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「いまは信用をお金に換える時代」そんなインフルエンサーの言葉を信じてはいけない

プレジデントオンライン / 2021年2月28日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi

どうすれば稼げるようになるのか。ビジネストレーナーの岡崎かつひろ氏は「稼げるようになるためには、お金よりも価値のある信用を高めるべき。ただ、安易に信用をお金に換えてしまえばお金も信用も失うことになる。信用をお金に換えるのではなく、信用をもとにお金を生み出す仕組みを考えるべきだ」という――。

※本稿は、岡崎かつひろ『“好き”を仕事にできる人の本当の考え方』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

■「得意なことをやろう」と考える人は努力が足りてない

「好きなことを仕事にしよう」と並ぶ、もう1つのダメな働き方が「得意なことをやろう」「長所を生かそう」というものです。これは、まったくダメです。

この手のアドバイスに従ってしまう人は、本当に自分の得意なことがわかるほどの努力をしていないケースが多いです。どんなことだって、努力していく過程には壁がつきものです。

「自分にはできないんじゃないか」「じつは自分に向いていないんじゃないか」など、自分の能力を疑ってしまう……そんなときが必ず来ます。壁を乗り越えて次のステージ、また次の壁を乗り越えてその次のステージ、そうやって壁にぶつかりながら、自分のステージを上げていくものなのです。

ほかの人から見て「この人は○○が得意だ」と見えているものも、本人の自己評価は低かったりします。「いやいや、まだこんなもんでは……」という感じです。それはそうですよね、上には上がいるのだから。

おもしろい心理効果に、ダニング=クルーガー効果というものがあります。これは、1999年にこの効果を定義したコーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが提唱した認知バイアスのことです。簡単に言えば「能力が低い人ほど、自分の能力を過大評価しやすい」というものです。

■それは本当に「得意なこと」なのか

たとえば、平均点が60点のテストがあったとします。このテストで、60点以上だった人ほど自己評価が低く、逆に60点以下だった人ほど自己評価が高くなります。結果、平均点以上の人は「自分はまだまだだ」と思って努力を続け、平均点以下の人は「自分は十分だ」と思って努力しなくなるのです。

「得意なことを仕事にしたい」と考えている人は、「自分には人より秀でた、得意なことがある」と考えているわけですが、そもそもそれが大きな間違いである可能性があります。自分で得意だと思っている時点で、じつはそれを仕事にしている人たちと比べると、平均点以下だということも十分あり得るわけです。

プロフェッショナルや挑戦し続けている人は、得意か不得意かなんて気にしていません。気にしているのは、「やりたいか、やりたくないか」よりも、「やる価値があるか、ないか」です。やる価値があるなら、好きでなくても、不得意でも、関係なくやるわけです。

■長所を自分で決めつけてはいけない

人は鏡でも使わない限り、自分の顔すら確認できない生き物です。先日も、次のようなことがありました。私が講師をさせていただいている、ジャパンスピーカーズビジネスカレッジでおこなっている講座にJSBC人材アセスメントコースというものがあります。

このコースは個人のビジネス能力を正確に診断することが可能です。米軍の幹部候補を選ぶ際におこなわれていたテストが元になっていて、日本の大手企業でも幹部候補を選ぶ際に使っています。門外不出といったら大仰(おおぎょう)かもしれませんが、受講枠が少ないため、なかなか一般で受けることは難しく、知られていないのが現状です。

このコースを私の友人が受けたのですが、彼女の受講前の自己評価は、「共感性は高いが、情報理解する力は弱い」というものでした。ところが受講して出た結果は真逆。「共感性が低く、情報理解力が高い」というものでした。本人はびっくりしていましたが、周りの人には納得の結果でした。

思考する人
写真=iStock.com/chachamal
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chachamal

自分のことをわかっている、自分がなにが得意なのか理解していると思うのは、大きな間違いです。もちろん、自分で長所だと思っているところを大事にして、それを伸ばすための努力をするのはいいことです。

でも、自分で長所を決めつけず、自分の気づいていない長所を増やすことに挑戦したほうがいいと思うのです。そもそも、成果を出すには、得意なことだけでは足りないことが多々あります。とくに若いうちは、自分の得意不得意なんて、あまり気にしすぎないほうがいいでしょう。

