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現役東大生チーム直伝『ドラゴン桜2』に登場する「確実に偏差値5アップする」最新勉強法

プレジデントオンライン / 2021年4月25日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/paylessimages

4月25日より日曜劇場「ドラゴン桜」(TBS系)がスタートする。東大合格請負漫画として一世を風靡した前作から15年の時を経て、なぜ原作漫画『ドラゴン桜2』の執筆に至ったのか。時代の変化があってなお、再びテレビドラマ化されるヒットがなぜ可能になったのか。漫画家・三田紀房氏が、セブン‐イレブン限定書籍『ドラゴン桜 人はなぜ学び、何を学ぶのか』(プレジデント社)刊行に際し、その創作舞台裏を語る──。(第2回/全3回)

■15年の時を経て、異例の続編…

この3月に、週刊『モーニング』(講談社)での漫画『ドラゴン桜2』連載は完結した。パート1のほうは2003~07年の期間、同じく『モーニング』で連載していた。両者には15年ほどのタイムラグがある。

それだけの間を空けて、同テーマ・同じ主人公で展開する漫画はあまり例がない。

なぜ『ドラゴン桜2』では、問題なく続編を展開できたのか。おそらくは、時代は変われど不変なものを捉え、描いているからだ。

■主人公・桜木建二はプロジェクトリーダー

例えば、主人公・桜木建二の姿勢である。

彼は「東大合格請負人」を任じて生徒たちをけしかけ、強い言葉で導きながら結果を出す。生徒に課す勉強法やかける言葉は時代に即応させているが、やっていることや立ち位置は変わらない。

彼は根っからのプロジェクトリーダーなのである。目標を設定して、あらゆる手を尽くして組織やチームを導き、目標を達成させる。その道のプロフェッショナルとして存在しており、パート1でもパート2でも「東大合格」という結果をきっちり出している。

漫画の表現上あまり強調していないものの、PDCA(Plan、Do、Check、Action)サイクルを回して成果を上げるという仕事人としての王道を、彼は律儀(りちぎ)にこなしているわけだ。ストーリーに沿ってそのプロセスを追体験することは、読者にとってカタルシスを得られるものである。

■成功の秘密は「型」と「演出」

ひとつの成功を皆で達成するために、多様な過程と試行錯誤を経て、成功まで行き着く。そういう営み自体は人類が何百年、何千年も繰り返してきたこと。そうした「型」を、桜木建二というわかりやすい「導き手」が先頭に立ってたどっていくという構造を、『ドラゴン桜』は内包している。

この「型」は不変にして普遍なものだから、続編でもう一度たどり直したって、飽きられる心配などない。デジタル時代に突入して、勉強法が劇的に変わったというようなトピックは、たしかにパート2でふんだんに取り入れている。だがそうしたエピソードは、普遍的な「型」の上に花開かせる演出に過ぎない。

普遍的な「型」を用いているだけではない。『ドラゴン桜』では、主要なテーマとなる学びや勉強についての考え方も、根幹ではできるだけ不変のものを取り上げている。

例えばパート1に続けてパート2でも強調したのは、

「勉強とは基礎がすべてだ!」

ということ。

『ドラゴン桜2』のストーリーづくりには、現役東大生のチームが参加してくれている。受験に勝つための方策として彼らが繰り返し、最も熱心に唱えていたのはやはり基礎の強化だった。

■東大生の実体験をストーリーに反映

数学の勉強を考えてみよう。少しでも苦手意識があるのなら、中学校の教科書を引っ張り出してきてイチからやり直してみるのが、成績アップの鉄則である。

現役東大生いわく、それだけで確実に偏差値が5ポイントは上がるという。中学レベルの問題にみっちり取り組んでから、受験レベルの問題へ戻ると、急に視界が開けたようによく理解できるようになるそうだ。

パート2のストーリーでは、東大特進クラスで学ぶ2人の生徒・早瀬と天野が数学力を鍛え直すため、小学2年生レベルの計算問題に取り組むこととした。

漫画的な演出として大げさなことをさせたのではない。本当に効果的な方法はこれだと東大生が提唱してきたものを、そのまま採用して漫画にしたまでである。

■「絶対うまくいく!」と信じられる人だけが成功する

また、とにかくポジティブであれという教えも、「1」と「2」で共通して強調したところ。そもそも桜木建二という主人公は、口が悪くて言い方には難ありかもしれないが、常にポジティブにものを考えろということだけは言い続けている。

「東大なんて簡単だ!」「受験など受かったものだと考えてかかれ」「失敗したときは笑え!」などなど。

絶対にうまくいく、自分にそう暗示をかけていくようなメンタリティを、事あるごとに生徒たちに植え付けようとする。

「もうダメだ……」と言っている人は、本当にダメになる。無根拠だろうと「絶対うまくいく!」とポジティブに自分を信じられる人だけが、成功を手にできる。私はこれもひとつの普遍的な真理だと思う。

