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連載・伊藤詩織「突然体が動かなく……」本当は怖い、コロナ後遺症の実態

プレジデントオンライン / 2021年5月7日 9時15分

コロナ後遺症との付き合いが終わるのは半年後か、1年後か、それとももっと先なのか……先が見えない。(写真はイメージ、筆者撮影)

■「突然体が動かなく……」本当は怖い、コロナ後遺症の実態

Long Covidという言葉を知っていますか──。新型コロナウイルス感染症の後遺症のことだ。海外メディアで多々報道されてきたが、最近は日本のメディアも扱うようになってきた。しかし取り上げられるのは味覚障害や脱毛などのことが多い印象を受ける。後遺症にはさまざまな症状があり、起き上がれなくなり仕事ができなくなった例も報告されている。

私の友人もその1人だ。30代女性の友人は自身がコロナ後遺症でベッドから起き上がることさえも難しくなっていると打ち明ける。コロナの症状が出て回復した数週間後、突然疲労感に襲われ、それから体が動かなくなってしまった。

一向に症状が改善しない状況が2カ月続き、週3回は訪問看護のサポートを受けることになった。フリーランスで仕事をしていた彼女は万が一のときのために貯金はしていたが、働けなくなった今、訪問看護費の3割負担も毎月にするとかなり大きな出費だ。

■先が見えないことに不安を隠せない

この症状との付き合いが終わるのは半年後か、1年後か、それとももっと先なのか、先が見えないことに不安を隠せない。担当医からはあまり動かないように、と言われているが、ずっと動かないのもストレスになってしまうという。彼女は後遺症の存在を知ってほしいと願い、比較的体調がよい日に電話で話してくれた。

「昨日だったら話せなかった」

そう笑いながら話し、私の体調まで気遣ってくれた。彼女の優しい声を聴きながら、突然日常を奪われてしまうこの症状が実際に彼女を襲っていること、そしてそれが私たちにいつ起きてもおかしくないことを思い知らされた。

コロナ感染症・後遺症のサポートグループ「Body Politic」が、計56カ国のメンバー3800人に実施した調査によると、回答者の85%に認知機能障害、81%に痺れや神経系の支障、また半数に話すなどの言語機能の支障といった後遺症が出た。また回答者の4分の3は仕事に復帰することが難しい状況にある。

今後コロナの感染状況が落ち着いたとしても、後遺症との闘いは長くなるかもしれない。日本でも、支援や情報にたどり着けるような機関が今、必要とされている。

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伊藤 詩織(いとう・しおり)
ジャーナリスト
1989年生まれ。フリーランスとして、エコノミスト、アルジャジーラ、ロイターなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信し、国際的な賞を複数受賞。著者『BlackBox』(文藝春秋)が第7回自由報道協会賞大賞を受賞した。

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(ジャーナリスト 伊藤 詩織)

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