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緊急事態宣言下で秩序ある行動をとったカッコいい人間たち

プレジデントオンライン / 2021年4月9日 9時15分

フォトグラファー 小田駿一氏

■緊急事態宣言下で秩序ある行動をとったカッコいい人間たち

「人間って自粛できないよな」

2020年4月、最初の緊急事態宣言が発令されたとき、フォトグラファーの小田駿一さんは平時とさほど変わらない人出の街を見てそう思った。しかし、感染拡大前によく訪れていた新宿ゴールデン街を見に行って驚いたという。

「バンッ! と人がいなかったんです。電灯だけついていて幻想的で美しいのと同時に、『飲食店の人すごいな』と。それまでのイメージではゴールデン街の人って四角四面に自粛とかしないだろうと思っていましたが、みんな店を閉めていました」

本著は1度目の緊急事態宣言下で人がいなくなった繁華街を収めた写真集。夜の繁華街で「秩序」ある行動をとったカッコいい人間たちがいたことを間接的に物語る。手がけたのは気鋭のフォトグラファー、小田駿一さん。これまで、数多くの著名人を撮影してきた。制作にあたって小田さんが意識したのが、未曾有の混乱の「記録」と写真としての「美しさ」の両立だ。

「報道写真だからといって、ただ記録すればいいわけではなく、そこに美しさも加えることでより多くの人に届けられればいいなと思いました」

■暗闇を照らすことができるのは人間だけ

写真集を見た人からはさまざまな声が寄せられた。中でも「人がいるような感じがする」という感想が印象的だったという。この写真集に人は1人も写っていない。

小田 駿一『Night Order』
小田 駿一『Night Order』

「照明とか光って圧倒的に人工物ですよね。人間が存在しなければ、そこは真っ暗なはず。人がいない中で、照明が人の痕跡を感じさせたのは面白かった」

暗闇を照らすことができるのは人間だけなのだ。写真集では鬱々と暗い雰囲気の写真が並ぶ中に、明るい色の抽象的な写真をところどころ挟んである。円山町のラブホテル街や歌舞伎町の光をスローシャッターで集めたという。

「正直、1人で誰もいない夜の街を撮影するのは怖かった。そんな自分を鼓舞するためにも明るい色の抽象写真を撮り始めました」

写真集を見る人も暗い写真ばかりでは気分が下がってしまうのではないか、という小田さんの配慮だ。

写真を通じて身近な人間の手助けをしたいという想いで「Socio‐Photography」を掲げる小田さん。写真集制作と同時にクラウドファンディングを実施した。写真集による収益の一部は飲食店支援に使われたという。

2度目の緊急事態宣言が延長された。繁華街や飲食店は変わらず苦境に立たされている。彼らの勇気ある行動を記録した本著は、感染拡大防止への決意を新たにするきっかけとなるはずだ。

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小田駿一
1990年生まれ。2012年に渡英し独学で写真を学ぶ。17年独立。19年からsymphonicに所属し、人物を中心に、雑誌・広告と幅広く撮影。

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(プレジデント編集部 撮影=宇佐美雅浩)

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