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「わが子の点数は、親次第」大学共通テストの国語に必須"考える力"を授けられる親の能力と習慣

プレジデントオンライン / 2021年4月29日 8時45分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mizoula

文部科学省の教育改革の本丸「大学入学共通テスト」。今年1月に実施された第1回の出題問題から見えてきた“これから求められる学力”とは何か。大手予備校の講師と名門高校教諭が第2回目以降に受験する生徒向けに国語と数学に関してアドバイスしてもらった――(前編「国語」/全2回)。

■初の大学共通テスト「国語」で試された学力は何か

■国語
試験時間:80分
配点:200点〈近代以降の文章2問:計100点、古文1問:50点、漢文1問:50点〉
大学入学共通テスト「国語」
出所=『プレジデントFamily 2021春号』

センター試験に代わり、「思考力」「判断力」「表現力」を問う目的で始まった共通テスト。2017年、18年に行われたプレテスト(試行調査)では、生徒会の規約や法律の条文など、日常生活に近い、実用的な題材を使った問題が注目された。

その後、記述式問題の撤回などもあり、受験生にとっては不安の中での試験となった。駿台予備学校の現代文科講師を務める清水正史氏は次のように見る。

「今回の共通テストは、センター試験を踏襲した部分が大きい印象でした。論説文も小説も、文章の正確な読み取りを測る設問は、センター試験から引き継がれた形式でした。しかし、設問の後半部分では、複数の文章を関連付けて考えさせる問題が出題されました」

論説文では本文の要旨をNさん(生徒)がまとめたノートや、芥川龍之介の『歯車』が、小説では本文に対する「時事新報」の批評が掲載され、それを本文と関連付けながら考察する問題が出された。

「どちらも資料と本文との関係性や本文に対してどのような視点を持って書かれた資料か、といった点を考えて解いていく必要があります。正答を導くには、正確に本文を読み解く力に加え、二つの力が問われます。一つは複数の資料から情報を読み解く力。もう一つは本文の主張をより深く読み取ったり、本文と異なる視点に立って考えたりする力です。本文の書き手や、主人公の気持ちを追うだけでなく、資料の書き手や評論家の視点に自分を置き換えて考えてみる必要があるため、高度な読解力が問われることになります」

複数資料問題の配点は、論説文で50点中19点、小説で50点中12点と大きな比重を占めている。

「今後はプレテストで見られたような図表やポスター、会話文なども扱われる可能性があります。二つの力の重要性は高まっていくでしょう」

■親子で新聞記事の読み比べをするかしないかで点数に差が出る

複数の資料を使って応用的に考える力を養うために、どんな準備をしておけばよいのか。

大学入学共通テスト「国語」
出所=『プレジデントFamily 2021春号』

「日常の中で親が意識をして、子供新聞で記事を読み比べる練習を一緒にしたり、学校の調べ学習でテーマに関連する資料を何冊か読んで深掘りさせたりすることです。大人は、新聞やインターネットに流れるさまざまな記事を読み比べるなど、日常生活の中で無意識のうちに実践しています。子供も同じように習慣付ければ、多様な視点や探究心は自然と身についていくはずです」

子は親の鏡。子供の考える力を伸ばすには、まずは親自身が自分の考えや気持ちばかりに執着せず、社会を広く見渡し、多様な視点を持つことも忘れずにいたい。

▼プロの見方
前身であるセンター試験からの変化は、予想されていたほど大きくはありませんでした。ただ、移行期間で変更幅が小さくなったという側面もあるでしょう。これから、より実用的な資料を読み解く方向に向かう可能性もあります。「本文を読み解く力」に加え、「本文を基に応用的に考える力」は一層重要になるはずです。

■普段の「親の話し方」次第で子供の共通テストの点数が上がる

▼小中高の子供と親が今からやるべきこと
『プレジデントFamily2021春号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2021春号』(プレジデント社)
1:ニュース解説の記事を読む

応用的に考える力を伸ばすのに社会問題について詳しく解説している記事はうってつけ。今、話題になっているテーマについて、何人かが異なる意見を述べているインタビュー記事もよい教材になるでしょう。複数の視点を見比べる練習になるだけでなく、どの意見になぜ賛成か、反対かなど、家族で対話を深めるきっかけにもなります。インターネットで記事を読む際にはリンクが貼られた関連記事も併せて読み、どの点でつながりがあるのかを親子で一緒に考えるようにするといいでしょう。

2:少し難しめの文章を精読する

共通テストの現代文で求められるのは、精読力、速読力、複数の文章を関連付けて読む力です。この中で最も身につけづらいのは精読力。鍛えるには、一度読めばわかる易しい文章をたくさん読むより、自分がわかるレベルより少し難しいものをじっくり読む練習が効果的です。筋トレのように、負荷をかけて練習することで力がつくのです。小学校の高学年なら、少し背伸びをして、大学の先生が書く新聞の文化欄の文章などを読んでみるのもいいでしょう。

3:論拠を明確にして話す

普段の会話で、親が要点や理由を明確にして話すようにすると、特に論説文で役立ちます。たとえば何かをしてほしいときには何を、なぜ、どのようにしてほしいのかを子供に説明させましょう。親の側も黙って言うことを聞きなさいなどと意見を押し付けるのはNG。小説では、自分以外の人の気持ちを想像できるかがカギです。たとえば自分には励みになる言葉でも、プレッシャーに感じる人もいるといったことです。読書や映画などからさまざまな立場に立って考える機会をつくりましょう。

以下、後編「数学」〈「スマホに強い子は、大学共通テストにも強い」わが子に最も得なスマホ料金プランを計算させよ〉へ続く。

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加藤 紀子(かとう・のりこ)
フリーランスライター
ライター。子育てが一段落してから教育関係の取材・執筆を本格的に開始。教育専門家に取材したことから得た知見や、国内外の最新研究から得た子育てのコツを盛り込んだ初の著書『子育てベスト100』は現在16 万部のベストセラーに。1男1女の母。

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(フリーランスライター 加藤 紀子)

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