新人から社長まで、8つの階層別「年収を確実に上げる方法」

プレジデントオンライン / 2021年4月8日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

自分の年収が適正額なのか、そもそも年収はどのように決まっているのか、把握しているでしょうか。人事コンサルタントの西尾太さんが、多くの企業で導入されている「年収基準」を公開、年収アップのポイントを解説します――。

※本稿は西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)の一部を再編集したものです。

■あなたの年収はどのように決まっているのか?

日本のほとんどの企業では、等級制度や職位制度と呼ばれる仕組みが導入されており、給与は等級や職位によっておおよそ決まっています。

等級・職位というのは、簡単にいうと、補助・育成クラス(新人)、自己完遂クラス(メンバー)、チーフ、課長クラス、部長クラスといった、社内におけるポジションです。

給与水準は、業種・規模・地域・企業ステージ(創業期・成長期・成熟期・衰退期)などによって異なりますが、一般的な基準ともなる標準的な金額はあります。モデル年収とも言われますが、本稿ではそれを「年収基準」と呼んでいます。

日本人は、お金の話はしたがらないものです。家族や身内、親しい友人であっても、自分の年収や給料の具体的な金額について話すことはあまりありませんよね。

そのため自分の年収が高いのか、低いのか、他の人はいくらぐらいもらっているのか、よくわかっていない人も多いのではないでしょうか。

ほとんどの企業では、なぜか給与の仕組みを公開していません。給与を上げる方法がわかれば、誰もがモチベーションが上がります。昇給の仕組みや昇進のために必要なスキルがわかれば、努力すべき目標が明確になります。

経営者や人事部は、ほとんどの場合、何らかのルールに基づいて昇給をさせているものです。そのルールを非公開にする理由はないはずです。

■今後、リストラ候補になる人の特徴

本稿では、この一般的な「年収基準」を全公開します。補助・育成クラス、自己完遂クラス、チーフ、プロジェクトリーダー・主任、課長、部長、本部長・役員、上級役員・社長と、8段階のクラスに分けて、具体的な年収額を紹介します。

また、年収ごとに求められる評価基準=コンピテンシー(成果につながる行動)も具体的にお伝えします。

新人、メンバー、チーフなど、自身が該当するポジションの年収基準をチェックし、実際の自分の年収と同程度なのか、大きな差があるのかチェックしてみてください。

自分の年収のほうが低い場合は、自分のクラスやひとつ上のクラスのコンピテンシーを確認し、そこで必要とされるスキルや行動を獲得する。あるいは転職を視野に入れるのもひとつの手でしょう。

逆に自分の年収のほうが高い場合は、自分のクラスのコンピテンシーを十分に確認してください。「年収基準より高かった」と安堵するのは非常に危険です。

今後リストラ候補になりやすいのは、年収に見合ったパフォーマンスを発揮していない人材です。一般的な基準より年収が高いのは、むしろ怖いことなのです。

■会社が「各クラスに求めていること」とは何か?

では、一般的な目安とされている「年収基準」を公開します。ここで紹介されているコンピテンシー=評価基準は、社員2000名の上場企業から社員3名のベンチャー企業まで成長しているさまざまな会社で実際に導入・運用されているものです。

チーフや主任といった等級や職位の呼称は会社によって異なりますが、呼称が違っても、昇格するごとに求められる行動は、どんな会社もほぼ変わりません。

また、会社の特性によってクラスごとに求めるコンピテンシーが異なる場合もあります。たとえば「うちは採用時から『主体的な行動』を求める」「もっと下のクラスから『進捗管理』が必要」などですが、基本的な考え方は共通しています。

まずは、現在の自分のクラスに求められているスキルや行動は何か、そして今後必要となるのはどんなことかを確認してください。

現在の自分に求められていること、これから求められることが認識できれば、年収を高める方法や成長ステップの指標になるはずです。

ちなみにコンピテンシーは年収を上げるうえで「欠かせないもの」であり、他のクラスのコンピテンシーが必要ないわけではありません。

たとえば、現在は「課長」であっても、課長クラスに求められるコンピテンシーだけを達成すれば評価されるわけではありません。

当然、その前段階である「自己完遂クラス」「チーフクラス」等のコンピテンシーも求められ、できて当然とされます。

自己確認の意味でも「補助・育成クラス」から順を追ってチェックしていきましょう。

■補助・育成クラス(新人)

年収基準=240万~(成果による加算=30万)

求められる仕事のレベル

指示されたことを指示に基づき業務を遂行できることが求められます。結果がわかっている仕事、手順が明確なことをきちんとできるようになることが重要です。

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

素直で元気、勤怠に信頼性があるなど、ビジネスパーソンとしての基本を身につけること。

年収アップのポイント

手順は同じでも、ちょっとした工夫で顧客や周囲が喜ぶポイントを見つけて実行するなど。それによって社内外から認められるチャンスにつながります。

補助・育成クラス(新人)に求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

■自己完遂クラス(メンバー)

年収基準=300万~(成果による加算=50万)

求められる仕事のレベル

仕事を自己完遂できることです。結果がわかっている仕事、手順が明確に示されている仕事においても、他の人より効率的に仕事を進める、後輩に教える、手順の改善を提案するなど、補助・育成クラスよりも提供価値が高まっている状態が求められます。周囲から好感を持たれる・頼られるといった資質も必要とされます。

西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)
西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

共感・要約・限定質問・拡大質問・受容・適切な主張などの基本的なコミュニケーションスキル。メールや報告書などにおける適切な文章力。

年収アップのポイント

改善の提案を行い、それが認められることによって評価されます。新人を教えたり、チームを元気づけたりするなど、周囲への好影響をもたらすことによって、上司やメンバーから認められていきます。

