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「メガベンチャー内定女子が商社の一般職も受ける」イマドキ大学生の"複雑な心境"

プレジデントオンライン / 2021年4月28日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Milatas

今の就活生は、入社の「その後」をどう考えているのでしょうか。理想の働き方から上司に求めること、入社後のキャリアプランまで、すでに内定をとっている大学生5人が本音でトーク。『Z世代』(光文社新書)の著者である原田曜平さんが聞き出した、少し前の世代とはまったく違う仕事観とは──。
【座談会参加者】
佐藤 由佳(仮名)/慶應義塾大学法学部4年生
田中 駿介(仮名)/慶應義塾大学法学部4年生
西川 拓也(仮名)/明治大学政治経済学部4年生
池谷 淳平(仮名)/立教大学社会学部4年生
山岸 綾香(仮名)/津田塾大学学芸学部4年生

■働き方にも「攻めと守り」を考えるZ世代

【原田】皆さんのうち山岸さんはすでに就職先が決定していて、ほかの人は内定はもらっているものの引き続き就活中ですね。就活にあたっては入社後のことも見据えていると思うけれど、どんな働き方をしたいと考えていますか?

【佐藤】自分がライフとワークのどちらを優先したいのか、正直まだ悩んでいます。就活が進んでいけば見えてくると思うので、何社かから内定をもらったら、その中で比較しながら考えていきたいですね。就活先の企業も、ガツガツ働ける「攻め」と、プライベートを大事にできる「守り」の2つのタイプをバランスよく選びたいと思っています。

【原田】佐藤さんは広告系のメガベンチャーから内定をもらっているけれど、今後は商社の一般職にも応募するつもりだと言っていましたね。前者が「攻め」で、後者が「守り」ということですね。確かに日本では共働きが一般的になったと言われつつ、実際はパートをする女性が増えています。これらの人を「隠れ専業主婦」などと呼ぶ人もいて、女性が一生働く時代になった、とは言いきれない状況と言われています。

 男女雇用機会均等法ができた第一世代の娘たちが、ちょうど君たちZ世代なのだけど、自分の母親を見ると実質的にバリバリ働き続けているケースはまだ少ない。Z世代の優秀な女性も、どの道が女性にとって幸せなのか、モデルも少なくて悩んでいる人もまだ多いのかもしれませんね。

■総合職は忙殺されるが、一般職はヒマすぎる

【佐藤】はい。OB・OG訪問で話を聞いたら、「攻め」ばかり重視すると入社後に仕事に忙殺されるよって言われたので。広告業界には入りたいんですが、忙しすぎて広告をつくるワクワク感をなくしちゃったら……って不安になりました。逆に、金融業界の一般職を選んだ先輩は「プライベートの時間はあるけど仕事がヒマすぎる」って言っていて。どちらも一長一短があるんだなって初めて知りました。

【原田】現状では、順番が重要かもしれませんね。一般職から総合職にいくよりも、総合職から一般職にいくほうがハードルが高い可能性がありますね。ライフステージによってフレキシブルにできるのが理想的なのでしょうが。

■「労働時間短縮で仕事量そのまま」のおかしさ

【佐藤】若いうちは、実力をつけるために残業してガツガツ働くのもいいんですけど、その3~4年間に自分が耐えられるかどうか自信がないです。その期間は仕事量に対してお給料が少ないっていう話も聞くし。あと最近は、労働時間はそんなに長くないけど仕事量は多いっていうケースも増えているみたいですね。それはそれで大変そうだなと思います。

グループキャンパスの時間
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

【原田】濃密度が昔より上がっていたり、みなし残業や持ち帰り残業が増えている可能性があります。常識的に考えると、業務量を減らさずに生産性を上げられる会社はごく一部のはずで、業務量を減らすことで売り上げも下がることを受け入れるのが現実的。日本の「働き方改革」は、かなり無理な精神論が飛び交ってしまっているところがあります。

