カードローンにリボ払い…赤字がどんどん膨らむ人の残念な特徴
プレジデントオンライン / 2021年3月24日 8時15分
※本稿は大江英樹『一生お金で困らない人生の過ごし方』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
■借金の本質とは
かつて、借金をすることは恥ずかしいことだという時代がありました。今でも一定以上の年齢の人の中には子供の頃に親から「できる限り借金をしてはいけません」と教えられた人が多いと思います。ところが最近では借金をすること自体にあまり抵抗がなくなってきているようです。
本稿では全て「借金」という言葉を使いますが、実際には「ローン」だとか「リボ払い」だとか「ボーナス払い」といった使い方をされるようになりましたので、余計に借金をすることの心理的な抵抗感が少なくなっているのだろうと思います。
私は借金が悪いことだとは思いませんが、お金を借りるというのがどういうことなのか? その本質を知ること、そして仮に借金をするのであれば、これだけは知っておくべきということがあります。
始めに、借金をするというのはどういうことかということです。これはごくシンプルな話で、「人が持っているお金を使わせてもらう」ということです。今、自分に使えるお金がないから、人のお金を使わせてもらうのです。当然、人のものを使わせてもらうわけですから次の2つのことは何があっても守らねばなりません、
① 借りたものは必ず返す
② 借りるのだから使用料を払う
■金利は人によって差がある
①はごく当たり前のことですが、②の使用料とは一体何か? それは「金利」です。そしてこの使用料、人によって差があるのが普通です。その理由は貸す人がお金を返してくれる可能性がどれぐらい確実か? によって差が出てくるからです。言うまでも無く、貸す側から見ると、相手がどれぐらい返済の確実性があるかは重要です。ほぼ確実に返してくれるのなら、使用料=金利は安くても良いでしょうが、返済にやや不安のある相手なら金利を高くするのは当然です。これは貸す相手の「信用度」です。
したがって、通常、銀行等が融資する場合は相対で融資先と話合って金利を決めることが多いのです。
![日本で契約を交わすシーン](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/0/670/img_50acffb1e41e22ae5124411000fc9663366398.jpg)
ところが、中にはあらかじめ金利の水準を表示している場合もあります。例えば住宅ローンのような場合です。この場合、大抵は融資する物件を担保に取りますから、仮に返せない事態になっても担保を処分すれば良いので、融資する人の信用度によって変える必要はありません。
■カードローンの金利が高い理由
そしてもうひとつ、カードローンや消費者金融もあらかじめ金利を表示しています。ところがこちらの金利は住宅ローンとは比較にならないくらい高いのが普通です。なぜ高いのでしょうか? それは貸す相手の信用度をかなり低く設定しているからです。普通、こうした借金の場合、担保は取りません。一定の信用調査をすることもありますが、中には簡単な身分証明書だけで借りられることも多いのです。したがって、貸した先の内、一定割合は返済できない先があるということを見越して、金利を決めるのです。
つまり、こうしたカードローンや消費者金融というのは貸し倒れリスクのかなり高い人を対象に貸し出しているので、そういう人たちに貸し倒れが発生するリスクの分まで他の利用者が高い金利を払うことによってカバーしているということです。
考えてみれば、本来貸す方が負うべきリスクを他の健全な利用者に負担させるというのは納得がいかないとも思えますが、小口の融資においていちいち信用調査をするのはコスト的にはとても合わないからでしょう。
■良い借金とは?
