周囲をかならず不幸にする「地雷のような人」をうまく処理するコツ
プレジデントオンライン / 2021年4月18日 9時15分
※本稿は、本田健『「うまくいく」考え方 新しい時代で幸せになる5つの法則』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■「他人の怒り」に巻き込まれない
人間関係でよくトラブルを起こす人は、多くの場合、過去に人間関係で深く傷ついたことがある人です。子どもの頃や、若い頃に受けた心の痛みが癒えないまま大人になり、いまでもその痛みに反応しているのです。
いつもイライラしていたり、すぐ怒ったり、文句をいったりする人がいますが、その人たちは、実際にはあなたに危害を「加えよう」としているのではありません。
そうではなく、「痛い、痛い」と叫んでいるだけなのです。この心のメカニズムを知ると、その人に対する見方が変わり、乱されがちだったあなたの心に余裕が出てきます。
別に、その人に無理に合わせる必要はありません。実際に危害にあう可能性もあるので、ある程度の距離を保つことも必要です。その人の心の痛みや感情の爆発に、巻き込まれないようにしなければいけない場合もあります。
怒りに怒りで応えていると、あなたの人生も怒りのエネルギーに満ちていきます。
「あの人は、ただ痛い、痛いといっているだけなんだ」。そう思えれば、相手の痛みに巻き込まれずに済みます。
人間関係のトラブルを引き起こす人には、まわりの人もネガティブに接するため、本人はそれを感じてますます負のサイクルに陥ってしまいます。
相手の怒りに巻き込まれないことは、場合によって、その人の痛みをやわらげる助けにもなるのです。
「この人のなかに5歳くらいの子どもがいるんだ。泣いているなら、もう少し優しく接してあげよう」。そんな気持ちになれるといいと思います。
■その人を突き動かしているエネルギーはなにか
人間関係をうまく扱い、自分で管理できるようになるには、相手の立場に立って、その人の気持ちを読むことが役に立ちます。
相手の気持ちを読むというと難しそうに思えますが、手がかりは、「その人を突き動かしているエネルギー(感情・欲求・本能など)はなにか?」と考えることです。
あなたが不可解に感じても、相手にとっては、そうするだけの理由や目的があります。そんな相手を突き動かしているエネルギーについて、いろいろと推察したり、仮説を立ててみたりするといいでしょう。
相手を動かしているものが、愛や思いやりや分かち合いの場合もあるでしょう。また、「怒り」「嫉妬」「競争」「闘争」などの場合もあります。先にお伝えしたように、正面から向き合うのを避けたり、巻き込まれないようにしたり、容易に同調しないようにしなければなりません。
こうした人間観察を続けていくと、自分なりに人を見極める力がついてきて、不用意に「地雷のような人」に近づかなくなります。
もっと慣れてくれば、自分自身にも使えます。ネガティブな言動をしたときに、「いま自分を突き動かしているエネルギーはなんだろう?」と考えると、対処療法的にストレスをまぎらわせるのではなく、根本的な原因に向き合うきっかけになります。
こうして、自分もまわりの人も理解できるようになっていくと、よりうまく人間関係を「管理」できるようになるでしょう。
■自分で自分を傷つけない
なにかに傷ついたとき、わたしたちは、その原因をつくった人のせいにしがちです。相手の言動によって傷ついたのだから、それは当然かもしれません。
でも真実は、人は他人からの攻撃によって傷つくわけではありません。
自分の「観念(思い込み)」によって傷つくのです。
たとえば、誰かに「君はいつも努力が足りないね」といわれて傷ついたとします。でも、なぜそれに傷つくかといえば、あなたが「努力が足りないのはよくない証拠だ」と思っているからです。
場合によっては、無理して頑張る必要はないかもしれないのに、自分の観念によってネガティブな感情を引き起こしているわけです。
「あなた、器が小さいわね」
「君さあ、最近太ってきた?」
そんな言動に傷つくのも、すべて自分がそれを悪いと思い込んでいるから。こうした観念は、子どもの頃の両親や友人との関係が原因だったりします。
しかし、あなたの許可なしに、誰もあなたを傷つけることはできません。
すべての出来事は、観念や思惑に関係なく、中立に起きています。その出来事にポジティブな意味を与えるか、ネガティブな意味を与えるかは自分次第。それによって、人生での体験もまるで変わってしまいます。
いまから「自分で自分を傷つけない」と決めませんか?
