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「北朝鮮の核武装と中国の台頭」2つの難題を一挙に解決できる"たったひとつの方法"

プレジデントオンライン / 2021年4月10日 11時15分

2021年3月19日、米アラスカ州アンカレジで2日目の米中外交トップ会談後、メディアに対応するブリンケン国務長官(左)とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当) - 写真=AFP/時事通信フォト

■初の日米韓協議で「北朝鮮の非核化への連携」を確認

4月2日、日本とアメリカ、それに韓国の安全保障担当の高官らがアメリカ東部メリーランド州の海軍兵学校に集まり、北朝鮮の核・ミサイル問題について協議し、非核化に向けた緊密な連携を確認する共同声明を公表した。南シナ海と東シナ海で軍事的な海洋進出を止めない中国に対する、インド太平洋地域での安全保障に関する3カ国共通の懸念についても意見が交換された。

日本からは北村滋国家安全保障局長が、アメリカからはジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官が、そして韓国からは徐薫(ソ・フン)国家安保室長出席した。現在、アメリカは北朝鮮政策の見直しについて最終調整を進めている。このため、今回の日米韓協議はアメリカが主導した。バイデン政権下で多国間の安保保障分野の高官会談が行われるのは初めてのことである。

■どうすれば北朝鮮は核武装を諦めるのか

3月にアメリカの国務、国防の両長官が日本と韓国を訪問してそれぞれの国で「2プラス2」の会合を行った際、対北朝鮮、対中国の政策に関して日本と韓国にかなりの温度差があることが問題化した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は日本に比べて消極的で、これを心配したバイデン政権は3カ国間で入念な意思統一が必要だと判断し、4月2日に日米韓協議を開催した。日米韓の連携の鍵を握るのは韓国である。

3月30日付の記事<なぜ文在寅政権は「北朝鮮の核ミサイル武装」を平気で許すのか>でも主張したように、北朝鮮に核・ミサイルの開発を諦めさせるには日米韓の強い連携が求められる。

だが、連携の鍵を握る肝心の韓国が弱腰なのだ。文在寅大統領が慰安婦問題と徴用工訴訟を利用して韓国民の反日感情を煽りながら内政を推し進めた結果、北朝鮮と中国への対応で日本と大きな温度差が生じてしまったのである。

■中国は弱腰の韓国を利用して揺さぶりをかけている

韓国の文在寅政権は政権発足時から北朝鮮に対して融和路線を引いて北朝鮮との経済協力事業の再開を強く目指してきた。一方、中国は2017年に習近平(シー・チンピン)政権が韓国の文在寅政権に対し、「日米韓の協力を軍事同盟には発展させない」とまで約束させている。

中国の北朝鮮に対する影響力は強い。融和政策を取り続ける文在寅政権は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記には甘くなる。中国の習近平政権はそんな弱腰の文在寅政権の足元を見て日米韓3カ国の連携にクサビを打ち込んで揺さぶりをかけ、日本とアメリカを牽制しようと企んでいるのである。

北朝鮮のミサイル
写真=iStock.com/narvikk
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/narvikk

■韓国はアメリカを信じ、日本とも和すべきだ

文在寅政権の苦しさも分からないではない。安全保障でアメリカに依存しながらも、北朝鮮の非核化に向けては中国の影響力に頼らざるを得ないからだ。韓国は大国のアメリカと中国のはざまで苦悩している。

だからといって中国になびいてもらっては困る。ここはアメリカを立て日本とも和すべきである。それしか韓国の道はない。来年3月には大統領選が行われ、文在寅大統領の任期は来年5月までと残すところあと1年余りだ。4月7日に投開票された大統領選の前哨戦となったソウルと釜山(プサン)の両市長選では与党が大敗した。文在寅政権の人気はかなり落ちている。

※編集部註:初出時、「文在寅氏の再選は難しい」とありましたが、韓国大統領の任期は1期5年で再選はありません。当該部分を削除します。(4月14日22時50分追記)

大統領選で韓国に親日親米の新政権が誕生すれば、北朝鮮に対する制裁の強化は進むし、強権的な中国も抑え込むことができる。

4月2日の日米韓協議の共同声明では、中国を名指しすることはしなかったものの、「ともに共通の安全保障上の目標を守り、その目標に向かって前進していく」と明記された。

■アメリカが日本と韓国に関係の改善を呼びかけた格好

共同声明は「2国間の結びつきと3カ国の協力の重要性を強調した」とも指摘している。2国間の結び付きとは日本と韓国の関係のことで、アメリカが日本と韓国に関係の改善を呼びかけた格好である。

国家安全保障担当大統領補佐官のサリバン氏は、日本に対する防衛義務を定めた日米安全保障条約5条を尖閣諸島(沖縄県)に適用することを前提にして、日本と韓国に対して同盟国として強く援助してく方針も明らかにしている。

北村氏とサリバン氏、徐氏の3人は新型コロナ対策や気候変動問題、ミャンマー国軍による市民のデモへの弾圧についても意見を交わした。北村氏とサリバン氏、北村氏と徐氏とそれぞれ個別の会談も行った。共同声明には北朝鮮による日本人拉致問題を解決するための3カ国の協力も盛り込まれた。

■「文在寅政権は旗幟鮮明にせよ」と産経社説

「日米韓の連携の鍵を握るのは韓国」と前述したが、4月6日付の産経新聞の社説(主張)は4月3日に行われた韓国と中国の外相会談を取り上げ、「文政権は旗幟鮮明にせよ」(見出し)と訴えている。

