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カレンダーを「1時間単位」で入力する人は時間感覚が古すぎる

プレジデントオンライン / 2021年4月1日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NicoElNino

カレンダーの予定はどんな単位で確保しているだろうか。「1時間単位」だとすれば、その感覚はもう古い。営業マネジャー向けのコンサルティングを行う原裕平さんは「仕事の予定を『15分単位』で設定することで、たいへんな効率化が図れる」という――。

■「1単位=1時間」を無意識に前提としている

みなさんは仕事の予定をどんな単位で入力しているでしょうか。私がコンサルティングを受け持つ営業パーソンの場合、ほとんどが商談やミーティングに際して1時間単位でアポイントを入れています。30分や45分といった“中途半端”な時間を設定することは、あまり見られません。

それもそのはず、長年の“習慣”が染みついているのです。スケジューラーや手帳は、1時間を1単位としてデザインされています。また、アルバイトの報酬は1時間当たりの時給で計算されるのが一般的。つまり、「1単位=1時間」を無意識に前提として行動しているのです。

しかし、ミーティングが1時間単位である必然性はあまり感じられません。むしろ、さまざまな事象が爆発的に高速化している今、私たちの時間感覚もアップデートする必要があります。

あなたが「1時間」というモノサシにとらわれている間に、世の中はどんどんスピードを増して前進しています。うかうかしていると、コンペティター(競争相手)に先を越されるかもしれません。

だからこそ、顧客とのアポイントについても、時間効率をしっかり考えなければなりません。

私がかつて勤務していた大手米系証券会社のニューヨーク本社では、「じっくり時間を割いてもらえるという前提では勝てない」というカルチャーが根づいていました。たとえば、社内の重役と話したい場合でも、その多くはすでに予定されている面談と面談のスキマに割り込むしかなく、重役の部屋の前にはいつも数人が待機していました。

■「双方向」なら、短時間でも濃密なコミュニケーションが可能

私は、かねてより15分を一つの単位として意識し、仕事の段取りを立てるようにしています。1時間単位で考えると、それが習慣になってしまい、いつのまにか時間効率が低下してしまうからです。15分を一つの単位とする「15分思考」は、限られた時間を効率的に使うためにとても有効です。

顧客とのミーティング(面談)も例外ではありません。もちろん、すべてを15分で終わらせるという意味ではありません。「ミーティングに必要な時間は45分か、60分か、それとも60分超なのか?」と考えることが大切なのです。

ミーティングで重要なのは、時間の長さではなく、コミュニケーションの質です。そして、時間が短くなれば、より密度の濃いコミュニケーションが必要になります。密度を上げるために必須のポイントが、コミュニケーションの「双方向性」です。

たとえば、30分間を「一方通行であるプレゼンテーション」に費やした場合と、同じ30分間を「双方向のQ&A」に使った場合を比べると、ほぼ間違いなくQ&A形式のミーティングのほうが参加者の理解を深めます。

次々と湧いてくる疑問
写真=iStock.com/sdecoret
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sdecoret

個人差はありますが、集中力はおおむね10分が限界です。10分程度連続して話を聞いていると、集中力がガクンと低下します。反対に、双方向のコミュニケーションを心がければ、集中力が容易に持続し、これまで1時間かかっていたミーティングが45分、あるいは30分で終わるようになるかもしれません。

■時間短縮に必要な「トーキング・ポイント」「FAQ」

ミーティングの所要時間を短縮しようとすると、「複雑な話だから時間がかかる」という理由で反対する人もいるでしょう。「そもそも事態が込み入っていまして……」と言い訳をする人もいるかもしれません。しかし、ミーティングの時間を短くできないのは、ほとんどのケースでスピーカー(話し手)がポイントを絞り込めていないため、洗いざらい話さなくてはならないことが理由です。

どんなに複雑な案件であっても、ポイントを把握していれば、限られた時間内で要領よく話を進めることができるはずです。15分や30分は、意外なほどあっさり削減できるでしょう。「1時間=1単位」の呪縛から解放され、「15分思考」を実践すればいいのです。

