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グーグル社員もやっている「紙とペンだけ」で心のモヤモヤを消す方法

プレジデントオンライン / 2021年3月9日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

心のモヤモヤを解消するには、なにをすればいいのか。エグゼクティブコーチの吉田典生氏は、「『ジャーナリング』という手法がおすすめだ。一定時間、あるテーマについて自由に書き続ける。まずは5分間、試してみてほしい」という——。

■「一人で」「手軽に」自己と向き合える

ワクチン接種の動きはあれど、しばらく続きそうなコロナ禍。「テレワークをしているが、集中力が途切れてしまう」「外出自粛で友達と会えずモヤモヤ」「漠然と将来が心配」……。そんな悩みを抱えている方に私がお勧めしたいのが、“ジャーナリング”です。

ジャーナリングとは、一定の時間、与えられたテーマについて頭に浮かんだことを紙に書き出し、それを読み返す(フィードバックする)ことで自己理解を深めるワークのことで、“書くマインドフルネス”とも呼ばれています。「テーマ」と「手を動かし続ける」という2つのことに注意を留め、意識が他のことにそれたことに気づいたら、再び戻って書き続けます。

アメリカではIT企業を中心に活用が進んでいて、Facebook社COOのシェリル・サンドバーグ氏が著書『OPTION B 逆境、レジリエンス、そして喜び』(日本経済新聞出版)の中で夫を亡くした時にジャーナリングを使って立ち直ったことを発表しているほか、Google本社のリーダーシッププログラムにも採用されています。

ジャーナリングの最大のメリットは「一人で」「手軽に」自己と向き合えることです。カウンセリングやコーチングを受けるとなると、必ず他人に自己開示しなければなりません。他人を前にすると少しはかっこつけたり構えたりしてしまうものですが、ジャーナリングは一人で行うのでより気軽に自分をオープンにできます。「自分はこんなことを考えていたのか」「こんなことを感じていたのか」と自力で気づくことができる。つまり、自己認識を一人で深めることができるのです。

■お題はポジティブなものを選ぶといい

ジャーナリングを行うためには、まずお気に入りの筆記用具を用意してください。専用ノート、専用のペンを用意するのがお勧めです。私はいつも2Bの鉛筆を使っています。筆圧が強いのを気にせずさらさらと書けるからです。手を動かすことが重要なので、PCやスマホに文字を打ち込むのはお勧めしません。

ジャーナリングに詳しい吉田典生氏
ジャーナリングに詳しい吉田典生氏

次に、「問い」と呼ばれるテーマを立てます。自分の心が動くことや興味を持っていることからポジティブなものを選んでください。ただし、最初から自分で問いを立てるのは難しいので、今回は拙書『「手で書くこと」が知性を引き出す 心を整え、思考を解き放つ新習慣「ジャーナリング」入門』(文響社)で例として挙げている、「ドラえもんのポケットを持って1年間生きられるとしたら」という問いでやってみましょう。

 

■とにかくノンストップで書いていく

5分間のタイマーを設定して、先ほどの問いを元に思いついたことをどんどん書いていきましょう。「ドラえもんのポケットを持ったら、私はどこでもドアを使って世界中を旅したい。なぜなら~」といったようにです。

太陽の下で楽しいひとときを
写真=iStock.com/AzmanL
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AzmanL

思考がストップして何も浮かばなくなってきたら「何も浮かばなくなってきた。頭がぐちゃぐちゃだ」と書いても構いません。急ぐ必要はありませんが手を動かし続けます。誤字、脱字も気にする必要はありません。自分で読み返してわかる状態ならなんでも良いのです。

ライターの土居雅美氏が実際に行ったジャーナリング。
ライターの土居雅美氏が実際に行ったジャーナリング。

タイマーが鳴ったら終了です。2分ほどインターバルを置いてからフィードバックを始めます。書いたものから気になる単語や自分から出てくると思わなかった意外な単語、繰り返し出てきている表現などにマーカーで印をつけていきましょう。

そして、書いたものに対して出てきたワクワクなどの感情を味わいます。十分味わったら、それをもとに箇条書きで感じたことをメモしていきます。ある程度整った文章でも構いません。

この作業によって、自分の本当の気持ちを「客体視」することが可能になります。

■繰り返しているうちに「自分」が見えてくる

ジャーナリングは同じテーマで一日に何度もやっても良いですし、間が空いても構いません。ノートに日付を入れておけばあとで読み返したときに「あのころから変化した自分」「逆に今とずっと変わらない自分」の両方に気づくことができます。繰り返しているうちに「自分とはいったい何なんだろう」ということが見えてくるはずです。

また、一度のジャーナリングとフィードバックで出てきた事柄や感情から連想して、新しい問いが生まれることがあります。次のテーマは自然に決まることも多いのです。

例えば、今回、私の談話をまとめてくださったライターの土居さんの場合、フィードバックに「友達に会いたい」とあるので、次は「友達と会えたらどこに行きたい?」という問いでやってみるのもいいでしょう。

私はジャーナリング講座を開いており、受講生に教える機会があります。正月になると「あなたが今、問うべき問いは?」というテーマで書いてもらいます。目標を立てるのが好きではなかったり苦手な人でも、大切にしたいことが見えてきやすいからです。もちろん正月でなくても、思い立ったら試してみてください。

受講生の中には会議や人と会う仕事の前にジャーナリングを行っている人も多くいます。これから仕事で達成したい目標が明確になり、心の準備ができるといいます。

また、仕事中に良くない空気になっても自分を立て直してホールドしていられる効果もあるようです。仕事でなくても、人と接する前に自分のセットアップができるという点ではすべての人に推奨できます。

ジャーナリングをしているうちに自然と新しい問いが生まれてきます。問いを立てる能力はこれからAIと共に仕事をしていく中で必要不可欠な能力と言えます。問いを立てる力は21世紀を生き抜くための大事なリベラルアーツです。まずは5分、試してみませんか?

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吉田 典生(よしだ・てんせい)
エグゼクティブコーチ
MiLI理事、マインドフルネス・ベースド・コーチ・キャンプ創設者。1963年、三重県伊勢市生まれ。関西大学社会学部マスコミュニケーション学専攻卒。ビジネス誌の編集記者を経て2000年にドリームコーチ・ドットコムを設立。以降、経営者・幹部層のエグゼクティブコーチとして、組織環境に適応する効果的なリーダーシップの開発と実践を支援。著書に、『「手で書くこと」が知性を引き出す』(文響社)、『心に静寂をつくる練習』(WAVE出版)、『世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方』(JMAM)『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』(日本実業出版社)等多数。

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(エグゼクティブコーチ 吉田 典生 構成=土居雅美)

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