■上司には、頼りがいより度量や器の大きさを求める

【佐藤】若い私たちの意見や考え方を、新鮮だと思ってくれる人がいいです。鼻で笑われるとシュンとしちゃう(笑)。「今の若い子はそういう考え方をするんだね」って受け止め方をしてほしい。OB・OG訪問でもそういう人に会うと、いい人だな、いい会社なんだろうなって思います。頼りがいよりも、受け入れる度量や器の大きさを求めたいですね。

【原田】それは面白いポイントですね。バブル世代の上司は、新人が何か言うと「おぉいいね!」みたいなノリのいい人が多かったんですが、そういう人は仕事のほうもゆるかったりして、部下としては困ることも多かったんですよ(笑)。

【田中】僕は、若くて経験のない新人にもある程度任せてくれる上司がいいですね。インターンをしていた時、細かく指示されたり、単調な業務しか与えられなかったりして面白くなかったので。やりかたは間違えるかもしれないけど、それでも1度は自分のやりたい形でチャレンジさせてほしいです。

【原田】それは難しい問題でもありますね。経験のない若手社員に大きな仕事を全て任せるわけにはいきにくい。で、典型的な昭和の上司にようにパワハラ含みで「俺についてこい」というやり方は、今のZ世代には絶対に合わないし、最近の典型的な上司は何も言わずに任せる人も多いようですが、ともすると放置ぎみにもなりかねないですよね。今の管理職は仕事を任せつつ、かなりきちんとチェックや尻拭いもしないといけないということで、昔の管理職より業務量が明らかに増えているかもしれませんね。

【田中】確かに、昭和上司と今の上司のどちらにもいい面はあると思うんです。だから、どちらの方法もわかった上で、若手の成長や裁量権を気にしてくれる上司が理想的かなと思います。

■プライベートでも仲良くしてほしい

【西川】僕は、仕事でもプライベートでも仲良くしてくれる上司がいいです。休日にも連れ出してくれたらうれしいですね。職場でも外でも、友達みたいに接してくれたらモチベーションも上がります。

【原田】まあ、とは言え、飲みの席でお酌させたり、過去の武勇伝を聞かされたり、串の取り外しを強要させたりすると、今の流行曲じゃないけど「うっせえわ」って思われちゃうだろうから、「上下関係のないプライベートな親密な関係」の場を上司は設けないといけなくなっていて、これはこれで中高年世代にとっては大変だろうね。

■優しくていじれる親近感と頼りがい

【池谷】僕は、優しくていじれる上司がいいです。だる絡み(特に用事もないのにちょっかいを出すさま)してくれたらうれしいですね。普段は同期の友人みたいに接してくれて、ここぞと言う時に頼りがいのあるところを見せてくれたら、ギャップも含めて「いいな」って思います。

【山岸】若手の発想を「面白いじゃん」って聞いてくれて、一緒に飲みに行ける人がいいですね。飲みに行くと、普段はしっかりしていても意外とかわいい一面が見えたりするから「いい人だな、ついていきたいな」って感じると思います。

【原田】こうした上司像がZ世代の理想であるならば、中高年管理職はしっかりこれを受け止めないといけないですね。一方、若手の意見を取り入れる器の大きさや、たまには飲みに行きたいという佐藤さんや山岸さんの意見は、今の時代なら大いに可能だと思います。僕が若い頃は新入社員が上司に勝てる部分なんて一つもなかったけれど、今はデジタルやスマホ、SNSなど、若者のほうが詳しい分野がたくさんあります。その意味では、上司と新入社員が対等になれる、Win-Winになれるいい時代かもしれないですね。皆さんの意見も、この状況を示唆しているように思います。「上司の言うことはすべて正しい」と言うような人は、もう支持されないのかもしれませんね。

