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365日同じTシャツを着ている起業家が、胸元にドーンと載せている言葉

プレジデントオンライン / 2021年4月1日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/psudochromis

仕事相手の信頼を勝ち取るにはどうすればいいか。ECサイト「食べチョク」代表の秋元里奈さんは「サイト名の入ったTシャツを毎日着ることで、自分のキャラクターが確立された。それまでは仕事相手から『本気なの?』と疑われていたが、一発で信頼を得られるようになった」という――。

※本稿は秋元里奈『365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■プライベートでも寝るときでも、いつもいつでも着ている

「食べチョク」とプリントされたTシャツが、わたしのトレードマークになっています。もしもお手元にスマホがあるのならば、「秋元里奈 インタビュー」で検索していただくと、わたしのことを取り上げてくださった記事がいくつかヒットすると思います。そこでもわたしは「食べチョクTシャツ」を着ています。

記者の方からは「秋元さん、いつも『食べチョクTシャツ』で登場するんですね」なんて笑われることもありますが、そう、わたしはいつも「食べチョクTシャツ」を着ているのです。この「いつも」は「メディアに取り上げてもらうとき」という意味ではありません。1年を通して、365日、プライベートでも寝るときでも、いつもいつでも着ているのです。

秋元さんが着用している「食べチョク」Tシャツ
写真提供=筆者
秋元さんが着用している「食べチョク」Tシャツ - 写真提供=筆者

この「食べチョクTシャツ」は、マルシェに出店するときのユニフォームとして作ったものでした。会社のロゴが入ったTシャツを着ていれば目立ちますし、お客さんにアピールもできる。そこから「食べチョク」を利用してもらえれば、と考えたのです。

■着ているだけでサイトの宣伝ができる

けれど、うっかり多めに作ってしまい、マルシェが終わってもまだ袖を通していないTシャツが30枚近く余る事態に。1枚作るのに1000円かかっていたため、このままでは3万円が無駄になってしまいます。まだ走り出したばかりのスタートアップ企業にとって、1円の重みは相当なものです。3万円あれば、どんなことができるか……。途方に暮れたわたしは、閃きました。「これ、毎日着たらいいんじゃない?」と。

お金を無駄にしたくないから、という想いで着始めてみたところ、これが想像以上の効果をもたらしました。すれ違いざまに「食べチョクってなんだろう?」という囁きが聞こえてきたり、実際に「どんな会社なんですか?」と話しかけられたり……。着ているだけで「食べチョク」の宣伝ができる。しかも毎日、どんな場所でも。それを考えると、3万円という金額は宣伝費として格安です。

■官僚と会う場もいつものスタイルで出席

そうやって「食べチョクTシャツ」を着始めて、もう丸3年が経ちました。その間、KDDI ∞ Labo主催の「MUGENLABO DAY 2019」や「マイナビ農業 アワード2019」などで表彰される機会もありましたが、もちろん、そういった場にも「食べチョクTシャツ」を着て出席しています。どうしてもTシャツ姿がNGのとき以外は、欠かせないスタイルになりました。

Tシャツ姿の秋元さん
Tシャツ姿の秋元さん(写真提供=KADOKAWA)

農林水産省の事務次官が出席される会にご招待いただいたときはギリギリまで悩みましたが、思い切って「食べチョクTシャツ」で出席することに。すると、事務次官からは「いつものスタイルで来てくださって、うれしいです。ありがとうございます」と喜んでいただけました。ビシッとしたスーツ姿のおじさまたちのなかに、Tシャツ姿のわたしが座っている画はとても奇妙だったと思いますが……。

ちなみにこのTシャツを試しに販売してみたところ、意外と売れることにも驚きました。いまではそれを着て宣伝に協力してくださる生産者さんも増えましたし、一般の方が着ているところを見かけることもあります。思いもよらぬ波及効果に、自分でもびっくりしています。

■ロゴが見えるように髪を30センチ切った

すっかり「食べチョクTシャツ」が馴染んでしまったので、それを着て出掛けることにはなんの抵抗もありません。プライベートな飲み会にも、それこそデートにも着ていきます。ひとりでも多くの人に「食べチョク」を知ってもらいたいですから。

さらにTシャツを着るようになって、ずっと伸ばしていたロングヘアも30センチほどバッサリ切りました。髪がTシャツのロゴを隠してしまって、せっかくの宣伝効果が半減してしまうと思ったためです。そして服もワンピースなどは全て捨て、Tシャツに合うスカートやパンツだけを着るようになりました。あまりにガラッと雰囲気を変えたので「失恋したの?」と言われることもありましたが、その際には「事業に惚れたので」と返していました。

■自分の「覚悟」を見た目で表現する

また、投資家や事業パートナーに想いを伝えるためにも「食べチョクTシャツ」は一役買っています。これは事業経験の浅い起業家に共通する悩みかもしれませんが、初めて会った方にどうしても本気度が伝わりづらい瞬間があるのです。

秋元里奈『365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』(KADOKAWA)
秋元里奈『365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』(KADOKAWA)

まだ「食べチョクTシャツ」がなかった頃は、わたしも「本気で事業やりたいの?」「起業って甘くないよ」と本気度を疑われることがしょっちゅうでした。わたしのトーク力、事業ドメインなどにも起因していたと思いますが、必死で想いを伝え、いかに本気なのか信じてもらうという段階で相当時間がかかったのです。

でも、「食べチョクTシャツ」を着ていると、「え、それ毎日着てるの? やばい、本気なんだね」と一発で信頼を勝ち取れます。なかには「秋元さんは気概が違いますね」と褒めてくださる方もいるくらいです。Tシャツを着る前と後で私自身のスキルや想いは全く変わっていないのに、こんなに反応が変わるんだなと驚きました。

決してそこまで見越していたわけではなく、最初は単純に作ったTシャツがもったいないという気持ちからのスタートでしたが、「食べチョクTシャツ」を着るようになって「起業家としての秋元里奈」がみるみる確立されていったように思います。

最近では「食べチョクイヤリング」を手作りしました。どうしてもTシャツ姿がNGの現場には、それを身に着けています。加えて、結婚式や授賞式などの華やかな場に着ていけるような「食べチョクドレス」も作りたいと思っています。

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秋元 里奈(あきもと・りな)
ビビッドガーデン代表取締役社長
1991年、神奈川県相模原市出身。住宅街にポツンとある野菜農家で生まれ育つ。相模原高校、慶應義塾大学理工学部を経て、2013年に株式会社ディー・エヌ・エーに入社するが、荒れ果てた実家の農地を目にして起業を決意。16年には農業支援ベンチャー・ビビッドガーデンを創業し、翌年にはオンライン直売所「食べチョク」を開始。TBSの報道番組『Nスタ』にレギュラー出演中。著書に『365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』。

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(ビビッドガーデン代表取締役社長 秋元 里奈)

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