「子供の勉強と大人の勉強の根本的違い」コツは企業の戦略立案と同じ
プレジデントオンライン / 2021年5月7日 9時15分
※本稿は原マサヒコ『世界一やさしい超勉強法101』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■2種類のアウトプットで学習しよう
何らかの試験勉強をする場合、インプットをしたらすぐにアウトプットすることが重要です。覚えた知識は、実際に問題を解いて書き出すことができなければ意味がありません。そのためにも、どんどん問題を解いていく必要があります。
では、試験勉強をする際にはどんな問題をどんな順番で進めていけばよいのでしょうか。TV「東大王」にも出演し、東京大学法学部に在学中に司法試験の予備試験にも受かった鈴木光さんの著書『夢を叶えるための勉強法』でオススメされている、2種類のアウトプットをご紹介していきましょう。
まず1つ目は「同じパターンの問題を短期間にたくさん解く」というもの。覚えたての早い段階では、同じパターンの問題を10題、20題と効率の良い解法でまずは解いていくのです。そうすることで変なクセがつきにくく、ムダなく勉強を進められるというわけです。また、インプットをしてすぐにアウトプットすることになるので、知識の定着を深めることもできるといいます。
■土台を固めてから対応力を鍛える
2つ目のアウトプットは、「時間を空けてから違ったパターンの問題をまとめて解く」というものです。今度は少し時間を空けることにより、インプットしたことを長期的に「覚えている」という状態にしやすくなるわけです。
また、違ったパターンの問題も含めてまとめて解くことで、問題のパターンを判別する練習にもなります。同じ問題をまとめて解く1つ目のパターンだけだと、別のパターンが出てきたときに対応できなくなってしまうので、そこを強化する意味にもなるわけですね。そしてこの1つ目と2つ目の2種類を組み合わせて実践することで、覚えた知識や対応策が身についていくのです。
ちなみに、この2種類は1つ目をやってから2つ目をやる、という順番で対応すべきだと鈴木光さんはいいます。まずは同じパターンの問題を短期間にたくさん解いて土台を固める、という感じにするわけですね。ぜひこの2種類のアウトプットを繰り返して、短時間で効率よく知識の定着を深めていきましょう。
■意志力の個人差には血糖値が関係?
勉強をして自身を伸ばしていくうえで大事な力として、「意志力」があります。新しい勉強を始めるときにも強い意志が必要ですし、継続していくにも意志が必要です。ただ、その意志力を維持するのは個人差があるのではないでしょうか。
健康心理学者で知られるケリー・マクゴニガルさんのベストセラー、『スタンフォードの自分を変える教室』によれば、この個人差にはどうも血糖値が関係しているようです。
勉強をしていると疲れてきて、もうこれ以上続けるのがしんどい、ということもあります。「疲れた時には甘いもの」と、よくいいますが、実際にエネルギーが不足した時には甘いものが欲しくなり、食べると血糖値が一時的に上昇してスッキリします。ただ、血糖値が急激に上がったり下がったりするのは体のことを考えるとあまりよくないようです。ですから、勉強中もあまり血糖値が下がらないように一定に保つのが理想的なのです。
■自制心を要する小さな目標を達成していく
では血糖値を一定に保つためにはどういったものを摂るべきなのでしょうか。
たとえば、脂肪分の少ないたんぱく質は持久性のあるエネルギーを体に与えてくれます。具体的な食材としては、ナッツ類、豆類など。さらに、果物や野菜のなかでも低糖質のものがおススメです。試験に勝つためにゲン担ぎで「かつ丼」を毎日食べたりすると逆効果になってしまいます。低糖質食を朝食やおやつに摂ると、意志力の低下を防ぐことができるといいますからぜひ取り入れてみましょう。
さらに、意志力の低下を抑えるには、「自分が決めた目標を、自分が決めた期限内に達成する」ことも良いようです。自制心を要する小さなことを継続して行っていくと、「自分をコントロールする力」が鍛えられるというわけですね。ある同様の意志力トレーニングプログラムでは、参加した人の食生活が健康的になっていったり、運動量が増えたり、タバコやアルコールの摂取量が減ったりと、明らかに行動が変わっていったようです。
低糖質食を摂りながら、小さな目標を達成していくことを繰り返して、意志力を鍛えて勉強を加速させていきましょう。
■大人の勉強は「結果を出すことがすべて」
意志力を鍛えて結果を出すのに、年齢は関係ありません。48歳から勉強を始めて50歳で司法試験に合格、54歳にして弁護士として独立し、55歳で名古屋商科大学教授に就任したのが『45歳から5億円を稼ぐ勉強法』の著者でもある植田統さんです。人生100年時代といわれる昨今、“45歳”というのはまだ折り返し地点にも満たないわけですから、そこからさらに勉強を重ねていけば、知的刺激に満ちた実りある生活を実現できると植田さんはいいます。
では具体的にどのような勉強をすればよいのかというと大事なのは「結果から考える」こと。子どもがやる「社会に出るための勉強」と違って、大人の勉強は結果を出すことが全てです。ですから、どこまでも結果にこだわるべきだ、といいます。そして、結果を出すために、どういう勉強法が正しいのかを考えていくべきなのです。
■結果から逆算して「勉強戦略」を立てる
結果から考えるというのは、たとえば何かの試験に合格したければ、まず試験問題を見てその傾向と対策を考えます。ところが、多くの人は「勉強」と聞くと、教科書の最初から開いて基礎の部分からやろうとしてしまうのです。そうすると、時間がかかりすぎてしまい、試験を受けるところにたどり着くまでに挫折しやすくなってしまうわけです。結果を出すことが重要なのですから、最短距離で結果に到達できる「勉強戦略」を考えないといけません。
これは、企業の戦略立案と同じで、まずは外部環境を分析していきます。資格試験があるなら、その試験制度がどう変わっていくのか。どんな能力がテストされているかを調べていくのです。次に、競合環境を調べます。同じ目標を持って勉強する人はどれほどいて、彼らはどのくらい勉強しているのか、レベルはどれぐらい高いのか。そして、自己分析です。自分の強みや弱みを客観的にみながら自分のポジションを理解します。
こうして外部環境、競合環境、自分の強み・弱みの検討を踏まえて、勉強戦略を立てていくのが「大人の勉強法」であり、短時間で伸びる人の特徴でもあるのです。
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プラスドライブ代表取締役
1996年、神奈川トヨタ自動車に現場メカニックとして入社。5000台もの自動車修理に携わりながら、トヨタの現場独自のカイゼン手法やPDCAサイクルをたたき込まれる。現在はWEBマーケティング会社を設立し、クライアント先の現場にてWEBカイゼンやPDCA施策の推進を図りながら“やりきる力”を発揮している。著者に『どんな仕事でも必ず成果が出せるトヨタの自分で考える力』『Action! トヨタの現場の「やりきる力」』などがある。
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(プラスドライブ代表取締役 原 マサヒコ)
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