「もやし料理、禁煙、禁酒、小遣い削減は逆効果」節約のプロが絶対に勧めない節約術
プレジデントオンライン / 2021年5月12日 11時15分
※本稿は、飯村久美『お金の先生! できるだけ簡単にお金が増える方法を教えてください。』(アスコム)の一部を再編集したものです。
■家計簿はつけなくていい
節約の必須アイテムといえば、家計簿でしょう。しかし、
○つけるのがストレスになる
○つけてもそんなに見ない
○見ても反省しない
このうち1つでも当てはまれば、家計簿向きの人ではありません。
家計簿に向かない理由は3つあります。
1つめは、なんだかんだいって家計簿をつけるのは面倒だからです。「あぁ、家計簿つけなくちゃ」「またつけ忘れちゃった」と、嫌々やっているのはとても窮屈です。2、3日に1回つけている人はまだしも、ひどいと、2カ月分のレシートを引っ張りだして、ヒーヒーいいながらつけている、なんて人もいるのです。
それに、「こんなにがんばってつけてるんだから」と言い訳して“自分にごほうび”なんてやっていたら、なんのためにつけているのかわかりません。
2つめは、毎日欠かさずつけてはいても、「自分はちゃんとやっている」という事実に満足して終わってしまっているためです。
こういう人は見返すことがないので、家計簿をつけている意味がないといっていいでしょう。なぜなら、家計簿は、つけたあとが肝心だからです。前月、前々月、昨年同月と比べて、出費が増えているところはないか、着実に貯金できているか、といったことをくまなく見ていくことで、お金の流れを把握したり、対策を立てたりするものだからです。
3つめは、2つめに似ています。つけた家計簿を見ても、「ふーん」とただ見ただけで、生かそうとしていないためです。せっかくつけたのですから、家計の問題を解決するためには行動に移さないと、家計は改善しません。
■小遣いは減らさないほうがいい
この3つのいずれかに該当する人に、私は「無理して家計簿をつけなくていいですよ」とお話します。なぜなら、お金を貯める簡単な方法があるからです。それを実践すれば、ストレスになるとわかっている家計簿をつけなくても、誰でもお金が増えていきます。
私は相談者に「小遣いは減らさないように」「できるだけ趣味はやめないでください」といっているのですが、その際、まず小遣いの金額を決めます。
たとえば、手取り収入20万円で貯金2万円、残りが生活費と小遣いで、それぞれ15万円と3万円とします。要は小遣いを3万円以内に収められるなら、なにに使ってもOKということです。これができれば、家計簿は不要といってもいいでしょう。
家計をしっかり把握したい人は、簡単に入力できて使いやすい家計簿アプリを利用してみてはいかがでしょうか。
初めて家計簿をつける人にオススメなのは、「マネーフォワード ME」。レシート読み取り、銀行やクレジットカードとの連携、電子マネーの利用管理など万能型のアプリです。家族間で家計簿を共有したい人向けなのは「家計簿Zaim」、レシート読み取り機能が優れている「レシーピ!」は操作がとてもシンプルです。
■節約のために食費を減らしてはいけない
家計の中で真っ先に削減しやすいのが、食費です。
ですが、私は最も削ってはいけないものが、食費だと思っています。朝、昼、晩、おやつなども含めると、それぞれ少しずつ切りつめることで、お金を捻出できる感じがします。しかし、切りつめようとするあまり、必要なものまでカットしてしまうと、家族の幸せに悪影響を及ぼすのです。
ある女性は、「一食100円生活」をしている主婦ブロガーの記事に影響されて、食費を毎月1万円でやりくりしようと決意しました。単純計算で、1日で330円ほどの食費になります。もちろん、すべて自炊です。その結果、彼女の家の食卓は「真っ白」になってしまったといいます。
どういうことかというと、すべての料理を豆腐、モヤシ、白菜、ごはん……といった安い食材で構成せざるをえなくなったのです。そのため、家族はそんな食事にうんざりして、高校生の息子は外で買い食いをするようになったといいます。
これと同じことは、昨今のサラリーマンやOLにも当てはまります。たまに、お昼時のオフィス街のコンビニに立ち寄ることがあります。私が驚いたのが、多くの人がおにぎりとサラダだけ、パンとヨーグルトだけですませていることです。
もちろん、小食の人ならそれでもかまいません。問題なのは、お金のために無理して食事を減らしている人です。一見、節約にもダイエットにもなりそうですが、こういう人に限って、お菓子などの間食をしています。
あるときそれが、ガマンの限界を超えて一気にリバウンドするほど食べてしまうことがあるのです。無理をすると、お金にも、なにより体にも悪いのです。
■お金が貯まる人は3食きっちり食べている
食事の量や回数を減らしている人は、無意識にその穴埋めをどこかでしようとしています。その結果、栄養バランスの偏ったお菓子などでムダな間食をし、体調を崩すことになるのです。
