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「アポ取りがうまい人」が相手の警戒心を解くために使う"必殺フレーズ"

プレジデントオンライン / 2021年3月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/pixelfit

「相談がある」「話がしたい」と言われれば、だれもが身構えてしまう。自然な形で人と会う約束と取り付けるにはどうすればいいのか。マネジメントコンサルタントの濱田秀彦氏は「相手に安心感を与え、自尊心をくすぐる言葉遣いを心がけるといい」という——。

■用事のために行くだけの出社だと仕事が細る

仕事柄、講師としてリアルセミナーやオンライン研修で多くのビジネスパーソンと話をする機会があります。

テレワークの状況を聞くと、出社とテレワークを組み合わせて活動している人が大半です。そんな時、「テレワークでよいと言われているのに、どうして定期的に出社するのですか?」と聞くと、最も多いのが「書類関係で行かなくてはならない」というもの。取引先から送られてくる書類の処理をしなくてはならない、契約書類に印をもらわなければならない、といった理由です。

そのほかにも、来客や社内ミーティングの対応のため、大量の文書プリントのためといった理由で、用事があって、仕方がないから行くということ。でも、これはとてももったいないことです。

10年以上前の話ですが、かつて私は会社員時代、自分のやりたい業務に専念するため、自ら望んで固定プラス成功報酬の契約社員になりました。2年間、月に2回ほど出社し、後は自宅と客先、出先でワークするという生活を続けました。いまのみなさんとよく似ています。

やってみると、会社に行かなくても、仕事はできますし、通勤や作業の寸断が少ないため、むしろ仕事がはかどります。「これはいい」と思いました。

出社に関しては、最初の頃、私も「ねばならない」で出社していました。自分宛に顧客や業者から送られてくる郵便物を取りにいかなければならない、社内にある特殊なシステム機器を使うために行かなければならない、といった感じでした。用事のために行く、というマインドですから用事が済んだら、さっさと帰ります。

しかし、それを続けていたら、だんだんと仕事が細ってきました。また、どんどん仕事がやりにくくなっていきました。それには3つの理由がありました。

■テレワーク中心になることの3つの弊害

ここからは、私の経験に基づいた話です。出社しない、あるいは出社しても用事を済ませたら帰ってきてしまうことの弊害は、主に3つあります。

1つめの弊害は、新たなビジネスチャンスと触れる機会が減ることです。個人に入ってくる情報には限界があります。一方、会社という大きな受け皿にはさまざまな情報が入ってきます。そういった情報に触れられなくなるのは大きな問題です。自分の実績やスキルアップにつながるプロジェクトの情報が入ってこなくなると、仕事は細り、有益な経験ができなくなるからです。

2つめの弊害は、人間関係が希薄になり、仕事が進めにくくなることです。メールやメッセンジャーで、事務的なやりとりをしているだけだと、「気心の知れた」状態は薄まります。「そこをなんとか」という頼みごとがしにくくなりますし、相談をしても教科書通りの答えしか得られず、仕事上の問題解決に手間と時間がかかるようになってきます。

そして、3つめの弊害は、自分自身のアイデアが枯渇していくことです。特にものごとを批判的に見る傾向のある人にとって、これは深刻な問題です。なぜなら、ひとりで考えていると「これはいいかも」と思うことがあっても、もう一人の自分が「いや、それはダメだ」とアイデアをつぶしてしまうからです。身近に楽観的な人がいて、その人と話していると批判というブレーキをはずしてもらえます。それができなくなるのが問題なのです。

出社は、この3つの弊害を除去するための機会です。その観点から、出社したらやりたい3つのことは以下になります。

①ビジネスチャンスをつかむ
②人間関係のメンテナンス
③アイデアを作ってくる

出社のきっかけは、「ねばならない」用事を済ますためでもよいでしょう。ただ、出社するなら、それに加えて3つのことをやってくる。むしろ本命はそちらです。

出社の頻度は、この3つができれば月に一度でもよいですし、「この3つのためには週に1回は行く必要がある」と思えば、それがよいでしょう。

マネジャーと相談しながらデザインの調整
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

出社を戦略的に活用するために必要な頻度を、自ら決めるのがお勧めの方法です。

そして、出社したら目的を達成してくる。そのためには、周到な準備が必要です。

■出社の価値を高めるためにはアポが必要

出社の目的としてお勧めした、「ビジネスチャンスをつかむ」「人間関係のメンテナンス」「アイデア作り」、これらに共通することは、「会う相手の人選」が重要だということです。ビジネスチャンスを持っている相手、仕事を進める上で人間関係を深めておいたほうがよい相手、アイデア作りの触媒になってくれる相手、そういったヒトと会うことがポイントです。そのためには、アポをとっておくのが効果的です。

