「義両親の無言の圧力、面倒な親戚付き合い」が急にラクになる、"損得"発想法
プレジデントオンライン / 2021年4月26日 8時15分
■親戚付き合いのもつれで仕事に影響
僕のところに相談に来られる方の悩みの大半が人間関係です。人間関係の悩みは尽きることがないですね。その中には職場の人間関係だけでなく、家族や親戚といった身近な人間関係が含まれていることも少なくありません。身近な人間関係に振り回されることで、夜眠れない、だるい、といった体の不調が出て、頭がまわらなくてミスが増えるなど仕事で影響が出ることがあります。
特に30~40代の女性に多い悩みが、義理の両親との関係。中でもいっしょに住んでいる場合に、精神的なストレスを抱える人が多いですね。
■義両親がプレッシャー
たとえば食事も、夫婦二人なら残りものや出来合いでいいと思えても、義両親がいると手作りしないといけない、部屋はいつもきちんと整理整頓しておかなきゃいけない、という考えになってしまう。義両親に何かを言われているわけではないけれど、自分がダメな人と思われるんじゃないかという恐怖心に勝てず、精神的にプレッシャーを感じ続けているわけです。
また、こまごまとした事例で言うと、旦那さんが親戚と仲がよくて、自分も集まりに行かないと変な空気になるから仕方なく行くとか、実家や親戚の家が遠くて日帰りできないから泊まらないといけないのがしんどいとか、いずれも相手に悪い気にさせないように、気をつかっているからリラックスできないということがありますね。
こんなふうに家族や親戚に気をつかったあげく、心が疲弊する、自分の休まる時間がない、という状態になっていきます。
■主体性に欠けた人間関係になっていないか
プライベートな人間関係の悩みの根底には「いいお嫁さんでいたい」「いい奥さんと思われたい」という考えがあります。それゆえ、自分のダメなところや弱いところを見せられないわけです。
こういった気持ちは誰にでもありますが、当事者はなかなか気づきにくい。ですから、まず大切なのは、自分の価値観を自覚すること。たとえば、これまで言われるままにしてきた親戚付き合い。これは主体性に欠けていて、自分の価値観にそぐわないのではないか、他のきょうだいが参加するからと、頻繁な親戚の集まりに顔を出すというのも、ある種の同調圧力に負けているのではないか……。これまで無自覚にしてきた自分の選択を見つめなおすだけで変わるきっかけになります。
■親戚付き合いに、どれほどのメリットがあるか
そのうえで、この親戚付き合いに、どれぐらいメリットがあるのか、自分の中で一度整理して、メリットがないと感じるなら、無理して親密な付き合いをつくる必要はありません。最低限の冠婚葬祭だけで十分ということになります。
たとえ家族や親戚であっても、物理的に距離をとって、ストレス源から逃げることは、決して悪いことではありません。自分を守るためには、大事な処世術であることを知ってほしいですね。
■同居の義両親は苦手な上司として接する
ただし義理の両親といっしょに住んでいる場合は、物理的な距離をとることが難しいので、ちょっとした工夫が必要になります。おすすめは相手の承認欲求を満たすこと。つまり、こちらから質問したり、教えを請うたりして、相手の存在を認めていることを表しましょう。苦手な上司への対応と似ています。
こちらから聞く内容は、料理や掃除のコツ、好きな食べ物や苦手な食べ物など、本当に日常生活のささいなこと。子育てや夫婦関係など人生の核になるようなことはNGです。おそらく自分とズレが生じて、そちらに合わせなければならなくなり、かえってストレスになる可能性があります。ですから、何でもないことをふつうに聞くのがいちばんです。相手は単純に自分に興味を持ってくれているんだなと思えて、関係性がスムーズになります。
■2世帯同居でも一人の自由時間を勝ち取る方法
相手に「あなたのことを大事にしている」という気持ちが伝われば、「こういうことができないんです」「一人の時間がないとダメなタイプなんです」など、自分の弱いところも見せやすくなります。
実際、今の30~40代の女性は、主婦だったり、会社員だったり、いろいろな役割がありますので、いったんリセットする時間は必要です。とはいえ、自分から壁を立てて一人でリラックスするのは難しいので、まずは相手との関係をスムーズにしてから要求を伝える。「仕事も家事もしていて、ちょっとイライラするときがあるから30分ぐらいは自分の時間がほしいんです」と伝えて、部屋に閉じこもることは何もおかしなことではないというふうにしていければいいと思います。
上司への伝え方に似ていますが、少し違うのは許可をとりやすいところ。家族なのですから、さすがに上司よりはわがままを聞いてもらいやすいでしょうね。
テレワークが増えて、家で仕事をしていることに、納得がいかない上の世代の方はいます。パソコンでパチパチやっているのが、義両親には理解できなくて「本当に仕事をしているのか」「会社は大丈夫なのか」と、あれこれ干渉されるのが煩わしいという人もいます。しかし、こちらはしっかりと仕事をしているわけですから、多くの人がこういう働き方になって、社会全体が変わってきているということを、感情的にならずにちゃんと説明する。
理解の度合いは人によりますが、相手のわからないことを無理やりわからせようとして、こちらがヒートアップするのは無駄です。どうしてもわかってもらえない場合は、自分の仕事に集中するのがいちばんでしょうね。
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産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務
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(産業医・精神科医 井上 智介)
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