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昭和・平成のテッパン「強み」で競争するスタイルが通用しなくなった根本原因

プレジデントオンライン / 2021年5月16日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ImagineGolf

会社経営のかたわら、生き方やお金などの本質をあぶり出す著作を世に送り出してきた山口揚平氏。令和のクリエーションの時代は、自分の中の「強み(ストレングス)」ではなく「天才性(ジーニアス)」を見出す時代へ大きく変化すると指摘する。「誰もが自分だけの才能を生かす方法がある」と、これまで3000人の人生を変えてきた「超自己発見メソッド:ジーニアスファインダー」を初の書籍化。同書からそのエッセンスを3回に分けて公開する──。(第2回/全3回)

※本稿は、山口揚平『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■今こそ天才性を見つけよう

今は、みずからの「天才性に忠実に生きる人生」をあらためてスタートするとてもよいチャンスだと思います。

まず、大きく社会が変化するそのちょうど“うねり”の中にいるからです。さらに、時代のパラダイムがオペレーション(操業)中心から、個性(天才性)を必要とするクリエーション(創造)中心へと大きくシフトしたためです。

このような大きな社会変化の中では、じっくりと腰を据(す)えて自分の本質に立ち戻り、自分独自の幸せな生き方を模索するのがよいでしょう。

■私たちは大きな変革の“うねり”の中にいる

大局的に見ると、これから2025年までの5年間は大きな混乱と変革の時代になると私は思います。社会のシステムも、中心となる産業も変わらざるを得ないでしょう。それは周期的なものであり、必然なのです。

そして、私は大きな変革のうねりの中では下手に動かずじっと次の時代に向けて準備をするべきだと思います。

2025年から振り返ることちょうど80年前、私たちは敗戦を迎え、焼け野原の中、ゼロから新しい産業(建設業・自動車を中心とした輸出産業、国内の新聞やテレビメディアや小売業)や社会のインフラ(国民皆保険・上下水道・教育制度など)を作ってきました。それらがピークを迎え、じわじわと衰退してきたのが1990年代、そして2000年代は長期低迷期、2010年からはなんとかこの古くなった産業や社会インフラを延命させてきました。

積み上がる借金、増え続ける社会保障費など、新型コロナウイルスが流行する前から、この国は産業も社会も人々も疲弊していました。

なんとかオリンピックまで臭いものには蓋(ふた)をするという体制で動いていましたが、オリンピックが開かれたとしても、その後には膿(うみ)が噴出するだけのように思います。

敗戦のそのまたちょうど80年前は、明治維新の時期に当たります。それまでの幕藩体制が一新され和魂洋才・富国強兵をコンセプトに欧米の進歩的な制度を取り入れつつ、繊維産業や鉄鋼業が栄えたのです。そのさらに80年前も江戸の大きな改革が起こりました。

80年を確実な周期というのは大げさですが、歴史的に振り返ってみても、大局的・長期的な視点に立つと今が変革期にあると納得できそうです。

この大きなうねりを私たち一人ひとりが乗り越えるためには準備が必要です。その準備がまさに私たち個人の天才性を軸とした新しい生き方なのです。

■昭和・平成・令和のパラダイムシフト

天才性に忠実に生きることが有効なもう1つの理由があります。それは、時代のパラダイムが変わったことです。

時代を追ってみていくと、年号ごとにパラダイムが大きく変わっています。

仕事や産業面についていえば、建設業や重厚長大産業を中心とした昭和は「コンストラクション(製造)」の時代、本社のホワイトカラー層を中心に組織で動いていた平成は「オペレーション(操業)」の時代、そして令和は「クリエーション(創造)」の時代になると私は考えています。

仕事のほとんどがコンストラクションの時代であった昭和は、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」やテレビドラマ「サラリーマン金太郎」に象徴されるように、どんどん上に向かってモノを作っていく2次元の時代です。

次の平成の30年間は、オペレーションの時代。トヨタの「カイゼン」がすごい、新幹線はすごい、時間に正確で、地震でも止まらないぞというオペレーションを極めた時代になりました。この時代の産業の中心軸はインターネットです。空間を超える技術が普及し圧倒的にボーダレスになりました。

昭和のコンストラクション(製造)、平成のオペレーション(操業)を経て、令和になったこれから、いよいよ本格的なクリエーション(創造)中心の時代に入るでしょう。

クリエーション(創造)やその前提となるイノベーション(革新)が起こるには、異質の交流が前提になります。つまり、異なるバックグラウンドや才能がぶつかり合ってその化学反応で新しいものが生まれるのです。

