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「従軍慰安婦」というフェイク用語をばら撒いた朝日新聞の罪は重い

プレジデントオンライン / 2021年5月12日 11時15分

朝日新聞社の従軍慰安婦報道に関する第三者委員会の報告を受け、記者会見し頭を下げる渡辺雅隆社長(右)ら=2014年12月26日、東京都港区 - 写真=時事通信フォト

■「従軍」の有無は、慰安婦問題の重要なポイント

慰安婦問題をめぐり、政府は4月27日、「従軍慰安婦」という用語は誤解を招くおそれがあるとして、政府としては「慰安婦」を用いる、との答弁書を閣議決定した。

答弁書は日本維新の会の馬場伸幸幹事長の質問主意書に答えたものだった。馬場幹事長は、「従軍慰安婦」という用語は、軍により強制連行されたかのようなイメージが染みついており、政府が「従軍慰安婦」という表現を用いるのは不適切としていた。

閣議決定を受け、「従軍慰安婦」という表現を使った教科書が検定に合格していることについて、萩生田光一文部科学相は「教科書会社において、政府の統一的見解を踏まえて、訂正を検討することになる」と述べた。

日本と韓国との間の壁を高くする慰安婦問題において、従軍の有無、つまり強制連行の有無は重要なポイントになっている。

■「従軍」を裏付ける資料や証言は存在しない

事実として、これまで強制連行を裏付ける確かな資料や証言は見つかっていない。

韓国の反日勢力は「日本は半島の女性を性の奴隷にしてきた」と主張するが、これはいわゆる反日種族主義にすぎない。文在寅大統領も2015年の日韓合意を否定することで、慰安婦問題を政権維持に利用してきた。

そもそも慰安婦問題は1990年代に「旧日本軍が強制連行していた」との非難が巻き起こったことで、こじれてしまった。その「証言」を最初に掲載したのが朝日新聞(1991年8月11日付、大阪本社発行)だった。

見出しは「思い出すと今も涙 元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀 重い口開く」「韓国の団体聞き取り」。女子挺身隊の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦の1人が初めて証言したという内容だ。

この「証言」は虚偽だった。朝日新聞は2014年にこの記事を含めた従軍慰安婦報道の間違いを認め、記事を取り消している。

1993年8月、慰安婦問題の調査結果を発表した河野洋平官房長官は、「いわゆる従軍慰安婦問題」との表現を使った談話を発表している。菅義偉首相は参院予算委員会で、河野談話について「全体として継承している。見直すことは考えていない」とした。本来であれば、河野談話からも「従軍」を削除すべきだと、沙鴎一歩は考える。

■「根拠なく『従軍』を冠した戦後の造語がまかり通っていた」

4月30日付の産経新聞と5月1日付の読売新聞が今回の答弁書の閣議決定を社説に取り上げている。

産経社説の見出しは「『従軍慰安婦』不可 教科書の記述是正を急げ」で、冒頭部分から「根拠なく『従軍』を冠した戦後の造語がまかり通っていたことが問題である。教科書にも使われており、早急な是正を求めたい」「閣議決定の意味を重く受け止めるべきだ」と主張する。

「戦後の造語」でそれが教育の現場で使われていること自体、問題なのである。

産経社説は朝日新聞の誤報と訂正にも容赦なく言及する。

「答弁書では、朝日新聞が、慰安婦狩りをしたなどとする吉田清治氏の虚偽の証言に基づく報道を取り消した経緯に触れ、『従軍慰安婦』は『誤解を招くおそれがある』とした」

吉田氏(故人)の嘘の証言を掲載したことによって慰安婦問題がこじれ、日本と韓国の関係を悪化させた。朝日新聞にはその責任がある。

慰安婦像
写真=iStock.com/Aleksandr_Vorobev
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Aleksandr_Vorobev

■「強制連行された『性奴隷』などという嘘が世界に広まった」

産経社説は河野談話をこう取り上げる。

「(答弁書は)河野談話での使用について『当時は広く社会一般に用いられている状況にあった』と言い訳しているが、事実を無視した用語にすぎない。これを放置してきたことで、強制連行された『性奴隷』などという嘘が世界に広まった」