産経社説は「しかも、この会談と同時期に米国では日米韓3カ国の安全保障担当高官の協議が行われていた。文政権は、米中間でバランスを取る独自の外交をしたいのだろう」と指摘した後、こう書いている。

「ただ、バイデン米大統領は世界の現状を『民主主義勢力と専制主義勢力の戦いだ』と表現し、同盟国である民主主義国家と結束して専制主義の代表である中国と対峙する姿勢を明確にしている」
「韓国が民主主義国だというなら選択の余地はない。いいかげん、旗幟を鮮明にしてもらいたい。韓国は、自国の安全保障も米国に依拠している。バランス外交など幻想にすぎないと認識すべきだ」

沙鴎一歩は「バランス外交は幻想だ」とまでは批判しないが、日米韓3カ国の1国として韓国には旗幟を鮮明にする義務があると思う。

■五輪不参加表明で文在寅大統領は北朝鮮にはしごを外された

さらに産経社説は指摘する。

「一方、日米韓の高官協議の声明には中国への名指し批判がなかった。3月の日米外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書にはこれが明記されていた。韓国が入って中国批判が後退してしまった」
「韓国によって中国批判が後退する」。中国はまさにこれを狙っているのである。アメリカと中国の間で苦慮する韓国の弱みを握って自国に有利な外交を進める。これが中国・習近平政権のやり口なのである。そんな政権を決して認めてはならない。

北朝鮮の体育省が4月5日付のウェブサイト「朝鮮体育」の中で「北朝鮮のオリンピック委員会が東京五輪への不参加を決めた」と報じている。理由は「新型コロナから北朝鮮の選手たちを守るため」というが、明らかに韓国に対する揺さぶりである。

韓国の文在寅大統領は東京五輪という国際舞台を利用して、韓国、北朝鮮、日本、アメリカ、中国の5カ国の首脳会談を開催し、融和政策によって北朝鮮の非核化を論議する計画を模索していた。それだけに文在寅政権にとっては、北朝鮮にはしごを外された格好だ。

■北朝鮮の五輪不参加表明は典型的な瀬戸際外交だ

この北朝鮮の五輪不参加に対しても産経社説(4月7日付)は「政治利用の隙を与えるな」との見出しを立ててこう主張している。

「東京五輪への不参加を表明した国はこれが初めてだが、北朝鮮による五輪の政治利用や、他国への波及は防がなくてはならない」
「政府にはその隙を与えないよう、各国選手団が安心して競技に臨める環境づくりに万全を期すことが求められる」

「五輪の政治利用」はあってはならないことだ。揺さぶりを企図した北朝鮮の典型的な瀬戸際外交だ。ここは産経社説が主張するように開催地の日本が踏ん張る必要がある。

産経社説は「1964年の東京五輪では北朝鮮選手団の陸上選手らが国際オリンピック委員会(IOC)から資格停止処分を受けたまま来日し、資格回復を求めたが認められず、開会式の2日前に『全員帰国』を組織委員会に通告した」と解説し、「開幕直前の混乱にもかかわらず大会は粛々と運営され、五輪は大成功を収めて閉幕した。こうした歴史にも学んでほしい」と主張する。

北朝鮮の五輪不参加の表明は常套手段なのだ。日本は決して動じてはならない。

■「非核化へ結束を締め直さねばならない」と朝日社説

4月6日付の朝日新聞の社説は「日米韓の会合 非核化へ結束締め直せ」との見出しを付け、「北東アジアの平和と安定を築く上で、核兵器のない朝鮮半島の実現は、揺るがすことのできない目標である。日本、米国、韓国は、その重みを自覚し、政策を調整せねばならない」と書き出し、こう訴える。

「予測困難なトランプ外交に加え、日韓の対立も互いの調整を阻んできた。この間も北朝鮮の兵器開発は続いており、事態は悪化している。米政権が同盟重視に戻ったのを機に、結束を締め直さねばならない」

さらに朝日社説は指摘する。

「日米韓の連携を強めるためには、韓国にも熟慮を求めたい。今回の3カ国協議の直後に、韓国外相は中国・アモイを訪れ、米国と中国との間の『バランス外交』を演じた」
「中国は北朝鮮を支える後ろ盾だ。先月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際も、国連安保理は中国・ロシアの抵抗で強い対応がとれなかった。近く、中朝間の貿易も再開するという」

北朝鮮のミサイルと核のマークを青焼きの地図に表示
写真=iStock.com/LewisTsePuiLung
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/LewisTsePuiLung

■日米は中国のくさびを理解し、韓国を結び付けたい

朝日社説は「バランス外交」「北朝鮮の後ろ盾」「中国・ロシアの抵抗」と韓国に警告する。韓国に比較的好意的だった朝日社説がここまで批判するのは珍しい。それだけ文在寅政権の外交が頼りないのである。

続いて朝日社説は「その中国による今回の韓国外相の招待には、米国を牽制し、米韓日の枠組みを切り崩す思惑もあるとみるべきだ」と分析するが、前述したように中国の韓国に対するモーションはすべて日米韓の連携を壊すためのクサビなのだ。日本とアメリカはそこを十分に理解し、韓国をしっかりと陣営に結び付けておく必要がある。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)

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