『ドラゴン桜』は漫画作品だから、その真理をデフォルメして、ちょっと大げさに表現できる。そこに共感してくれている読者も、きっといると私は信じている。

黒板に書き込む女性の手元
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■ヒットを再現するコツは「打席に立ち続けること」

この作品は受験漫画なので、まずは切実な立場にいる中学生・高校生に読んでもらえたら、という思いで描いている。

とはいえ、もちろん大人が読んでくれるのも大歓迎。どんな世代の人であれ、落ち込んだり気が滅入(めい)ることは日々たくさんある。そんなときに、桜木や生徒たちの姿を見てすこしでも気持ちをアゲてもらえたら、作者としては何よりうれしいものだ。

「普遍」の「型」を取り入れることで、『ドラゴン桜』はパート1もパート2も好評をいただくことができた。その他にも投資漫画『インベスターZ』、第2次世界大戦中という舞台設定の『アルキメデスの大戦』など、近年だけでも作品を次々世に出すことができているのは幸いだ。

「エンターテインメントの世界で一発当てる人はよく見るが、ヒットを打ち続ける人は稀(まれ)だ。いったいどうやっているのか」

と尋ねられることもある。その点にコツらしきものがあるとすれば、それはひとことで表せる。

「打席に立ち続ける」こと。それだけだ。

■まずやってみる、走りながら修正する

打席に立つ、つまり実践をしてみないかぎり、いくら請い願ってもヒットが生まれることはない。だから、あらゆる機会を捉えて打席に立つのが肝心なのである。

たしかに私も、そのための努力だけは惜(お)しまないようにしてきた。載せてもらえる媒体があるならば、私の場合は新しい漫画作品をドシドシ発表する。

同じ漫画家でも、企画から絵柄まで練(ね)りに練ってからでないと発表しない人もいる。そこはタイプの違いとしか言いようがないが、私はとにかくまずやってみる。何かが違っていたら、走りながら修正をかければいい。

これは他ジャンルの仕事、例えば商品やサービスの開発現場でも同じことが言えるはずだ。

新しい企画を立てるとき、ジャンルにもよるが、海外企業の中には7割程度の出来でもどんどん市場に投入するケースがよく見られる。ちょっとした不具合や若干の不良品が出る恐れがあってもお構いなし。苦情の声を聞きながら、それに沿って改良していけばいいというくらいの発想をする。

対して日本のメーカーは、得てして100パーセント完璧なものを目指し、そこに近づかないうちは絶対に市場へ出さない傾向にあるのではないか。

この考えの違いによって生まれるのは、スピード感の圧倒的な違いだ。モノによってはリリースに数年の差ができてしまったりもするだろう。

■「7割主義」のすすめ

私は明らかに「7割主義」のほうだ。企画を立ててだいたい続けられる見込みが立てば、一刻も早く連載をスタートさせてしまう。慎重派から見れば見切り発車としか思えないかもしれないが、それでいい。

三田紀房『ドラゴン桜 人はなぜ学び、何を学ぶのか』(プレジデント社)
三田紀房『ドラゴン桜 人はなぜ学び、何を学ぶのか』(プレジデント社)

なんといっても、リリースする作品数が増えればそれだけ、ヒット作が出る確率も上がるのだ。

その作品がそれなりでそこそこの反響に留まったとしても、それはちゃんと「それなりの実績」にはなる。経験値が増えるし、認知もしてもらえる。あまりに作品発表が滞(とどこお)れば、評判の良し悪しという以前に、ただ忘れられていってしまうだけである。

『ドラゴン桜』にしたって、続編なんてコケるに決まっていると、きっとあちこちで囁(ささや)かれていたのではないか。それでも、打席に立ち続けることを信条とする私は、迷わずこれを市場へ投入した。

パート1に続いてテレビドラマ化までしてもらえるような作品になったのは、ひとえに「とにかくやってみた」から

ヒット作が生まれるかどうかは、本当にただその一歩を出すか出さないかに、かかっているのである。

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三田 紀房(みた・のりふさ)
漫画家
1958年、岩手県生まれ。漫画家。明治大学政治経済学部卒業後、大手百貨店勤務などを経て、30歳のとき講談社ちばてつや賞一般部門入選で漫画家デビュー。社会現象を巻き起こした東大合格請負漫画『ドラゴン桜』(講談社)で2005年第29回講談社漫画賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。代表作にはほかに『クロカン』『砂の栄冠』『インベスターZ』『エンゼルバンク』『アルキメデスの大戦』『ドラゴン桜2』などがある。

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(漫画家 三田 紀房 構成=山内宏泰)

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