死亡率約2倍、心筋梗塞のリスク上昇「老け顔」の人は体の中身も老けている
プレジデントオンライン / 2021年3月20日 9時15分
※本稿は、牧田善二『20万人を診た老化物質「AGE」の専門医が教える老化をとめる本』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
■「老けている」と判定された人の死亡率が約2倍高かった
【ふけ顔といわれた】
見た目がふけていると体も老化している?
同じ歳でもふけて見える人と若く見える人がいます。外見がふけて見える人は、体の中身もふけている。つまり、体も老化している可能性がある、という研究結果が2009年に発表されています。
2009年デンマークで報告された研究によると900組の双子の写真を用意し、それぞれの双子のうち「どちらがふけて見えるか」をほかの人たちに判定してもらいました。そののち双子を7年間追跡調査し、「ふけている」と判定されたほうの人の死亡率が約2倍高かったことがわかりました。
また、「コペンハーゲンシティハートスタディ」に参加した40歳以上の1万885人を対象として35年間追跡調査した結果では、見た目の老化サイン(前頭部または頭頂部の脱毛、耳たぶの溝、まぶたの黄色腫など)と心筋梗塞の発症率との間に有意な相関関係があることが明らかになりました。
見た目の老化サインが多いほど心筋梗塞発症率が高くなったのです。老化のサインを3、4個もつ人は、心筋梗塞のリスクが57%、心臓病のリスクが39%上昇しました。
加齢は見た目において、シワやたるみなどで判断されます。これらは、AGE(Advanced Glycation End-productsの略で「終末糖化産物」=タンパク質や脂質と糖が結びついてできる糖化した物質)の蓄積が影響すると考えられています。
■太っていることは肌にマイナス、老けて見られる
【シミが増えてきた】
「食事」「お手入れ」「生活習慣」を見直す
シミの色はAGEの色と考えられます。AGEができる反応は、メイラード反応と呼ばれます。黒ずんで茶色がかった色になることから、別名、褐変(かっぺん)反応ともいわれます。
高齢者に多く見られるシミ、「老人性色素斑」も糖化の進行が原因です。肌は外側から表皮、真皮、皮下組織の三層構造になっています。
表皮のAGEがメラノサイト(メラニンを生成する細胞)からのメラニン(肌を構成する黒色の色素のこと)産出を高め、シミを悪化させる原因になります。シミは肌老化の一種です。「肌の老化の原因は、食事が50%、お手入れ25%、生活習慣が25%」と私は考えています。
シミをなくしたい場合は、まず食事から摂取するAGEを減らすことが大事です。
・焼く、揚げるといった、調理法を避ける。
・糖質を抑える食生活を送る。
これによって美肌を得ることができます。また、シミなどの加齢に伴う肌対策に対して、さまざまな化粧品ブランドが真剣に取り組んでいるので活用しましょう。
生活習慣に関しては、たとえば、太っていることは肌にマイナスになります。運動を取り入れることが大切です。さらに、タバコや紫外線も肌の大敵。これらを避けることが美肌づくりには欠かせないのです。
サプリメントで肌老化をブロック
日本人は極端な栄養不足はありません。とはいえ、いくつかの栄養素に関しては補強すると、体によい効果があることがわかってきました。
私は生活の中でサプリメントを上手に取り入れていくとよいと思います。
ただし、サプリメントを買うときには忘れずに成分表チェックを。避けてほしいのは、有効成分が少ないもの、炭水化物の含有量が多いもの、香料など余計な成分が含まれているものなどです。
抗AGE作用など、肌の老化をブロックするサプリメントを選びましょう。
深いシミも改善! ブルーベリー抽出エキス
AGEによってできる色の薄いシミには、抗AGEコスメの効果が期待できます。表皮の新陳代謝は40日です。比較的早く薄くなったり、小さくなるなど改善できます。
真皮まで及んだシミも改善が期待できます。注目はブルーベリー抽出エキス。2008年にロレアルから「糖化した肌がブルーベリーにより大きく改善された」という論文が発表されました。
「ブルーベリー抽出エキスが真皮に溜まったAGEを減少させた」という実験結果もあります。ただし、真皮のコラーゲン線維の寿命は長く、効果を実感できるのは数カ月後です。
■糖化が進むことで、白かった肌はだんだん黄色っぽく
【肌がくすんできた】
抗AGEコスメでくすみを改善
透明感がなくなり、肌が全体的に黄色っぽくくすむ黄ぐすみは、肌老化のサインです。
原因は2つあります。ひとつは、紫外線を浴びたことによって、肌の表面にメラニン色素が溜まること。もうひとつは、真皮の細胞の糖化が進むことだと考えられています。
AGEは茶褐色の物質です。糖化が進むことで、白かった肌はだんだん黄色っぽくなるのです。
ポーラの研究によって、年齢が上がるほど真皮のAGE蓄積量が増えることがわかっています。何も対策をしなければ、歳を重ねるに従って、黄色くくすんでいく一方です。
肌を若々しく保つには、糖化の進行を食い止めることが大切です。放置すれば、肌全体が黄色っぽくくすんでしまいます。食生活はもちろんのこと、スキンケアにおいても、AGE対策が必要です。
具体的には、肌の汚れや古い角質を完全に落としたあとに、抗AGEコスメでケアを続けることが大切です。現在、AGE対策に有効とされているスキンケア成分は図表のとおりです。たとえば、ツバキ種子に含まれる成分は特許が取られており、黄ぐすみを防ぎ、美肌へと導きます。
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AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGAの研究を約5年間行う。この間、血中AGAの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGAに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。 2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGA牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。 著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)
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