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「部下がぜんぜん成長しない」そうグチる上司が必ず勘違いしていること

プレジデントオンライン / 2021年3月12日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nikada

部下を成長させるには、どうすればいいのか。人事コンサルタントの望月禎彦氏は「育てベタの上司は部下の『印象』に縛られて、部下の人間性を間違ったまま、同じ指導を繰り返していることが多い。それでは部下は成長しない」という――。

■「印象」の呪縛が、あなたを「育成下手上司」に……

まず、皆さんに2つ質問があります。

Q1 あなたの部下は、リモートワークをしながら、しっかり仕事に集中できていると思いますか?
Q2 Q1の答を出した根拠は何ですか?

この質問、Q1よりもQ2が、実は大切です。

Q1の質問に対しては、「しっかり仕事をしているはず」という答えも、「もしかしたらさぼっているかもしれない」という答えもあるでしょう。

部下によって、まちまちかもしれません。

ではQ2の質問にはどう答えましたか?

多くの方が、部下からの日報や打ち合わせをするなかで感じた「印象」で答えているのではないでしょうか。実はこの「印象」がやっかいなんです。なぜなら、「印象」は「一部分だけ」を見て、決めていることが多いからです。これだと、部下の本当の姿を見誤る可能性が高いのです。

たとえばあなたが、新しいレストランに行ったとしてください。

お店の方がすごく感じがよいサービスをしてくれると、その人の「印象」は、しばらくは、「いい人」のままですよね。実は、その人は遅刻魔かもしれませんし、家に帰るといつもムスッとしている感じの悪い人かもしれません。でも、そのときに見えた「印象」で、その人を「いい人」と決めてしまうわけです。

育て下手な上司の大きな特徴の一つが、部下を「印象」のみで、部下がどういう人間かを判断し「こいつはサボり癖があるから厳しく」「言うことをよく聞くあいつには、優しく」などと、決めつけて指導していることです。

■ダメな上司ほど、同じ指導を繰り返す

同じ指導でも当然、受け取り方は十人十色ですし、状況によっても変わってきます。だからこそ、部下のことをよく見て、そのときどきに合った指導をしなければならないのに、育てベタの上司は、「印象」に縛られて、部下の人間性を間違ったまま、同じ指導を繰り返していることが多いのです。

たとえば、よくみかけるのが、あいつはダメな奴だから、何度も言わなければならないと決めつけているケース。

「あれやっといて」と言って、しばらくやったら「なんでやってないの? 忘れずにやっといてよ」ともう一度繰り返し、それでも結局やってなくて「なんでやってないの? 忘れないでって言ったよね」とちょっとイライラしながら言う。そんな経験ないでしょうか。

「印象」に縛られて、同じ指導を繰り返す。これで多くの上司は失敗しています。

リモートで、その人に接する機会が減った今、この「印象」がなかなか変わらずに、指導がよりうまくいってないというケースが多いように感じます。

その結果、

・仕事の生産性が上がらない
・離職する人が後を絶たない
・部下との人間関係がうまくいかない
・仕事のトラブルがよく起きる

など、いろいろな問題が発生しています。

■いい上司の条件「部下の印象にとらわれない」

私は、約30年間、部下育成の指導にたずさわってきましたが、リモートワークが広がっていく中で、これまで以上に会社の、そして上司の育成能力が、会社の業績に与える影響がより大きくなってきたと感じています。

育成がうまくいっている会社は、リモートでも部下が効率的に仕事をし、それまでと変わらない、むしろそれまで以上に効率的に仕事ができていますが、育成がうまくいっていなかった会社は、リモートでより一層育成が難しくなり、苦戦を強いられているように見受けられます。『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術 部下ノート』を今回、出版したのも、そのような上司の悩みを少しでもやわらげることができないかと思ったからです。

では、指導がうまくいくには、どうすればいいか。それは、「印象」にとらわれず、部下のことをよく知り、適切な指導をすることです。

歩きながら会話する2人のビジネスウーマン
写真=iStock.com/imacoconut
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imacoconut

