「食べ物の写真を送り合っているうちに」イマドキ大学生の意外な"交際の始まり方"
プレジデントオンライン / 2021年3月28日 11時15分
國武 那汰莉さん/立教大学文学部3年生。
河内 杏南さん/早稲田大学文化構想学部2年生。
齊藤 龍星くん/早稲田大学政治経済学部2年生。
高杉 真由香さん/慶應義塾大学総合政策学部2年生。
山本 祥子さん(仮名)/慶應義塾大学法学部1年生。
鈴木 かのんさん/桜美林大学ビジネスマネジメント学群2年生。
加藤 耀くん/東京理科大学理工学部2年生。
坂後 裕菜さん/上智大学総合グローバル学部1年生。
竹田 綾香さん(仮名)/津田塾大学学芸学部3年生。
■Clubhouseに就活生や帰国子女の集まり
【原田】今回のコロナ禍では大学が休校になったりオンラインに切り替わって、友達や彼氏彼女と会いにくくなった若者も多いと思うんだ。それに、知らない相手や新しい趣味と出会う機会も少なくなっているよね。最近ならではの会い方や集まり方、あるいは新しい出会い方などがあったら教えてくれるかな。
【加藤】僕はClubhouseで意外な交流が生まれました。以前、原田さんと参加したルームで、スピーカーの中にたまたま同じ高校出身の人がいたんです。「また話そうよ」ってことになって、つながりができました。Clubhouseは流行りものって感じで好きになれませんが、意外な出会いがある点だけはいいなと思いました。
【竹田】Clubhouseは、集まる代わりに使われていることも多いですよ。就活中の友達は、毎朝10人ぐらいでClubhouseに集まって、一緒にエントリーシートを書いたりしています。「早起きしよう」「就活がんばろう」って励まし合って、それが結構支えになっているみたいです。
【高杉】私は帰国子女なんですが、そのコミュニティーではよくClubhouseを使って話をしています。社会問題に興味のある子が多いので、英語でそれについて話したり、あとは友達がモデレーターをした、サステナビリティーに関する国際会議のルームに参加したこともあります。
■新しいエンタメの可能性が見えた
【鈴木】Clubhouseって、今まで見られなかった場面が見られる場でもありますよね。以前、芸能人やアーティストを多く担当している彫師のルームをのぞいたら、そこで出会った芸能人同士が戸惑いながら初対面の挨拶をしていて、素の顔を見れた気がしてとても面白かったです。
【河内】私は浅野忠信さんが好きで、Clubhouseの彼のルームをのぞいたら、急に声だけで寸劇をやり始めて。こういうエンタメの形もあるんだなって、新しいものを発見した気がしました。
■一時、多発したClubhouseナンパ
【原田】前回の座談会では、帰国子女の子たちを除くと皆Clubhouseには飽きているようだったけど、集まる場や新しいエンタメに出会える場としては意外と好評なんだね。出会いといえば、恋愛はどうなんだろう。一時は「Clubhouseナンパ」も多かったって聞いたけど。
【齊藤】友達がClubhouseでナンパするのを、横で目撃したことがあります。友達同士でつくったルームに、それぞれの友達がだんだん集まってきて10人ぐらいになって。そうしたら、なぜか僕の友達がファシリテーターとしてトークを回し始めたんです。それが効果的だったのか、知らない女の子と「後でインスタ交換しようね」って話になっていました。多分、自分の存在感を出すためにトークを回したんですよね(笑)。その後すぐ実際に会ったみたいです。
【原田】気になった女の子に後で声をかけるために、ルームの中でトーク力を発揮したわけか。うまい作戦と言えそうだけど、トーク力がないとできないよね。そう考えると結構ハードルが高そうだな。
■恋愛の入り口はリアルからSNSへ移行
【高杉】Twitterも新しい出会いの場になっているみたいです。去年入学した高校の後輩たちは、コロナでキャンパスに行けていないからリアルの出会いがほとんどなかったんですよ。でも、後輩の一人はTwitterで彼氏ができたって言っていました。入学前に「春から●●大学に入学します」ってつぶやいたら在学生とつながりができて、それで入学後に付き合い始めたって。今年も新入生があまり大学に行けないような状況が続くとしたら、同じようなカップルがたくさん発生しそうです。
【原田】積極的な子はいいけど、そうじゃない子にとっては恋愛が難しい1年だったかもね。インスタでも同じような出会いはあるのかな。
【坂後】友達はClubhouseで会った男子とインスタを交換して、それから交流が始まったみたいです。
■スナップチャットから始まった恋愛
【山本】私は写真を交換し合うアプリ「スナップチャット」で彼氏ができました。最初は、私がインスタにあげていた写真に向こうが反応をくれて「スナップチャットやりませんか」って誘われて……。それまでは顔見知り程度だったのでびっくりしました。
【原田】そういうこともあるんだね。それも新たなナンパと言えなくもないな。でも、写真が送られてきても、気乗りしなかったらこっちからは送らずに放置しておくこともできるんだよね?
