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「上司に振られた無意味な仕事」をうまく回避するための3通りの話し方

プレジデントオンライン / 2021年3月11日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/aluxum

上司から「やっても成果につながらない仕事」を振られたとき、どうすればいいか。マネジメントコンサルタントの濱田秀彦氏は「そういう仕事をやっていては生産性は向上しない。3つのポイントを押さえれば、カドを立てずに断ることができる」という——。

■やっても成果につながらない仕事をいかに放出できるか

マネジメント研修の講師という仕事柄、様々な企業の幹部と話をする中で、成果主義への移行が粛々と進んでいると感じています。企業は、コロナ禍という外圧でリモートワークが進んだのをきっかけに、社員に対し「働く場所、働く時間の自由度を上げるかわりに、成果で評価をする」という方向に進みつつあります。

ビジネスパーソンは、会社で長時間働くことや、かいた汗の量の多さで評価されることはなくなります。そして、企業が期待する大きな成果をあげつつも、仕事に投入する時間は抑え、ベストなワークライフバランスを自ら構築することが重要になってきます。

その中で邪魔になるのが、やっても成果につながらない仕事。そういった仕事を大量にこなしても評価にはつながりません。そういう仕事を効率よくこなしたところで、さほど意味はないのです。成果と認められないような仕事を早く放出する。実は、これが生産性向上の大きなポイントです。ただ、そのためには戦略が必要になります。

単に「この仕事は、他の人に担当を変えてほしい」と言ったら上司は「何を言っているんだ、みんな大変なんだぞ」という反応になります。問題の仕事を放出できないばかりか、「自覚のない部下」とレッテルを貼られることさえあります。では、どうすればよいのでしょう。

■上司を説得するための3つのメリット設計

成果と認められない仕事を放出するためには、次の4つのステップが必要です。

放出ターゲット業務を選ぶ
 ↓
放出シナリオを作る
 ↓
上司を説得する
 ↓
放出のための引き継ぎを行う

放出ターゲット業務は、職場の業績への影響度で選びます。職場の目標や業績への影響が小さい仕事は、成果と認められにくく、評価につながらないもの。そのような仕事は、ある程度パターン化されていて、量が多いという傾向があります。まずは、自身の仕事の中から、そういった仕事をピックアップして、放出ターゲットを明確にしましょう。

インタビューを拒絶するビジネスパーソン
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

放出ターゲットを決めたら、次は最大のポイントになる放出シナリオ作りです。仕事を放出するには、上司を納得させなければなりません。納得させるためには、こちらの提案が上司にとってメリットと感じられるものである必要があります。

では、上司にとってメリットと感じることはなにか。それは次の3つです。

①チーム業績があがる
②チームとして新しいことに取り組める
③上司が抱えている仕事が減る

この3つのいずれかにつながる仕事を担当することを前面に出して提案をします。「その仕事を担当するために」という理由で、成果と認められにくい仕事を放出する。つまり、交換条件です。

この中でお勧めは、②の新しいことです。なぜなら、新しいことは取り組むこと自体に価値が認められるため、成果目標のハードルを低めに設定できるからです。①のチーム業績につながるものは、王道ですので良いのですが、それなりに高い成果目標を設定する必要があります。目標値を大幅に上回ったという評価を得るという点では②の新しいことのほうが、可能性が高いというわけです。

③の上司が抱えている仕事が減る、というのも効果的ですが、引き受ける仕事の選択が難しいという課題があります。どの仕事が上司の負担になっているのか、部下の立場では見えにくいというのが理由です。逆に、上司が嫌がっている仕事がわかっていれば、ダイレクトに上司のメリットになるため、切り札にしやすいと言えます。

このようにして、放出シナリオを作ったら、次は上司の説得です。

■トークシナリオでは「新規顧客の開拓」を先に持ってくる

上司の説得に向けては、話し方がポイントになります。話す順番は、新たに担当する仕事を先にするほうが、よいでしょう。

△「この仕事の担当をはずしてほしい。そしてこういう仕事をやってみたい」
○「こういう仕事をやってみたい。ついては、この仕事の担当をはずしてほしい」

比べてみると、後者のほうが、前向きな印象を与えられます。

では、具体的に上司に話すトークの例を挙げましょう。シーンは上司と対面、またはオンラインで話し合っているイメージです。

『「ニューノーマル」最強仕事術』(講談社ビーシー)
『「ニューノーマル」最強仕事術』(講談社ビーシー)

「ご相談があります。これまで、チームとして新規顧客の開拓が課題になっていたと思います。さらにコロナ禍で新規取引先開拓の取り組みが進みにくくなっているという現状があります。そこで、私がこの重要テーマに取り組んでみたいと考えています。やる以上は、半期で5社を目標にするつもりです。そのための取り組み時間を生み出すために、現在担当している修理部品の発注業務の担当を、他のメンバーに任せたいのですがいかがでしょう」

このトークシナリオでは「新規顧客の開拓」を切り口にしましたが、これを「新業態の開発」「新企画の実現」「業務改善プランの立案と実行」といったものに置き換えても同じように活用できます。また、前出の「チーム業績があがる」、「上司が抱えている仕事が減る」ことを切り口にする手もあります。

こうして、上司が説得できたら、最終段階の引き継ぎのステップに進みます。

■アフターコロナに生き残る社員として必要な考え方

これら一連のステップでは、成果と認められにくい仕事を放出するだけではなく、新たな仕事を引き受けることになります。仕事を入れ替えることになるため、負担が減ることはないでしょう。ただ、成果と認められやすい仕事は、高い評価につながりますし、自分自身のスキルアップに大きなプラスになります。

同じように汗をかくなら、より評価と、自分のスキルアップにつながる仕事のためにしたいということ。そして、このような取り組みは、アフターコロナの景気低迷下で、必要な社員として生き残っていくためにも、必要になることなのです。

本稿の内容を含め、タイムマネジメントについては『「ニューノーマル」最強仕事術』(講談社ビーシー)に詳述していますので、そちらも参考にしていただければ幸いです。

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濱田 秀彦(はまだ・ひでひこ)
ヒューマンテック代表取締役
株式会社ヒューマンテック代表取締役。マネジメントコンサルタント。ビジネス書作家。1960年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て大手人材開発会社に転職。営業マネージャー、経営企画マネージャーを経て、1996年に独立。現在はマネジメント、コミュニケーション研修講師として、階層別教育、プレゼンテーション、話し方などの分野で年間150回以上の講演・セミナーを行っている。これまで指導してきたビジネスパーソンは20000人以上。『なぜか評価される人の仕事の習慣』『上司の言い分 部下の言い分』『年上の部下を持ったら読む本』など著書多数。

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(ヒューマンテック代表取締役 濱田 秀彦)

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