そこで、私が自信をもっておすすめする方法があります。それが「部下ノート」です。

■指導力をぐんっとあげる「部下ノート」の書き方

本書では、以下のように例を挙げて、詳しく掲載しているのですが、ここでは簡単に説明していきます。

部下ノートの記入例
出典=望月禎彦、髙橋 恭介『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術』(アスコム)

まず、上の記入欄に、何度も同じことを聞いてくるとか、最近売り上げが減っているとか、部下の気になった行動を書きます。

次に下の段に、それに対して、部下にどう指導したかを書く。そして、後に、自分の指導によって行動が変わったかを○、△、×の三段階で評価し、3週間を目安に、成果につながったかを同じように○、△、×の三段階で評価します。

○は成果が出た、△がこれからうまくいくかもしれない、×がダメだったという感じです。

行動が×であれば、指導自体を見直して、成果が×の場合は、成果を出すためには、どうすればよいのかを改めて考えます。

上司というのは、意外に自分が部下に対して、どんなアプローチをしたのか意識して覚えていないものです。

「部下ノート」をつけると、場当たり的に行っていた指導が記録され「見える化」されることで、精度の高い次の一手が打てるようになります。「部下ノート」を使って、定期的に、部下の行動と自分の指導方法をチェックし、「どういうアプローチをしたらいいのか」を見直すことができるのです。

これを繰り返していくことで、部下のことがよくわかり、「印象」にとらわれずに、その人にとってベストなアプローチ方法が見つかって、驚くほど部下が成長していきます。

■指導のPDCAを回す

「本当に?」と思われるかもしれませんが、「自分が部下になんて指導したのかを覚えていますか?」「それが結果を結んだかどうか、検証していますか?」という質問にYESと答える上司は非常に少ない。プランを立てて、実行して、検証して、修正するというのは、仕事の基本ですが、これが部下の指導に関してだとできていない人が非常に多いのです。

それをできるようになるためのツールが「部下ノート」なのです。

特にテレワーク下だと、接触機会が減少するため、どうしても上司と部下の間に溝ができやすくなってきます。

部下とあまり会わなくなるからこそ、メールやWeb会議でどういうアプローチをしたかをチェックして記録し、「印象」にとらわれずに、部下のことを見て、最善のアプローチ方法を探していくことはとても重要です。

1日1行で構いませんし、馴れるまでは、単なる悪口でも構いません。部下のことをよく見るくせを、そして部下のことについて、毎日記録する習慣をつけることが大切なのです。

部下の育成にそこまで時間がかけられないと思う方。部下ノートはそんなに時間がかかりません。5分もあれば書きあがるはずです。

望月禎彦、髙橋 恭介『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術』(アスコム)
望月禎彦、髙橋 恭介『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術』(アスコム)

そして、部下が成長すれば、一番得するのは、上司です。部下によって受けるストレスが減り、部署の成績が上がり、管理職としての評価は高まります。

さらに、会社が成長します。詳しい話は本書に譲りますが「部下ノート」を続けたことにより、営業のノウハウの伝達がうまくいくようになり、売り上げが前年比1.5倍になった、ミスの洗い出しで、3000万円のコストダウンになったといった成果が出ています。

今の状況では新しい人材の確保は難しいという会社の上司は、特に「部下ノート」をつけて、今いる社員を別人のように育てあげてみてはいかがでしょうか。

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望月 禎彦(もちづき・よしひこ)
人事コンサルタント
人事政策研究所代表。1960年生まれ。ユニ・チャーム株式会社にて営業を経て人事部で採用、研修の実務を経験。92年に独立。主に中堅企業の人事政策を支援。支援先は、350社を超える。著書に『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術 部下ノート』(共著、アスコム)、『なぜあの会社の社員は、「生産性」が高いのか?』(フォレスト出版)などがある。

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(人事コンサルタント 望月 禎彦)

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