周囲から「考えが浅い」「表面的」と思われがちな人に共通する"ある習慣"
プレジデントオンライン / 2021年5月21日 11時15分
※本稿は、赤羽雄二『瞬時に切り返す会話術』(MdN新書)の一部を再編集したものです。
■考えが浅い人は表面的な現象しか見ない
考えが浅い人というのは、文字どおり、「物事を深く考え、表面的ではなく、的確にとらえる」ことができていない状況です。
営業の仕事を担当している人の場合を考えてみましょう。
普段から物事を浅くしか考えない人は、自社の製品が伸び悩んでいるのは、「競合が新商品を出してきたからだ」とか、「製品価格が高いからだ」、あるいは「営業の人数が少ないからだ」と表面的な理由、ありきたりな理由を挙げるだけで止まってしまいます。
本当の原因はどこにあるのか、考えることをせず、表面的な現象だけを見て、そこでおしまいにしている状況です。
それでも100パーセント間違いということにはならないかも知れませんが、浅くしか考えていないので、思いつきベースだったり、誰かに聞いたことをそのままオウム返しするだけになりがちです。
上辺でしか考えていないため、ちょっと突っ込んだ質問をされると、どう答えたらいいかわからなくなってしまうのです。
■考えが浅いと何かと突っ込まれやすくなるという悪循環
また、少し違う視点や角度から質問されると、そうした方向から考えてみたことがないため、もう何がなんだかわからなくなります。
これでは、頭がぐるぐる混乱して、わけがわからなくなってしまうことが、ほとんどではないでしょうか。
また、一度でもそういうことがあると、「あの人は、あまり考えずに発言したり、行動している」と認識されてしまい、「あの人は、いい加減だ」と次々に突っ込んだ質問をされることになります。
そして、上司や先輩から、場合によっては部下や後輩からも追及されることになってしまうのです。
考えが浅いと何かと突っ込まれやすく、また突っ込まれたら最後、立ち往生してしまいがちです。
それをごまかすために、逆上したり、怒鳴り散らしたり、ぜんぜん関係のない人を攻撃したりする人もいます。それでは、ますます信頼を失うことになりますし、周りの空気も悪くなりますから逆効果です。
「考えが浅い」というのは、どこかで聞いた話を鵜呑みにして、あまり問題意識を持たないことです。表面的な現象や、状況を吟味せずに信じ込んでしまったりします。本当かどうかを確認すらしないのではないでしょうか。
ですから新聞、雑誌、ブログなどに書いてあることをそのまま信じてしまいがちです。テレビのニュースやバラエティーショーで有名人が言っていることをそのまま事実であると思い込んでしまうことも多くあるでしょう。
本当にそうなのかと考えてみることをしないので、事実の把握が不正確で、当てになりません。頭もまったく整理されていません。
そうした環境のなかにいれば、「考えが浅い」「表面的」と言われても反論のしようもありません。まさにそのとおりだからです。
■思考が表面的に終わってしまう理由
考えが表面的に終わってしまう理由の一つとして、メディアに出ていることをそのまま信じてしまう、ということがあります。
日本人の多くは、メディアで言われていることをすぐに信じてしまいます。テレビや有名新聞社の報道が、まさか嘘を流したり、捏造したりしないだろうと信じているようです。メディアは正確で、間違えることもないだろうと思っている人が多いのです。
メディアからの情報は、すべて誰かが何らかの意図を持って発信しているものですし、ニュース・ソースが片寄っていたり、明らかに間違いであることはいくらでもあるのです。まずは、疑ってかからなければならないのですが、日本人の多くは盲目的に信じてしまいます。
これは世界的に見るとかなり珍しいことで、欧米の人もアジアの人もメディアに関してはかなり批判的に見ると言われています。そもそもメディアは批判的に見る、ということが一般的に浸透しているのです。
■日本人は常に「聞いたまま」で終わってしまいがち
また、日本人がメディアを信じやすい理由として、英語のニュース、記事、本をほとんど読んだり聞いたりしないことも挙げられます。読んだり聞いたりできないというのが真相ですが、その結果、一部の人が翻訳したものだけが使い回されて、何度も何度も取り上げられるという傾向があります。
その意味で海外の情報は極めて片寄っているのですが、日本のメディアとの矛盾、ギャップなどを感じる機会が少ないという不利な背景もあります。
また、他人が言うこと、専門家が言うことなど、自信を持って言われると、そのまま信じてしまう傾向があります。
その意味でも日本人は、お人好しであり、自分の考えを持っていないとも言えます。
そうなると、どうしても考えが浅く、表面的に終わってしまいます。自分で納得するまで掘り下げ、情報収集をし、自分の考えを整理する習慣がないからです。それでは常に聞いたままで終わってしまいます。
■「考えが浅い」と言われないために
「考えが浅い」と言われないためには、常に「なるほど、そうか」と思えるレベルまで考えるようにしておく、ということに尽きます。
そこまで考えておくと、上司や周りの誰かに突っ込まれても、その場で、「それはこういうことです」「ご指摘のとおりですが、こういう理由があるため、今回はこのようにしました」などと、動じずに答えることができるようになります。
このように一度ビシッと答えると、追加の質問が出にくくなります。一から十までを疑われて質問されるということがないわけではありませんが、多くの場合は、一応は相手を信頼しているが多少の確認が必要だから聞いている、ということのほうが多いのです。
したがって、最初に動じずに答えておけば、あとの追及の手がゆるむ、ということになります。これは、質問をする側の心理の問題です。もちろん、最初にしどろもどろになると、次々に質問の矢が飛んで来る、ということにもなります。
自分では、これでいいと思っていたことが、実は浅かったということもよくあります。
したがって、「考えが浅い」「表面的だ」と一度でも言われたことがある人は、試しに、考えたことを事前に第三者に話してみて、「なるほどね!」と言ってもらえるかどうかを確認することをお勧めしています。
そこで、「どうしてそうなの?」「さっぱりわからないけど」「後半で説明が飛んでるよ」と言われるようなことがあれば、その部分を振り返って深掘りしてみます。自分では気づかない部分が必ずあるものなので、そうやって確認することで素早く改善できます。
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ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズを共同創業。著書に『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』(ダイヤモンド社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)、『成長思考』(日本経済新聞出版社)、『アクションリーディング』(SBクリエイティブ)などがある。
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(ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター 赤羽 雄二)
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