募を

特に、40歳以上の人が求人サイトで転職先を探す場合は「効率のよい応募」が大事。転職先の精査も大事ではありますが、1カ月で3社応募する程度ではまったく足りないのが実情です。よほど行きたくない会社でもない限り、ある程度は割り切って、少なくとも月に数十社応募し続ける人のほうが成功確率は断然上がります。とにかく書類通過率が低いので、できるだけ多くの企業に応募しておき、返信が来てから精査するという姿勢でもいいと思います。

そして求人サイトで応募する時は、まず「この求人の裏にどのぐらいの数のライバルがいそうか」を考えてみてください。有名な大企業に行きたいと思っていても、そうした企業には応募が集中します。その中を勝ち抜いていけるのかどうか自己を見つめ直し、難しそうだと思ったら中小企業にもぜひ目を向けてください。

転職成功の大事なポイントは、自分がやりたい仕事かどうか、幸せに働けるかどうかです。そこに「大企業であること」が必須なのかどうか、今一度考えてみましょう。

ヘッドハントはエグゼクティブが対象であり、スカウトメールは不特定多数の転職希望者に送られるもの。その多くがDMで、本気スカウトはごく一部です。スカウトメールは情報収集の一環に過ぎないと割り切って、惑わされることなく自分に合う企業、自分を求めている企業を探してほしいと思います。

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黒田 真行(くろだ・まさゆき)
転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役
1988年、リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2014年ルーセントドアーズを設立、成長企業のための「社長の右腕」次世代リーダー採用支援サービスを開始。35歳からの転職支援サービス「Career Release 40」、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を運営している。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』『35歳からの後悔しない転職ノート』『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』など。

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(転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役 黒田 真行 構成=辻村 洋子)

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