その解決法は、3食しっかり食べることです。そうすることで、必要な栄養がきちんと取れて間食もなくなり、心も満たされます。ですので、3食しっかり食べましょう。
だからといって、食べすぎては本末転倒です。つい食べすぎてしまうという人は、ふだんは3食にして、ときには週末だけ2食にするのはどうでしょう。胃を休める意味だけでなく、お金を貯める意味でもとてもいいことだと思います。
なぜなら、こんなことをいっている人がいるからです。
「食を慎む人が、財をなす」
これは江戸時代に活躍した、観相家・水野南北の言葉です。
顔のつくりがよくないのに、なぜか財運がある人がいました。それに疑問を感じた南北が調べた結果、そういう人たちは「食を慎んでいた」のです。
腹八分目にして食べすぎないことで、お金が舞い込む。これは、あながち迷信ではないかもしれません。
■ギャンブルやタバコはやめなくていい
お金を貯める際、食費を削ることと同様、私が最もやってはいけないとお伝えするのが、「小遣いを減らす」ことです。
小遣いを減らさないためには、どうしたらいいのでしょうか。家計簿のところでお話しましたが、小遣いを定額制にすることです。手取り収入20万円なら貯金2万円、残りが生活費と小遣いで、それぞれ15万円と3万円にする。
ストレス社会で働くお父さんのほとんどは、ランチ、タバコ、コーヒー、お酒などが楽しめないと生きていけないでしょう。コロナ禍の家計の変化(2019年、2020年の比較)を見ても酒類(家庭消費)は16%、タバコは12%上昇していました。旅行もガマンし、溜まっていくストレスをお酒やタバコで発散させているのかもしれません。
そこを削ってしまうのは、ガソリンが給油されない車のようなものです。趣味だって同じ。だから、私は、ギャンブルも無理にやめることはないと思うようになりました。ただ、あくまでも、すべて予算の範囲内にきっちり収めることが大前提です。好き勝手やるあまり、生活費にまで手をつけるというのは問題外です。
では、従来の節約法だと、必ずやめるようにといわれる「ギャンブル」や「タバコ」をなぜ否定しないのか。それは、お金を貯めるのはマラソンと同じだからです。いきなり全力疾走で、なんでもかんでもやめてしまうとすぐに根をあげて棄権してしまいます。
ですから、「できるところからやる」「楽なことからやる」ことをオススメします。家族に禁止されているパチンコに内緒で1日何万も浪費するくらいなら、家族公認で小遣いの中から堂々と楽しむほうがずっと健全だからです。
しかし、お金がだんだん貯まってくると、自分にとってなにがほんとうに大切なことかがはっきりしてきます。そうなると、ストレスにまかせてダラダラと使っていたような浪費もなくなって、好循環でお金が貯まっていくのです。
■見過ごしやすい「専業主婦の小遣い」
専業主婦の相談者で、「私、小遣いなんてないんですよ」という人がけっこういます。でも、よくよく話を聞いてみると、毎月のように美容院に行ったり、友達とランチをしたりと、ダンナさん以上に使っている印象の人もなかにはいます。
そのお金はどこから出ているのでしょうか。生活費からなんですね。
また、独身の会社員は自由に使えるお金がたくさんあるので、小遣いの枠を決めていない人がたくさんいます。でも、お金を貯めたいのなら、まずは小遣いを月いくらまでと決めて、その範囲内でやりくりしてみてください。
月に10万円は好きなことに使っていたという人は、まず小遣いを4万円までと設定します。最初はちょっとつらいかもしれません。ここでのポイントは、給料が下がっても、小遣いは4万円以下に下げないようにすることです。
さらに、1カ月後に4万円以内に収められたら、残った分は翌月の小遣いにくりこししていいことにするのです。
このようにゲーム感覚で楽しめれば確実に貯まります。
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FP事務所アイプランニング代表。日本FP協会認定ファイナンシャル・プランナー。学習院大学卒業後、安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)に入社。在籍中にファイナンシャル・プランナー(FP)資格を取得。2006年FP事務所を開業。これまで手がけた家計相談は1000世帯を超え、テレビやラジオ出演、セミナー講師としても活動中。著書に『子どもを持ったら知っておきたいお金の話』(KADOKAWA/中経出版)、『シングル女子の今日からはじめる貯蓄術』(成美堂出版)。監修に『一生お金に困らない! 貯め方・増やし方』(ナツメ社)がある。
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(ファイナンシャルプランナー 飯村 久美)
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