同感だ。「言い訳」であり、従軍慰安婦という表記は「事実を無視した用語」である。嘘を世界中に広めた河野談話の責任は重い。

産経社説は「政府は、河野談話を継承するとしている。だが、同談話は、慰安婦の強制連行などを裏付ける証拠のないまま、韓国側に配慮した作文であることが分かっている。談話によって日本の名誉が著しく傷つけられてきた。教科書などへの影響もいまだに続く」と指摘し、最後に「やはり、この談話は撤回が必要である」と主張する。

河野談話が教科書に与えた影響も甚大だ。産経社説はこう指摘している。

「『従軍慰安婦』は河野談話を契機に、9年(1997)度から使用の中学教科書に一斉に登場した。偏向した歴史教科書への批判を受けて一時は消えたが、今春から使用されている中学教科書で復活した。先に検定結果が公表された高校教科書でも使われているが、不適切な表現が検定をパスしていたことにあきれる。当然、修正が必要だ」

沙鴎一歩も教科書の修正を求めたい。早期の訂正が必要だ。間違いを日本の将来を背負う若者たちに教えてはならないからである。

■「強制連行があったかのような誤解を招きやすい」

読売社説は「慰安婦表記『従軍』の使用は避けるべきだ」との見出しを掲げ、「『従軍慰安婦』という言葉は、強制連行があったかのような誤解を招きやすい。教科書などで使うことは不適当であり、不使用を徹底したい」と書き出し、こう指摘する。

「今回、政府が答弁書で、『単に〈慰安婦〉という用語を用いることが適切である』との統一見解を示したことは当然である」

私たち国民も「従軍慰安婦」と「慰安婦」の違いについて区別する意識を持ちたい。それが慰安婦問題で一方的に日本を攻撃し、慰安婦像の設置によって強制連行を世界各国に広めようとする韓国の反日運動家を牽制することにつながるからである。

読売社説は指摘する。

「慰安婦の強制連行があったと報じてきた朝日新聞は2014年、吉田氏の証言を虚偽だと認め、過去の記事を取り消した」

朝日新聞の慰安婦報道の過ちは産経社説のみならず、読売社説も言及している。産経社説や読売社説の言及に対し、朝日新聞はどう応じる気なのか。これは社説で正面から取り上げるべきだろう。

■河野談話は「問題を複雑にしたと言わざるを得ない」

最近は新聞の社説が互いに論評や反論をすることがない。本来、社説同士のやりとりは、刺激が多く、社説を読む醍醐味だった。各社は読者の期待に応える努力を怠らないでほしい。

読売社説は河野談話について「問題を複雑にしたと言わざるを得ない」と指摘したうえで、こう解説する。

「政府は、戦時中にアジア各国で多くの女性が慰安婦となり、名誉と尊厳を傷つけられたことに対し、おわびと反省を繰り返し表明している。韓国とは政府間の合意に基づき10億円を拠出するなど、問題に真摯に向き合ってきた」

韓国の文在寅大統領は「おわびと反省」の日本の対応を弱腰だと判断したのか、逆手に取るように反日感情を煽ってきた。歪んだ文在寅氏の外交は慰安婦問題ばかりか、徴用工問題にも火をつけた。

沙鴎一歩はそんな文在寅氏に対し、日本に謝罪し、来年5月の任期満了を待たずに大統領の職を辞すべきだと主張してきた。その思いはまったく変わらない。いや変わらないどころか、日増しに増すばかりである。

■ウソは明確に否定しなければ、国際社会は理解しない

読売社説は後半でこうも書く。

「政府は近年、河野談話を含め、軍による組織的な強制連行はなかったとする立場を明確にし、国際社会への正しい歴史認識の浸透を図っている。教科書での『従軍慰安婦』の使用は、こうした取り組みを損ねるものだ」

欧米を中心とする国際社会に日本の正しさを理解してもらうことが大切だ。これまで日本は敗戦国の立場上、慰安婦問題などの歴史問題についてストレートに主張することを避けてきたところがある。それが美徳だとの思考もあった。

だが、近年それが誤りであることが明らかになってきた。ノーと言うべきところは明確に否定しなければ、国際社会は理解してくれない。

ましてや慰安婦問題に関しては「国連の委員会では過去に、慰安婦を『日本軍による性奴隷』と決めつける報告書が出されている。慰安婦を象徴する少女像の設置といった韓国系市民団体による反日活動も続いている」(読売社説)。

読売社説は最後にこう主張する。

「事実に基づかない批判をこれ以上拡散させぬよう、政府は対外発信を強化しなければなるまい」

いまの日本政府には、この強い「対外発信」が欠けている。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)

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