そうすれば、人間関係のストレスがかなり改善されるでしょう。
■嫌な気持ちは“思い込み”から
誰かの言動をきっかけにして嫌な出来事があったとき、「心の痛み」が出てくることがあります。過去の悲しい思い出だったり、自分についてだったり、やや大袈裟なことをいうと、運命について。そんな、心の痛みです。
ある調査によると、人は3歳になるまでに、「ダメ」「危ない」「できない」といったネガティブな言葉を、数万回も受けて育つといわれています。その結果、なんとなく「わたしには価値がない」「愛されていない」「わたしはできない子どもだ」などと思うようになり、「心の痛み」を抱えてしまうのです。
人間関係で嫌な経験をすると、そんな思い込みが、痛みとなって生じます。つまり、嫌な気持ちになるのは、けっして目の前の人が原因ではないということです。
たしかに、目の前の相手は嫌な気持ちを引き起こした「きっかけ」かもしれません。でもあくまで、「自分が自分をどう思っているか」が、出来事に反映されているのです。
だからこそ、嫌なことがあっても、人のせいにしないことが大切。
最初は難しいかもしれませんが、感情が乱れたときには、なるべく意識的に自分と向き合ってみましょう。
■豊かな人間関係を育むコツ
「すべて自分のせいだ」と、逆に自分を責めるのでもないことにも注意してください。罪悪感を抱くのではなく、あくまで、自分の心の痛みと冷静に向き合う姿勢が必要です。
なにか痛みを感じたとき、「この原因はなんだろう?」とチェックする習慣を持ちましょう。それは、父親に受け止めてもらえなかったことや、ほめてもらえなかったことが遠因かもしれません。
そうして自分への理解を深めていけば、他人に簡単に振り回されることがなくなり、人間関係も好転していきます。
豊かな人間関係は、人生を幸せに生きるためにとても重要です。
なぜなら、どれだけ仕事で成功しても、お金を得たとしても、それは一時的な興奮のようなもので、満足感はずっと続かないからです。
世界中の「幸福感」に関する研究であきらかになっていますが、人はお金や社会的地位が一定以上になると、幸せを感じなくなります。
むしろ、幸福感は減っていく傾向にあります。お金や社会的地位によって得られた人間関係は、愛がなくむなしいもので、孤独に生きていれば人生はどんどん寂しいものになっていくでしょう。
■自ら「人を好きになる」こと
そこで、豊かな人間関係を育むために、大切なことがあります。
それは、自ら「人を好きになる」ことです。
どんな人であっても、まず相手に興味を持ち、その人を喜ばせ、笑顔にさせてあげることを考えるのです。すると、仕事相手なら、「この人はわたしのことを本当に考えてくれている」と感じるだろうし、家族や友人なら、「大切にされている」と深く信頼してくれるようになるでしょう。
自分から人を好きになる姿勢を持つのは、人を信頼すると同時に、自分自身も信頼する姿勢につながっています。そんなあなただからこそ、深い人間的な魅力が生まれます。変わった人と会ったとしても、「くさやの干物みたいで、変わってるなあ。面白い!」と思えるようになるのです。
そうやって、人に好奇心を持って接し、人を好きになってください。そうすれば、あなたは人に好かれるようになります。
そして、あなたのことを大切に思うたくさんの人に囲まれている幸せに気づくと思います。
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作家
神戸生まれ。経営コンサルティング会社、ベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」。著書に『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)などがある。
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(作家 本田 健)
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