資本力が必要であったコンストラクションや、組織力が重要であったオペレーション(操業)と異なり、これからの時代は、個人の異なった天才性が発掘され、明確になっていなければなりません。ますます、あなた独自の天才性が問われる時代になってきているのです。

■クリエーションの時代は空間から時間へ

それだけではありません。平成から令和へのパラダイムシフトは、私たちの仕事スタイルから価値観、生活まで大きな影響を与えました。それは空間から時間への軸の変化です。

平成の時代の中心であったインターネットが牽引した距離を問わないコミュニケーションは、コロナ・ショックによる完全遠隔業務でとどめをさされました。世界からすっかり距離が消えたのです。今の時代、もう空間(距離)は問題ではありません。

海外に住む知人とコストをかけずにzoomでビデオ通話ができるようになり、zoomの音声版ともいえる声だけのSNS「Clubhouse」を通して世界中の人が場所を問わずにそれぞれが好きなテーマで議論しています。

すると退屈なオペレーション(操業)の仕事を安定・高給だからと割り切って続けるよりも、手触り感のある、自分にとってストレスなくリラックスして楽しめる仕事や拠点を選んで、それに合わせて生活を変えたほうが人生の時間が豊かなのではないか、と考える人も増えるでしょう。都市から地域へと拠点を変えることで生活のコストもぐんと下がります。

ビジネスウーマンウォーキングと未来的な都市VRワイヤーフレーム
写真=iStock.com/gremlin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gremlin

これからさらに、せっかくの人生の時間を自分の好きな趣味や天才性に基づいたライフワークに捧げたいと考える人が増えるのではないでしょうか?

密度の高い時間は身近で親密な人と過ごすことの大切さともつながっています。人間とは、人と人の間、と書くように、私たちの幸せは人との関係の中にしかありません。私たち一人ひとりが一緒に過ごしたい人を厳密に選ぶように、一緒に居たいと思われる人に私たち一人ひとりが変わっていく必要があるのも、クリエーションの時代の特徴です。

■「強み(ストレングス)」から「天才性(ジーニアス)」へ

「昭和」「平成」を過ごした方の中には、自然と「コモディティ(汎用品)」として生きることを強いられてきているケースもあるかもしれません。

私たちとかかわった方の中には、ずっと周囲に合わせながら、一流大学に入学し一流企業に入ったものの、その期待に応えるのが苦しくなり、途中で退職された人もいます。

私もそうでした。ずっと社会に適合して生きてきましたが、30歳を境に社会適合という「強迫観念」から放たれ、やっぱり自ら何かを創りたいという動機が生じました。やっと自分の天才性に基づいて無理せずリラックスして生きていこうと思いはじめるようになったのです。

令和になってからは、そうした動きが加速してきているように思われます。

『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』27ページより
『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』27ページより

産業が成長し成熟していた昭和・平成の時代では、自分の他人に対しての相対的な「強み」を軸に、有望な職場を探すことが有効でした。しかし大きな変革の中で、次の産業や社会を新しく産み出していかなければならないのであれば、他人と競争するのではなく、他の誰とも被らない個人の天才性を軸にしなければなりません

■「職業選択」から「仕事創造」へ

これからは、職場を探すのではなく、仕事を創る姿勢が必要なのです。「職業選択」から「仕事創造」へと考え方を変えていかなければなりません。

山口揚平『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』(SBクリエイティブ)
山口揚平『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』(SBクリエイティブ)

かつては、自分の強みを見つけることが流行(はや)っていたことがあります。相対的な自分の強みを見つけ、他者と競い合える力を伸ばし適材適所を追求するものです。

しかし、この時代に必要なのは、「ストレングス」(強み)ではなく、「ジーニアス」(天才性)を見つける「ジーニアスファインダー」だと考えます。

選択するのでなく創造する、その考えのもとでは、他の人と競い合う必要はありません。

そういう時代がもう始まっています。

*ジーニアスファインダーは、ブルー・マーリン・パートナーズの登録商標です。

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山口 揚平(やまぐち・ようへい)
事業家・思想家
早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院修士(社会情報学修士)。専門は、貨幣論、情報化社会論。1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと30歳で独立・起業。劇団経営、海外ビジネス研修プログラミング事業をはじめとする複数の事業、会社を経営するかたわら、執筆・講演活動を行っている。

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(事業家・思想家 山口 揚平)

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