「スマホに強い子は、大学共通テストにも強い」わが子に最もお得なスマホ料金プランを計算させよ
プレジデントオンライン / 2021年4月29日 9時0分
■問題が長文化、大学共通テスト「数学」は国語力がないと解けない
前編(国語)から続く。
試験時間:1A:70分 2B:60分
配点:各100点
![【図表】数学](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/7/670/img_37a8779f094e7fcc243856ea687a2efd892191.jpg)
プレテストでは平均得点率が30%台と、難化が予想されていた数学だが、実際の平均得点率は昨年のセンター試験より高かった。
「問題文の読解や立式は難化、計算は易化という印象です。問題文が数ページにわたり、条件を整理する力を問う問題が増えました」
そう語るのは、筑波大学附属高校教諭の山田研也氏だ。
「特に注目を集めたのが、数1Aの大問2です。陸上競技でいかに速く走るかという日常生活と密着したテーマについて、数学的にとらえる問題となっています。この問題は、式を立てることができれば、計算自体は易しいのですが、文章を読み解き式を立てることができなかった生徒が少なからずいました。日本数学教育学会の調査によると、式を立てられなかった生徒の約半数は、式さえ立てられていればその後の計算はできていたという結果が出ています」
駿台予備学校数学科講師・小林隆章氏も次のように語る。
「問題が長文化したことは大きな変化です。馴染みのない文章や会話文を読み、与えられた用語や記号をその場で正しく理解したうえで解き進めなければなりません。生活のあらゆる場面に数学が活かされていることを知ってほしいという出題者の意図を強く感じる問題でした。数学の応用事例を知っている子であれば、場面をイメージしたり、活用法を想像したりしやすいはずです。今後もこうした実例を使った出題が増えていくでしょう」
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また、条件を変えて変化を考察するような、思考実験のような問題が増えたことも大きな特徴だ。
「大問1の図形の問題で『角度を変えたら答えはどう変わるのか』など与えられた条件の中で検証し、法則を考えさせる出題がありました。解答はどのような法則性があるかを選択肢から選ぶ問題でした。普段から条件反射的に答えを出す学習だけでなく、式や図形の中で、ある数字を変えると、他の数字がどう変わるかといった『数字と数字の関係性』まで深めて考えているかどうかが重要になります」(小林氏)
![【図表】数学](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/670/img_58b9d576c72f191e85251dfef0673b9b717454.jpg)
全体を通して言えるのは、解法を覚え、それを当てはめて答えを出すような勉強法をしてきた子には、難しく感じられる問題だったことだと両氏は口をそろえる。こうした傾向の問題が解けるようになるには、数学に対する姿勢を見直す必要があるという。
山田氏は身の回りにある事象に数学を当てはめてみることを推奨する。
「たとえば、白熱灯をLED電球に換えた際に、何日くらいで元が取れるかとか、スマホの料金表を比較して2年後の時点でどのプランが一番お得かといったことを、式やグラフで表して分析してみることもよい訓練になります。ただ、日常に即した事象を数式化する読解力や表現力だけでなく、本来数学という教科で問うべき数学的処理能力も併せて定着させてほしいですね」
小林氏は目先の正解を追い求める学習に警鐘を鳴らす。
「今回のテストはあくまで改革の序章にすぎません。共通テストの内容を踏まえて、来年以降徐々に国立大学の2次試験や私立大学試験の問題も変わるでしょう。最短距離の解法を素早く覚えるのではなく、一問にじっくり時間をかけて自分で考えることがこれから一層重要になります。式の意味を考え、間違えた理由を自分で検証する、こうした地道な努力が、数学力として積みあがっていきます」
数学は以前から「変化の年は難易度が下がる」と私は分析してきました。今年は日常的な言葉や文章から数学的条件を読み解く力を問う問題が多い印象でした。ただ、数Aの大問4のように少し深みにかける問題もありました。思考力、判断力、表現力を問うという基本方針は変わらないでしょうから、これからどんな形で問題が洗練されていくのか楽しみですね。(小林氏)
■「間違えた子を叱責」「解くのが遅いとせかす」そんな親は失格
▼小中高の子供と親が今からやるべきこと
![『プレジデントFamily2021春号』(プレジデント社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/1/200/img_c1dd16d72141023cadc03b8356f35d27337976.jpg)
1:一問にじっくり向き合う
条件反射のように素早く正解を出す力より、1つの問題で、当てはめる数字や式を変えることによって答えがどう変化するか、じっくり考察できる力が大事です。間違えたからといって親が子を叱責したり、解くのが遅いとせかしたりしてはいけません。大事なのは試行錯誤の過程。だから間違えた答えも消しゴムで消さないこと。数学力は間違えた経験から伸びるもの。なぜ、そしてどう間違えたのか、検証してみましょう。(小林氏)
2:式の意味を考える癖をつける
小学生の算数では、ルールを覚えれば解ける問題が非常に多く、テストの前に暗記で詰め込んでもなんとか乗り切れてしまいます。暗記頼りでも一定のレベルには到達できますが、自分で考えて理屈を理解していないので、中学、高校と上がるにつれて伸び悩みます。最初は時間がかかるかもしれませんが、式の意味を考えたり、図や表を描いたり、自分の手を動かしながら試行錯誤する癖をつけておくといいでしょう。(小林氏)
3:数学の応用事例を知る
算数の学習においていろいろな技法や解法を身につけることはもちろん必要なことです。ただ、原理や理屈がわからないままに解法を詰め込むだけでは、結局中高生になって伸びなくなってしまいます。「なぜ?」「どうして?」を大事にしつつ、いま学習していることがどんなことに結びつくのかを意識しながら、学習を進めていってもらえればと思います。『算数・数学で何ができるの? 算数と数学の基本がわかる図鑑』(東京書籍)、『なぜ? どうして? 算数のお話』(学研)などがおすすめです。(山田氏)
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フリーランスライター
ライター。子育てが一段落してから教育関係の取材・執筆を本格的に開始。教育専門家に取材したことから得た知見や、国内外の最新研究から得た子育てのコツを盛り込んだ初の著書『子育てベスト100』は現在16 万部のベストセラーに。1男1女の母。
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(フリーランスライター 加藤 紀子)
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