■将来の転職のために昇進しておきたい

【原田】では、次は昇進意欲について聞きたいと思います。これもまだ想像しにくいかもしれませんが、入社後にどう歩んでいきたいか、考えを聞かせてください。

【佐藤】私は、同じ会社にずっといるっていう選択肢はないかなと思っています。今ってどの会社に入ってもリスクがあるとうか、いつ誰が不正して信用が地に堕ちるかわからない。だから、最初に入った会社にしがみつくような大人にはなりたくないんです。そのためにも、入社後の生活には、次のステップを見つけられるような時間的・金銭的余裕がほしいですね。じっくり考えるには、やっぱり1人の時間も必要だと思います。

【池谷】僕は昇進意欲はかなりあります。OB訪問で、どのぐらいのペースや確率で昇進できるのか、どこが別れ道になるのかといった話を結構聞いたので、昇進については以前よりだいぶ気にするようになりました。やっぱり給料は上げていきたいので、それにはがんばって上に行かなくちゃと思っています。ただ、会社で働くだけじゃ昇進してもそれほど稼げないだろうから、投資などの副業も考えています。

【西川】僕も昇進意欲は高いですね。入社した企業が自分に合っているかどうかは実際に働いてみないとわからないし、働いているうちに他にやりたいことが見つかるかもしれない。そうなって転職を考えた時、ある程度地位や実績があったほうが有利だと思うんですよ。

■管理職に打診されたら「断る理由はない」

【佐藤】僕は、先々のキャリアプランは正直まだよくわからないです。最初に入った企業で昇進を目指すもよし、起業や副業もよしって感じで。ただ、いちばん重視しているのは自分のやりたい仕事をすることなので、それができなければ他の道に流れていくんだろうなとは思っています。

【山岸】私は一生同じ会社にいようとは考えていません。ネット広告の代理店に就職する予定ですが、この業界は変化が早いので先がどうなるかは誰にもわからないと思うんです。自分自身が結婚や出産の後に復帰するかどうかもわからない。もしかしたら会社員は辞めて、今やっている副業を本格的に進めていくかもしれません。

【佐藤】職場環境がよければ、ずっと同じ社にいて昇進を目指すのもアリですが、働いていたら絶対悪い部分も見えてきますよね。そう考えると、自分は転職する確率のほうが高いかな。最終的には「ここで昇進するんだ」「お給料のよさを優先するんだ」って決心できる時が来たら、その時いる企業が骨を埋める場所になるのかなと思います。

■「管理職を断る理由はない」女子大生の本音

【原田】昇進と言えば、この前テレビで「女性が管理職になりたがらないのは問題だ」というテーマを取り上げていたんですが、山岸さんや佐藤さんは管理職になりたいと思っていますか?

【佐藤】なりたいし、ぜひやってみたいです。人をまとめることが好きなので、やりたくない理由はないですね。なりたくない人は、管理職になると育児とのバランスが崩れそうだからかな。それだったらわかるし、実際、周りには「仕事がうまくいかなかったら結婚すればいいや」みたいな姿勢で就活している女子もいます。でも、その人はそういう志向だっていうだけで、私自身はネガティブに捉えてはいません。

【山岸】私は新しいモノやコトが好きであちこち気移りするタイプなので、そもそも同じ職場に長くはいられないと思うんです。だから、管理職になる未来は見えないかな。でも、もし機会があれば断る理由はありません。同世代の友達の中には、結婚後も働き続ける未来が見えないって言う子もいますが、だからってそうした考え方はいけないとか、ネガティブに捉える必要は全然ないと思います。

【原田】今回はたくさんの意見が出ましたね。攻めと守りの就活、上司との飲みニケーションに関する意識、キャリア観など面白いポイントがたくさんありました。これは一つ前の世代とはまた違う、Z世代ならではの感覚と言えるかもしれません。彼らが社会の中心になる頃には、働き方も職場の人間関係も大きく変わっていくのではないかと思いました。こうした若者たちの意識変化に、今後も引き続き密着していきたいと思います。

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原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。信州大学特任教授。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。

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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=辻村洋子)

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