【山本】スナップチャットって、相手から写真が送られてきたら、それほど仲がよくなくても送り返すのがマナーって感じなんですよ。だから、風景とかご飯とかの写真を何となく交換し続けてたら、ストリーク(仲がいいと認定されている状態)になっちゃった。写真を介して会話もするようになって、そのうちご飯にも行くようになって、それで付き合い始めました。
【原田】リアルでの出会いは減っているけど、代わりにClubhouseやTwitter、インスタ、スナップチャットなどが恋愛の入り口になりつつあると。じゃあ、恋愛じゃなくてパパ活事情はどうなんだろう。リアルでなかなか会えないとなると、やめる子も出てきそうだけど。
【鈴木】私はパパ活している人のSNSをよく見るんですが、皆、今まで通り続けているみたいです。コロナで会わなくなったっていう意見はあまりなくて、逆に「今は学生さんは大変だろうから」って、お金を多めにくれるようになったって言っていた人もいました。
■マンネリ化した中年夫婦を体験
【原田】なるほど。パパ活は大人数で集まるわけじゃないから、今でも会うこと自体はそれほどハードルが高くないのかもね。それと、コロナ前から彼氏彼女がいる人にも聞きたいんだけど、コロナで関係が変わったりはした?
【國武】私はパートナーがいるんですが、コロナで彼も私も家にいる時間が増えて、お互いにイライラするようになりました。勉強やインターンの作業に集中できなくて、「実家に行ってよ」って言っちゃったこともあります。今思えばわがままだったなって反省しています(笑)。
【原田】関係がマンネリ化した中年夫婦みたいだな(笑)。でもそれも、気づかいのポイントやお互いの考え方を知るいいきっかけになるかもね。そういう問題って、結婚するとかなりの人が経験するんだけど、大学生のうちに経験する人は少ないよね。これもコロナ下ならではの経験と言えそうだな。
■1回目と2回目の緊急事態宣言の大きな違い
【原田】コロナ禍によって、若者の「リアルの出会い」は確実に減少しているようです。今回の座談会からは、大学の授業やサークル活動、飲み会などでの出会いがほぼなくなり、代わってSNSでの出会いが台頭している様子がうかがえました。この変化の理由を考えるにあたっては、「2回目の緊急事態宣言」がキーワードになってくるように思います。
1回目の緊急事態宣言の際は、若者たちは新たな出会いに慎重になる、あるいは出会うこと自体をあきらめる傾向が見られました。しかし、今は「ちょっとした安心感のある新規の出会い」には積極的な様子。顔見知り、友達の友達、出身校が同じ――こうした下地のある相手には安心感があるのか、SNSで連絡を取り合って交際に発展するケースも少なくないようです。若者たちは今、新たな出会いをSNSの中で、ただしあくまでも「知り合いの知り合い」の範囲内で探し始めているのではないでしょうか。今後は、そうした安心感のある交流を実現するツールが支持を得ていきそうです。
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マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。信州大学特任教授。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。
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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=辻村洋子)
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