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「カステラを包丁で切ったことがない子」は小4以降に勉強でくじけやすい

プレジデントオンライン / 2021年3月19日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Koarakko

どうすれば子供は勉強が好きになるのか。プロ家庭教師集団名門指導会代表の西村則康氏は「小学4年生までの感動の積み重ねが大切だ。問題集を解く以外の場面でも、『なるほど!』と思える体験をさせるといい」という――。

※本稿は、西村則康『わが子が勉強するようになる方法』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■合格する子が持っている「成功の予感」

受験で合格する子どもは、「成功の予感」を持っています。たとえば、今、合格の可能性が50パーセントだとしても、

「僕はできる子だから、がんばれば受かる」

と、自分を信じられる子どもは、受験に成功する確率がとても高いのです。

反対に自信がなく、なんと不合格になった時の言い訳を考えているような子どももいて、そういう子は残念ながら合格が難しい場合が多いです。

ではどうしたら、成功の予感を持った子どもになれるのでしょうか。

自分を信じられる子どもは勉強をする時に、「そうか!」と全身で感じられるところまで知識を落とし込んでいるのが特徴です。一問解き終わるたびに「よし! これは絶対正解だ!」と信じることもできています。たとえば、

「300グラムの12パーセントは○グラムです」

という問題があったとします。その時、普通の子どもは機械的に300×0.12という式を頭に思い浮かべます。

■身体感覚のある子は、確信を持って問題を解ける

でも身体感覚のある子は、300グラムという大きな量のうちの0.12倍がどれくらいかを聞かれているのだと、具体的にイメージすることができます。

そして「300の0.12倍という意味だ。つまり、300グラムの10分の1よりちょっと多いくらいだ」というふうに考えを進めていくのです。そうやって身体感覚を活用して「よし! これは正解だ!」と確信できるのです。その確信が一つ一つ成功体験として蓄積されていきます。

一方、成功の予感を持てない子どもは身体感覚を持っていないか、または身体感覚へ落とし込もうとしてもそれができません。

私が説明しても、その時は「わかった」と言うけれど、1分後にはもう頭に残っていないのです。そういう子どもは聞いていないのではなく、聞いても記憶をため込む身体感覚がないと言えます。確信が持てない学習です。

身体感覚を育むには、低学年のうちに、子どもにさまざまな経験をさせることです。草木に水をやったり、重いものを移動させたり、お湯を沸かしたり、ものの匂いをかいだりといった五感の経験のすべてが、理科や算数、国語などの問題を解くベースになっていきます。たとえば300グラムと言われた時に、料理のお手伝いを経験している子なら肉や小麦粉の重さで300グラムを実感として知っていることでしょう。

■「あなただったら大丈夫」が自己肯定感を高める

そんな身体感覚に優れ、「自分はきっとできる」という感覚を持っている子どもは、問題を粘り強く読み進めていく力を持っているのも特徴です。

子どもというのは、がんばれそうだと自分が思えれば、がんばるもので、それを支えるのが成功の予感なのです。難問を前にして、「なんとしても解いてみせるぞ」と思うことができるのは、「僕(私)にはできるはずだ」という自己肯定感に裏打ちされた、成功の予感があるからです。

そうやって真剣に問題に取り組んだあとに解説を聞けば、

「あ〜、そこに気づけばよかったのか!」
「僕もかなりいい線までいったぞ」

と、適当に問題を解いた子どもよりも納得感が高まり、より自己肯定感を強めていくことができます。自分にはできるという自信は、まさにそういう小さな成功体験の積み重ねで身につきます。過去に成功体験があるからこそ、少しくらい無理かもしれないと思っても果敢にチャレンジできるのです。

自己肯定感が成功の予感を生み、成功の予感によってがんばれば、より自己肯定感が強くなって、さらに難しい問題が解けるようになっていきます。

黒板に描かれたダンベルを持ち上げる少女
写真=iStock.com/Chinnapong
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Chinnapong

そういった自己肯定感のベースは、実は親子関係、母親と子どものコミュニケーションのなかにあります。親は、

「自分の子だから大丈夫」

という感覚を持ち続けてください。そして、

「あなただったらできそうね」
「あなただったら大丈夫よ」

といった声かけを、うんとうんと、たくさんしてあげてください。

■ひとり言を言いながら勉強する子は伸びる

「頭のいい子」に育てるためには、小学4年生までにどれだけ感動を積み重ねられるかが大切です。問題を解いている時でも、

「あ、そうなのか」
「なるほど〜!」

などとひとり言を言いながら勉強している子というのは必ず伸びます。

たとえば、算数の問題がわからないとします。その時、親が一方的に教えたり説明したりするのではなく、子ども自身がなるべく考えるように仕向けるのです。

「この問題では何を聞かれているのかな?」

それで子どもが答えたら、

「なるほど。いいところに気づいたね」

と、もし答えが間違っていたとしても、とりあえず認めてあげましょう。正解が出たか出なかったかという結果だけではなく、思考の過程が正しければそれを認めて、ほめてあげるのです。

■「なるほど」の積み重ねで、勉強が好きになる

さらに、そうやって会話を続けながら、子どもに「自分で解いた」という思いを抱かせることが大事です。

そうすると、「なるほど!」「そうなのか!」という納得感やうれしい感情とともに、大切な知識が脳に刻まれていきます。

そういった「なるほど」という感覚は、単に「わかる」こととは違います。「わかる」というのは、答えまでの筋道を、単にたどっていくことを指します。でも「納得」というのは、筋道を最後までたどる過程で、「なるほど」「そうだったのか」と感情が動く状態なのです。

その達成感を重ねることにより、勉強が好きになっていきます。こういった体験を1000回、いえ2000回でも、3000回でも小学生のうちに繰り返し経験させてあげてください。

そういった成功体験があれば、少し難しい問題に出合っても、「がんばればできるかもしれない」とチャレンジできる子どもになるのです。

■「カステラを包丁で切る体験」で立体感覚が身につく

とりわけ小学4年生までのあいだは、問題集を解く以外の場面でも「なるほど!」体験をさせてあげましょう。

図形を勉強すると、立体問題がよく出てきます。それを理解するためにも、実際に展開図を自分で書いて、それをハサミで切って組み立ててみるのです。受験問題でよく出てくる、三角すいの展開図などはまさにうってつけです。

また、立体を切ってみることも理解を深めます。コンニャクやカステラを包丁で切るという体験です。

西村則康『わが子が勉強するようになる方法』(アスコム)
西村則康『わが子が勉強するようになる方法 2500人以上の子どもを超有名中学に合格させた「伝説の家庭教師」が教える超実践的な38のルール』(アスコム)

立体の切り口がどうなるか、まるで透視能力のように理解できる子どもも時々いますが、多くの子どもは、それを自分で学びとる必要があります。実際に自分でつくり、組み立てたり切ってみたりすることで立体感覚を身につけることができますし、かならずや、「なるほど!」という発見や感動があるのです。

さらには、何か古くなった機械などがあれば、それを分解して組み立て直すのも、とてもいい経験です。つくっては壊し、壊してはつくる子どももいますが、その体験のなかから得られることははかり知れません。

大きくなるとこういった工作には興味が湧きづらくなるので、これはぜひとも小学4年生頃までにやっておきたいことの一つです。受験する、しないにかかわらずです。小さい頃から勉強だけをやらせていると、頭打ちになりやすいのです。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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(プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康)

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