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阪神と広島を変革したサラリーマンの物語

プレジデントオンライン / 2021年3月30日 9時15分

ノンフィクション作家 清武英利氏

■インサイダーが書き残す球界のサラリーマン

プロ野球に関する記事は世の中にあふれているが、元球団代表が書くノンフィクションは唯一無二だろう。

本書では、野崎勝義元阪神タイガース球団社長と鈴木清明広島東洋カープ常務取締役球団本部長を主人公に、プロ野球球団という企業組織の変革に取り組むサラリーマンの姿が描かれる。著者の清武氏は社会部記者としてキャリアを積んだ後、読売巨人軍の球団代表・編成本部長を7年務めた、球界のインサイダーだ。

「自分だけが書けるものを、いま僕は書いています。試合の勝ち負け、選手の物語など、ほかの人が書けるものはほかの人が書けばいい」

チームを常勝軍団に変革しようと奮闘する主人公たちは、選手や監督とは別の視点から絶えず勝敗を問われつつ制約を受けるサラリーマンだ。

清武英利『サラリーマン球団社長』(文藝春秋)
清武英利『サラリーマン球団社長』(文藝春秋)

「僕自身、企業社会の矛盾をたくさん知っているから、企業社会の中で、『よくここまでできるな』と敬愛できる人を見つけ出すことが自分の喜びなんです。プロ野球の興行というのはある意味で恵まれていて、春になれば試合は始まるし、ファンもやってきてくれる。でも、それでは日本野球の資産を食い潰しているだけ。革新がないところに前進はありません。たとえトップが駄目でも、本書の主人公たちのように現場の責任を背負うサラリーマン社長や役員がしっかり腹を据えて、自分の地位を擲(なげう)つくらいの気持ちと反骨心で仕事に当たると、しばしば革新が生まれます。同じ時代に球界で激しく生きた2人を、僕は書き残したかったんです」

厳しく成果を求められる環境だからこそ、革新の望みはどこまでも捨てない。何事もあきらめずに、今日できる仕事を見つけ出し、解決に励む。背広に包んだ心の奥底に抵抗の芯を持った主人公の生き様は、サラリーマン必読のドラマだ。

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清武英利
ノンフィクション作家
1950年、宮崎県生まれ。読売新聞社入社後、記者を経て、読売巨人軍球団代表を務めた。著書に『しんがり 山一證券 最後の12人』『石つぶて 警視庁二課刑事の残したもの』(ともに講談社)など。

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(プレジデント編集部 撮影=石橋素幸)

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