ただし、そのためには事前準備が不可欠です。とくに顧客との商談では、それが対面であれリモートであれ、「トーキング・ポイント」と「FAQ」をそろえておくことが大切です。

トーキング・ポイントは、顧客との会話の中で必ず触れるべき重要ポイントのことです。そしてFAQ(よくある質問)は、顧客から出されるであろう質問に対して、あらかじめ回答を用意しておくことです。

これらは、顧客の「質問したい」「相談したい」「交渉したい」という欲求に応えるものであり、双方向のコミュニケーションを成立させるキーともいえます。また、この2つに「アイスブレイク・トピックス」を加えた3つをそろえることができれば万全でしょう。詳しい内容は、拙著『非対面営業の教科書 米国トップ企業での体験から3つの習慣』(大和出版)で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

■「15分思考」で1時間のミーティングを30分にする方法

最後に、1時間のミーティングを30分に短縮するための手順とコツをお伝えしましょう。

1.まずは45分に短縮する

理想は30分ですが、最初は45分を目指します。15分刻みで「所要時間」を考えられるようになるからです。いわば、「15分思考」を習慣化するための第一歩です。

2.ミーティングの冒頭で、それまでの経緯について簡単に触れておく

ミーティングの開始前に過去の面談における論点を確認しておくことが大切です。しばしば、前回の面談で合意した内容と、アポイントを取った時点で頭に浮かんでいる提案内容にズレが生まれます。それを解消し、「ボタンの掛け違い」を回避します。

3.複数の参加者がいる場合は、フォーカスする相手を決める

参加者が多い場合、全員を等しく満足させようとすると、時間が足りなくなるケースがあります。たとえば、案件について詳しい担当者と、はじめてミーティングに参加する上役が同席しているような場合、そのミーティングの議題に合わせて、話す内容を絞り込むことが必要になるでしょう。

4.選択肢を提示する場合は、判断するポイントを限定する

顧客の多くは、面談によって自分の判断の負担が軽減されることを期待しています。ところが、正確な情報提供に努めるあまり、選択肢を増やす営業パーソンが少なくありません。その結果、合意をとりつける確率はかえって低くなります。つまり、顧客に難しい判断を強いることがないように、余計な選択肢は提示しなくてもいいのです。「なぜ、この選択肢を提示しなかったのか?」と顧客から事後的に質問されたとき、きちんと理由を答えられるようにしておきましょう。

5.顧客の事情や経緯に合わせて資料を作成しておく

原裕平『非対面営業の教科書 米国トップ企業での体験から3つの習慣』(大和出版)
原裕平『非対面営業の教科書 米国トップ企業での体験から3つの習慣』(大和出版)

顧客の信頼を得て、商談をスムーズに進めるには、①顧客のニーズや考え方についての認識(わかっていること)を明示して安心させたり、②顧客の目標(これからやること)を確認したりすることも大切です。毎回、資料を用意しておく必要はありませんが、随時1〜2枚にまとめ、ミーティングの冒頭に提示できればベストでしょう。

このような手順を踏めば、多くの「1時間ミーティング」を45分あるいは、30分にすることができます。仮に1日15分を“節約”しただけでも、1カ月20営業日で5時間、年間で60時間が捻出されます。

これだけでもたいへんな効率化ですが、「15分思考」をマインドセットとして定着させることは、さらに重要です。「60分間のアポイントを30分に短縮し、削減した30分のうちの15分を事前準備に投入したら、どれだけ効率化できるか?」という視点で、すべてのスケジュールを見直すようにしましょう。

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原 裕平(はら・ゆうへい)
マーケット・フラッグス 代表取締役
一橋大学大学院経済学研究科修了。2001年ゴールドマン・サックス証券入社。03年債券営業部配属、国内機関投資家向けの債券売買を担当。06年ニューヨーク本社へ異動。09年東京オフィスへ。12年に証券部門で営業成績首位となる。13年マネージング・ディレクター。19年に目標を達成する習慣を活用してセールス・マネージャーをサポートするコンサルティング会社、マーケット・フラッグス社を設立。

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(マーケット・フラッグス 代表取締役 原 裕平)

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