糖尿病専門医が警鐘「海藻食べて髪ふさふさ」「エステ&美容ローラーでたるみ防止」は全部ウソ
プレジデントオンライン / 2021年3月21日 9時15分
※本稿は、牧田善二『20万人を診た老化物質「AGE」の専門医が教える老化をとめる本』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
■医師が断言「海藻食べて髪ふさふさは都市伝説です」
【白髪が気になる】
髪もタンパク質。糖化を防ごう
加齢にともなって多くの人が気にするのが白髪。でも、髪の悩みはそれだけではありません。髪がよく抜ける。以前は髪が多くて困っていたのに、ムースをつけてもなかなかボリュームが出ない……。こうした悩みをもっている場合はAGE対策をしてみましょう。
加齢にともなう髪のトラブルは、髪の毛が生えている毛根など、肌の部分が糖化することが原因のひとつだからです。
髪の毛自体は主に線維性のタンパク質でできています。タンパク質が糖化するとAGEができて、ダメージが起こります。
AGE対策としては、「帽子をかぶったり、日傘をさして頭皮に紫外線があたるのを避ける」「抗AGE食品を食べる」「糖質を避ける」「適度な運動をする」などを行ってみてください。髪にいい影響がでてきます。
よく「海藻を食べると髪の毛がふさふさになる」という人がいます。しかし髪の毛はタンパク質でできています。海藻にはほぼタンパク質は含まれていません。海藻は髪の毛の素材にはならないことがわかります。根拠のない都市伝説をうのみにするのはやめましょう。
私は10年以上、男性型脱毛治療薬を服用しており、確かな効果を感じています。
■皮膚科の医学書には「マッサージはシワを増やすため厳禁」
【シワ、たるみが気になる】
エステや美容ローラーは逆効果
若いうちは、顔をしかめて肌にシワが寄ったとしても、表情を戻せば、シワは消えてなくなりました。なぜなら、真皮の中に弾力性のあるコラーゲン線維があって、肌の柔軟性が保たれているからです。風船を指で押してもすぐに戻るように、弾力性があれば、シワにはならないのです。
しかし、AGEによって老化が進んだ肌は、真皮のコラーゲン線維が柔軟さを失い、硬くなってきています。そのため、表情のシワがつくと、そのまま刻み込まれてしまい、元に戻りにくくなってしまいます。
シワやたるみを防ぐ目的で、エステでマッサージを受けたり、美顔ローラーで顔をゴシゴシとセルフマッサージする人は少なくないと思います。しかし、これは逆効果です。
糖化によって硬くなってしまった肌を引っ張ったり、ローラーでこすったりすることは、肌を動かしていることにほかなりません。それは、わざとシワをつけているようなもの。実は皮膚科の医学書をひもとくと「マッサージはシワを増やすため厳禁」と書かれています。マッサージは避けるべき行為なのです。
「表情筋を鍛えるとシワがなくなる」というのも嘘。表情筋を鍛える行為は、肌をこすったり、動かしたりするので、シワを増やすことにつながります。
■「コラーゲン入り顔パックをしてもあまり意味はない」
【肌のみずみずしさがなくなってきた】
コラーゲンパックは意味がない
「肌のみずみずしさがなくなってきた」ときに、コラーゲン成分入りのパックをするという人は少なくないかもしれません。
真皮の中に弾力性のあるコラーゲン線維があることで、ハリのある肌になることは周知の事実です。それならば、肌の外からつけてしまおう、ということなのでしょう。
しかし、コラーゲンは分子量が大きく外からつけても、表皮や真皮には浸透しません。肌のコラーゲンは体内でつくられ、外から与えられたものを利用することはないのです。パックで肌に与えてもあまり意味はないでしょう。
みずみずしさを取り戻したいのであれば、水をたくさん飲むことをおすすめします。細胞の主成分であり、体の6〜7割を占める水は、新しいものを取り入れ続けないと古い水のまま体内を循環することになります。
肌の細胞はひとつひとつが水で満たされています。新鮮な水をたえず飲んで、水分を新しいものに変える必要があります。
体内で余ったブドウ糖が血管内に入り込んだとき、水分がどんどん入れ替わらなければ、血管内の糖の濃度が高くなり、タンパク質や脂肪と結びついてAGEに変化する確率も高くなります。水分はしっかり摂りましょう。
■洗顔やクレンジングで「肌をこする」はNG。毛穴パックもやめよう
【美肌になりたい】
肌は何歳からでも美しくなる
2009年に、ロレアルの研究所が、美肌を望む女性たちに希望の光となる論文を発表しました。研究のために行われたこの調査では、55歳以上の糖尿病の女性20人を集めて、顔、手、腕に1日2回抗酸化に有効なブルーベリーの抽出液を塗布しました。
これを12週間続けたところ、シワ、ほうれい線、色調、なめらかさ、色素沈着、保湿性のすべての項目において改善が見られたという結果が得られたのです。体の外側からの抗AGE対策の効果が明らかになったということです。
これまで述べてきたように、抗AGE対策は加齢に伴う肌の悩みを解消します。しかし、この研究によって、すでにAGEが蓄積している肌も対策を講じることで若々しさを取り戻すことがわかったのです。
何歳からでも体の外側と内側から抗AGE対策をすることで、確実に肌を若々しく蘇らせることが可能です。詳しくは『医者が教える美肌術』(主婦の友社)をご参照ください。
洗顔&クレンジングは1日1回で十分
美肌を目指すのであれば肌は絶対にこすったり引っ張ったりしてはいけません。洗顔やクレンジングで肌をこするのもNGです。ピーリング、毛穴パックもやめましょう。洗顔時は表面についた汚れだけをできるだけ刺激のないように取り除きましょう。
洗顔は1日1回で十分です。洗いすぎるとほこりや紫外線といった外的ストレスから肌を守っている角質層が失われてしまうからです。洗顔後は抗AGE成分入り化粧品で肌を整えれば、シワやシミを防ぐことができます。AGE牧田クリニックのHPを参考にしてください。
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AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGAの研究を約5年間行う。この間、血中AGAの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGAに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。 2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGA牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。 著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)
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