なんでもまずやってみる。そして、自分の目的のためにやる価値があることは、好きとか得意という基準を無視して、身につけるようにしてみてください。

■「信用」の価値は高まっているが…

「クラウドファンディングを始めたので、お金を出してもらえませんか?」

こんな相談が、最近よく来ます。

一時ほどのブームではなくなったような感じもしますが、それでも一定数のクラウドファンディング利用者がいます。私もおもしろいクラウドファンディングがあるとお金を出し、その商品を手に入れたりしています。

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する方法です。あなたもなにか商売を始めるときにクラウドファンディングでお金を集めるのは、効果的な方法の1つでしょう。しかしこのクラウドファンディングから、今の時代でなにが大事なのかを考える必要があると思います。

今の世の中はお金を持つことよりも、「信用を持つ」ということのほうが価値が高いです。キングコングの西野亮廣(あきひろ)さんがわかりやすいでしょう。彼がクラウドファンディングをすると、多くのお金が集まります。

もちろん、西野さんも全員に好かれているわけではないでしょう。しかしある一定数のコアなファンがいることはたしかです。そのコアなファン、言い方を変えれば信用度が高いファンの人たちは、「西野さんがやることならおもしろいはずだ」とお金を出すわけです。

同じことをやっても、西野さんでなければあれほどのお金は集まらないでしょう。

■「信用をお金に換える」ことで信用度は下がっていく

この「○○さんのやることならおもしろいはずだ」というお金の集め方は、信用をお金に換えて、お金を集める方法です。信用をお金に換えているので、換えた分だけ、信用度は下がっていきます。どういうことかというと、「岡崎さん、クラウドファンディングを始めたから、お金を出してくれない?」なんてことを繰り返していると、どんどん人が離れてしまうわけです。

そりゃそうです。ちょっと付き合いがあるだけで何回もお金を出してくれと言われたら、たまったもんじゃありません。だから、頻繁に信用をお金に換えてしまっていると、長続きしない人間関係になってしまうのです。

募金箱を持つ男性の手
写真=iStock.com/CatLane
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/CatLane

理想的なのは信用をお金に換えるのではなく、「信用からお金を生み出す」ことです。信用をお金に換えることと、信用からお金を生み出すという概念はまったく別物です。たとえばクラウドファンディングの例であれば、「○○さんがやっているから」という導入理由は問題ありません。

大事なのはここから。実際のサービスを見たときに、「このサービスなら○○さんでなかったとしても出資しますよ」と言われるのが理想的です。こうなると、元々の信用を土台にして、さらに信用を得て、お金まで出してもらうことができるのです。

■「信用からお金を生み出す」仕組みを考えるべき

オンラインサロンもわかりやすい例でしょう。

オンラインサロンとは、月会費で非公開のグループをつくり、そのなかで情報やサービスを提供していく仕組みです。提供されている情報やサービスが満足いくものであれば、継続して参加してもらえます。

岡崎かつひろ『"好き"を仕事にできる人の本当の考え方』(きずな出版)
岡崎かつひろ『“好き”を仕事にできる人の本当の考え方』(きずな出版)

またオンラインサロンでおもしろいのは、継続していくと過去の記事まですべて読めるので、サロンとしての価値がどんどん上がっていくことです。これはなにも、オンラインサロンだけの話ではありません。似たような取り組みは飲食店でもおこなわれています。

先日もある飲食店に行ったところ、月額5000円で何回来ても飲み放題というサービスをやっていました。月5000円で何回でも飲めるわけですから、満足度が高い。さらに食事もおいしいので、+αで売り上げが上がっていく。よく考えられた仕組みだと思います。

いまでは焼き肉店や、ラーメン店などでもこのサブスクリプション、定額制サービスをおこなっているところがいくつもあります。あなたも自分の信用を積み重ねながら、お金を生み出す仕組みを考えてみてはいかがですか?

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岡崎 かつひろ(おかざき・かつひろ)
ビジネストレーナー
埼玉県坂戸市出身。株式会社XYZ代表取締役、他2社を有する経営者。ソフトバンクBB株式会社入社後、4年で独立。ビジネストレーニング事業、業務コンサルティング、小売店支援、飲食店コンサルティング、旅行事業、会議室事業など多岐に展開する。パーソナルモチベーターとしても活躍。著書に『自分を安売りするのは“いますぐ”やめなさい。』『言いなりの人生は“いますぐ”やめなさい。』『憂鬱な毎日は“いますぐ”やめなさい。』『なぜ、あの人は「お金」にも「時間」にも余裕があるのか?』(いずれも、きずな出版)がある。

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(ビジネストレーナー 岡崎 かつひろ)

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