さて、ここまでは借金の本質ということについて考えてきました。ではそれを踏まえて「良い借金」とは一体どんなものなのでしょうか? それはごくシンプルに言えば「金利」という費用を支払ってもそれを上回る利益が得られる場合です。
![大江英樹『一生お金で困らない人生の過ごし方』(すばる舎)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/a/200/img_0ac739a031735875298c1c64f4608b22171917.jpg)
企業であればこれはとても明快です。仮に企業が新しい事業をするとしましょう。見込める利益率は年10%とします。自己資金が1000万円あって、そのお金のみで新しい事業に投下すると利益は100万円です。ところがその企業が銀行から1億円借り入れて新しい事業をしたらどうでしょう。その場合の借り入れ金利が5%だとすると、費用は1億円の5%で500万円かかりますが、借りた1億円が生み出す利益は1000万円ですから金利を差し引いても500万円の収益となり、自己資金でやる場合よりも5倍も収益は多くなるのです。
ところが個人の場合、自営業者でない限りは事業をするためにお金を借りるわけではありません。住宅を買うためにローンを組む、自動車の購入にローンを使う等、何らかの商品やサービス購入にまとまった資金がいる時に借りることになるでしょう。
しかしながらここでも経済の大原則「費用を上回る便益があるかどうか」は考えるべきなのです。例えば家を買う場合の便益とは何でしょう? 「年をとっても自分が住める家があるという安心感」、「くつろげる自分の家という心のやすらぎ」といった言わば心の便益が大きいと判断するならローンを組んで家を買えば良いということになります。よく「持ち家」か「賃貸」か、で両派に分かれて激しい議論がおこなわれていますが、どちらが絶対に良いということではなく、これはあくまでも「自分の家」というものに対してどれぐらいの価値を持つかという人生観の問題ですから、人によっては借金をして買うことが合理的にも不合理にもなります。
■旅行や車のために借金をするかどうか
同様に旅行に行ったり、自動車を買ったりする場合にローンを利用するのは「今すぐ行きたい」とか「今すぐ車が欲しい」けど、今お金を持っていない場合にどうするかという判断になります。「やはり欲しい物は欲しい」といってコストを払っても借金するのか、「そのコストは無駄だから我慢して貯めてから買おう」と考えるかはやはりその人の考え方次第です。
ただ、私は何でもかんでも借金をして手に入れるべきというのは少し考えた方が良いと思います。なぜなら人間の欲望には限りがないからです。欲しい物を手に入れてもまた新たに欲しい物が出てくる、そしてそれを繰り返していると借金が膨れ上がってしまいかねないからです。
■悪い借金とは?
では次に、“悪い借金”とはどのようなものでしょうか?
現在は表面金利だけを考えれば、ほぼゼロ金利に近い状況ですが、借金をする場合の金利は住宅ローン金利等を除けば、相変わらず高いままのものもあります。前述したようなカードローンや消費者金融です。なぜこの金利が高いのかは先ほど説明しましたね。自分の限り無い欲望を満たすために、信用度の低い人の金利まで負担してあげるというのは実に不合理な話です。そうした“仕組み上”、金利が高くなってしまっている借金は利用すべきでは無い“悪い借金”です。
次に気をつけるのは、「借金であることを意識させない借金」です。典型的なのが「リボ払い」です。名前からしてローンとか借金というイメージではなく、何だか払い方のひとつのバリエーションであることを強調しているので、気軽に利用しがちですが、これはまぎれもなく年率15%とか18%という超高利の借金です。リボ払いの問題点は、
2.その結果、知らず知らずのうちに借入額が増え、大きくなりがちである。
3.借入額が増えると返済期間が長くなるため、返済完了までの利息の負担が激増する。
4.返済総額が分かりにくいため、いかに多くの利息を払っているかが実感できなくなる。
といった点にあります。これは実に巧妙に人間の心理を突いた仕組みなので、実際にリボ払いがかさんで苦しんでいる人が多いのは事実です。
借金が全て悪いことではありませんが、自分にとって「良い借金」なのか「悪い借金」なのか? それをよく冷静に考えてみることが大事ですね。
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経済コラムニスト
オフィス・リベルタス代表 大手証券勤務を経て2012年独立。行動経済学、シニア層向けライフプラン等をテーマに執筆・講演活動。著書に『「定年後」の“お金の不安”をなくす 貯金がなくても安心老後をすごす方法』ほか。
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(経済コラムニスト 大江 英樹)
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