こちらが出社するのは、限られた日。行った日にターゲットになる相手がいなければ、意味がありません。また、相手がいても、話をする時間が十分にとれない状態では効果が薄れます。アポが効果の分かれ目になるというのはそういうことです。

誰に会うかターゲットが決まったら次にやることは、アポトークです。次の3つのトークを比べてみましょう。

A.話がしたいので時間をとってほしい
B.○○の件で相談があるので、時間をとってほしい
C.○○について、教えてほしいことがあるので時間をとってほしい

あなたは、どのトークを選びますか。私がお勧めするのはCの「教えて作戦」です。Aの「話がしたい」だけだと、相手は目的がわからず、話をするべきか迷う可能性があります。Bのように、件名を言った上で「相談がある」というトークはAに比べ、目的がはっきりしており、イエスという答えが得やすい点でベターです。ただ、警戒心の強い相手の場合、「何か頼まれるのではないか」と思うこともあります。

一番のお勧めであるCの「教えて」というのは、「教えるだけでいいんだ」という安心感を与えられるだけでなく、相手の自尊心をくすぐるという点で効果的です。「教えてほしい」と言われれば、相手は「自分の知識や技術の価値が認められている」と感じますし、実際に教えることになれば、上からモノが言える快感も得られます。だから、会う前の段階で、相手をある程度、良い気分にさせる「教えて作戦」が有効なのです。

■テレワークのできない社員には感謝とねぎらいを

前出のように、アポをとってターゲットになる相手に会うと、思わぬプレゼントがもらえることがあります。それは、「ついでの話」です。相手はあなたと会うことが決まったら、事前に「ついでに、なにか伝えることはなかったっけ」と考えます。そして、「誰かに頼もう」と思っていることの中から、あなた向けの話を探してくれます。

つまり、あなた向けの「宿題」を準備してくれるのです。それは、ビジネスチャンスだったり、新しいプロジェクトのメンバー探しだったりします。これは、アポをとらなくては生み出せない現象です。

『「ニューノーマル」最強仕事術』(講談社ビーシー)
『「ニューノーマル」最強仕事術』(講談社ビーシー)

このように、出社は「ビジネスチャンスをつかむ」「人間関係のメンテナンス」「アイデア作り」という3つの目的のために、アポをとってするのが効果的です。

そして、出社したらもうひとつやりたいことがあります。それは、ずっと出社している人への感謝とねぎらいです。自社の中で、テレワークがしたくても、できない業務を担当している社員がいることがあります。出社したら、そういう人たちに、感謝とねぎらいの言葉をかける。これは、ビジネス上のマナーというより人としてやりたいことです。

出社を「ねばならない」ものから、自分のビジネスを進めるための戦略的なアクションにしていきましょう。

出社とテレワークのバランスについては、『「ニューノーマル」最強仕事術』(講談社ビーシー)にも記載していますので、そちらも参考にしていただければ幸いです。

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濱田 秀彦(はまだ・ひでひこ)
ヒューマンテック代表取締役
株式会社ヒューマンテック代表取締役。マネジメントコンサルタント。ビジネス書作家。1960年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て大手人材開発会社に転職。営業マネージャー、経営企画マネージャーを経て、1996年に独立。現在はマネジメント、コミュニケーション研修講師として、階層別教育、プレゼンテーション、話し方などの分野で年間150回以上の講演・セミナーを行っている。これまで指導してきたビジネスパーソンは20000人以上。『なぜか評価される人の仕事の習慣』『上司の言い分 部下の言い分』『年上の部下を持ったら読む本』など著書多数。

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(ヒューマンテック代表取締役 濱田 秀彦)

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