自己完遂クラス(メンバー)に求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

■チーフクラス

年収基準=360万~(成果による加算=70万)

求められる仕事のレベル

3人程度のチームのリーダーになることです。結果がわかっている仕事であっても、手順をつくる、よりよくする、新人に教える、そしてよりよい結果を導くための提案をし、成果に結びつけることが求められます。周囲をリードしながら、自らの考えを適切に伝えることも必要とされます。

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

効果的なコミュニケーション・図解化スキル・企画提案スキル、チームのPDCA(計画→実行→評価→改善)の設定とマネジメント力。

年収アップのポイント

手順そのものを見直し、より効果的な結果を導く。新たな取り組みについても提案を行い、より高い成果を出すことが求められます。

チーフクラスに求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

■プロジェクトリーダー・主任クラス

年収基準=420万~(成果による加算=70万)

求められる仕事のレベル

5人程度の少人数のチームを取りまとめることです。後輩の指導をする、よりよい結果を導くための改善を働きかけ、業務の効率化を実現することが求められます。自ら率先して的確に動き、周囲を巻き込むことが必要です。

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

ロジカルシンキング、効果的なコミュニケーションスキル(傾聴力・プレゼンテーションスキル)、チームのPDCA(計画→実行→評価→改善)設定。

年収アップのポイント

所属する課の運営に関して課長から信頼を得ながら、補佐し、一部を代行していく。任された分野の成果を確実に出す。後輩の話をよく聞き、導き、信頼されることなどが年収アップにつながります。

プロジェクトリーダー・主任クラスに求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

■課長クラス

年収基準=500万~700万(成果による加算=100万)

求められる仕事のレベル

5~10名単位のチームを率いて、組織の結果を出すことです。自身の動き次第でチームの成果が異なってきます。上位組織の会議体に参加し、意見も求められます。チームメンバーのモチベーションを高めることや、人材育成の責任も負います。

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

タスクマネジメント・ヒューマンマネジメントに関する知識を有し、活用する。キャリアビジョン・キャリアプランに関する知識、モチベーションに関する知識、関連する業界の動向に関する知識と情報の獲得。特定分野の専門性。

年収アップのポイント

チームの目標設定に際して、全社・事業部門の戦略を理解したうえで、意味のある目標を設定していく。目標達成についての信頼を上げていくことが重要です。

課長クラスに求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

■部長クラス

年収基準=700万~950万(成果による加算=150万~250万)

求められる仕事のレベル

結果がわからない分野においても責任を負い、複数のチームをまとめ、率いて組織結果を出すことです。3年程度の部門の戦略を立案し、示す。人材の育成と発掘の責任を負う。変革と新たな価値創造を指向し、実績を出すことが求められます。

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

会社のビジョン・ミッションを踏まえた自身が関連する部門の戦略を立案し、示す。そのために広範な視野を持ち、関連分野の知識を有する。社内外の動向を掴み、実現可能で価値ある戦略を示す。

年収アップのポイント

経営戦略・事業戦略・組織戦略・人事戦略・財務戦略に関する知識と活用。経済の動向、関連する業界の動向に関する知識と情報の獲得が必要とされます。

部長クラスに求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

■役員・本部長クラス

年収基準=950万~1200万(成果による加算=200万~400万)

求められる仕事のレベル

全社に影響を与えることです。ビジョンや戦略によっては会社の命運を大きく左右するため、重要な責任があります。複数部門の統括、5年以上の組織のビジョンを根拠を持ちながら示し、そこに至る戦略を示す。経営戦略・組織戦略・人事戦略・財務戦略のいずれか、またはすべてを担います(組織規模による)。人材の育成と発掘の責任を負い、会社の変革と新たな価値創造を主導し、結果を出すことが求められます。

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

経営全般に関する知識。将来を予見する力。人望、高い信頼性、発言力、人々を奮い立たせるビジョンを示す人間力も必要とされます。

年収アップのポイント

成果を出すこと、未来を示すことで組織メンバーの方向性を同じくしていくこと。また、社内外から高い信頼を保持し、新たな価値創造を模索し続け、結果を出していくこと。

役員・本部長クラスに求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

■社長・上級役員クラス

年収基準=1200万~(成果による加算=300万~)

求められる仕事のレベル

全社および大きな組織のビジョンと戦略の策定です。長期の会社・組織ビジョンを根拠を持ちながら示し、戦略を示すこと、会社のあらゆる分野における責任を負います。極めて高い人望、信頼性、発信力、カリスマ性などの資質も求められます。

身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル

全社ビジョン・将来像を描く。事業拡大・撤退の判断。事業ポートフォリオの策定と実現。全社の業績責任を負い、各事業部の経営計画の策定を主導し、全社業績の責任を負う。大局からの的確な指示により、全社目標を達成することが必要とされます。

年収アップのポイント

大きな責任から逃げずに決断する。会社の存続・発展に関してのすべての責任を負う。

事業拡大とその成功、全社業績によって年収が上がります。

社長・上級役員クラスに求められること
※西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)より

----------

西尾 太(にしお・ふとし)
人事コンサルタント、フォー・ノーツ代表取締役社長
「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエイターエージェンシー業務を行なうクリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。これまで1万人超の採用、昇進面接、管理職研修、階層別研修を行なう。パーソナリティとキャリア形成を可視化する適性検査「B-CAV test」を開発し、統計学に基づいた科学的なフィードバック体制を確立する。著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。』(労務行政研究所)などがある。

----------

(人事コンサルタント、フォー・ノーツ代表取締役社長 西尾 太)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング