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外資系コンサルタントが「今日は3点お伝えします」を口癖にしている本当の理由

プレジデントオンライン / 2021年5月22日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

論理的に話すにはどうすればいいのか。コンサルタントの赤羽雄二さんは「話を詰め込みすぎては、わかりづらくなるだけ。『今日は3点お伝えします』と前置きするのがいい」という――。

※本稿は、赤羽雄二『瞬時に切り返す会話術』(MdN新書)の一部を再編集したものです。

■誰でもわかりやすい話ができる

話をする時に、「論理的」に話そうと意識する人が多いと思います。ところが、「論理的」に話そうとするあまり、緊張し、余計にわかりにくくなってしまうことのほうが多いのです。

思ったとおりに話せばいいのですが、そのように意識すると、自分の発言が、「論理的」ではないのではないかと心配になり、何とか工夫しようとして逆に伝わりにくくなってしまいます。

「うまく伝えられないのではないか」、「言ってもわかってもらえないのではないか」と考えてしまい、プレッシャーもかなり感じることでしょう。

人は誰でも、わかりやすい話ができます。自然に感じたまま、考えたまま話せばまったく問題なく伝わりますし、それが感動的なスピーチになることはいくらでもあります。

「話し方」「スピーチの仕方」的な本が氾濫していることで、逆に、自分はわかりやすい話をすることが苦手だと思う人を大量生産しているのではないかと私は考えています。

もちろん、準備をまったくせず、かついい加減に話せば伝わるはずもありません。言葉が重複したり、感情的な言葉を使い過ぎたり、自己中心的な話に終始したりすれば伝わりませんし、反発も受けます。

自分でも何を伝えたいのかポイントが決まっていないとか、逆にあれもこれもと内容を詰め過ぎたり、自分に有利になるように演出しようとすると、どうしてもわかりにくくなり、その上、微妙な話になってしまうのは言うまでもありません。

■「言いたいことを3つ言う」ことに徹する

本当に伝えたければ、「論理的かどうか」を気にするのは完全に忘れて、「言いたいことを3つ言う」ことに徹したほうがはるかに伝わりやすくなります。

これは、むずかしいことではありません。単に、「今日は3点お伝えしたいと思います」と最初に言って、「第一に~」「第二に~」「第三に~」「以上です。どうもありがとうございました」と簡潔に締めくくるだけです。

これで十分「論理的」に聞こえます。伝えたいメッセージが明確で、それが簡潔に伝えられれば、それが「論理的」というだけのことです。それ以上のものは「こけおどし」だとご理解ください。

「言いたいことを3つ言う」ことに徹するのが効果的な理由は、発言する側も余計なことを考えてあれこれ詰め込まなくなるので発言がわかりやすくなり、聞く側の頭にも内容がすっと入ってくるからです。

あれもこれも言おうとすると話が散漫になります。散漫になると伝わりませんので、意味がありません。「論理的」でわかりやすい話をするには、「言いたいことを3つ言う」だけでよい、ということをぜひ理解しておいてください。

会議室で話し合う日本人男性ビジネスマン
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■理由を追加することでだめ押しをする

「言いたいことを3つ言う」とわかりやすく伝わりやすいと申し上げました。同じようにある案を推す時も、理由を3つ述べると説得力が増します。「なるほど、そうなのか、そこまで言うのなら、きっとそうなんだ」と、相手も思いやすくなります。

たとえ最初の理由だけで十分だと思っても、頑張って2つ目、3つ目の理由を追加するほうが聞く側としては納得感が高まります。

最初の理由だけで十分だと思っているのはこちらだけなので、2つ目、3つ目の理由を追加することでだめ押しをするという感じです。

それをしないと、「まあそうかも知れないけれど、そうでないかも知れないし」とか「説得力はあるけれど、ちょっと一面的かなあ」という、ややへそ曲がり的な反応も引き起こしがちです。そうした反応を防ぐためにも、理由はいつも3つ述べるようにしたほうが良いのです。

■理由を3つ述べた例

例えば、「次回のイベントでは500人以上確実に集客すべきと考えています」という提案の理由として、

「理由は3つあります。第一に、前回の参加者は300人で、完全に赤字運営となりました。これを繰り返すわけにはいきません。今回の企画における費用増を考えると、最低でも400人が必要です。20パーセントの安全を見て、500人以上を集客すべきと考えました。

第二に、前回は単独開催でしたが、今回は東京ビッグサイトでの他のイベントとの共催が可能です。お互いにかなり効果的な集客が可能になります。

第三に、ターゲット参加者の年齢層が下がるので、Twitterキャンペーンが効果的に活用でき、前回よりははるかに容易に集客できます」

と説明すると、多面的に検討したことがよく伝わり、「それなら大丈夫そうだ」という安心感を与えます。いわゆる、「仕事ができる人」というイメージです。それに対して、理由が1つだけだと、人はどうしても何か反論したり、あら探しをしたりしたくなってしまいます。

説明する側から見ると「当然これしかない」と思うので、理由を3つも探すのが面倒だ、という気にもなります。まさにそういう時こそが間違いを起こしやすい状況ということもあり、不遜な態度が垣間見えることもあるので十分な注意が必要です。

■ビジネスの場だけでなく家族との話し合いでも

また家庭などでも、「9月に予定した家族旅行では、なぜ沖縄ではなく北海道に行きたいのか」という時、

「台風シーズンだから北海道のほうが安心だよ。北海道のほうが食べ物がいろいろありそうだし。まだ行ったことがないから一度行ってみようよ」

と言われたら、まあ話を聞いてみようかなという気になってきます。ここでも、「北海道に行ったことがないから行きたい」だけだと、聞いている側は、「でも食べ物はどうなのかなあ。沖縄の料理とか焼酎とかも魅力的なんだけどなあ。それに北海道は、寒くないのかなあ」といった懸念が生まれるので、スッキリしないのです。

「行きたいから行きたい。理由はないけど行きたい」というのは、もちろん論外です。

■理由を2つ考えついたら発言し始める

さて事前に準備している段階では理由を3つ考えておきますが、議論が進めばその場で考える必要も出てきます。

赤羽雄二『瞬時に切り返す会話術』(MdN新書)
赤羽雄二『瞬時に切り返す会話術』(MdN新書)

そうした時は、理由を考える時間がなくても、まずは発言し始めるほうが良いこともあります。そうしないと他の人の発言が続き、なかなか発言できなくなってしまう場合などです。

こういう時は、2つ理由を思いついたら話し始めて、話しながら3つ目を考えます。

これは結構高度なテクニックですが、レベルの高い人の集まりでは、そのくらいしないと発言の機会そのものを失ってしまいます。

海外、特に英語を標準とした世界では、「理由を3つ言う」というレベルは、ほぼ必須になります。説得力がない発言はだんだん疎まれますし、準備に時間をかけていると発言するチャンスがなかなか回ってきません。

ダイナミックな議論のなかで瞬時に反応してYES、NO、そして、その理由を3つ、ビシッと発言するのは、日常的でもあるのです。

「私はこちらの案が良いと思います。理由は3つあります。第一に~、第二に~、第三に~」というような言い方です。

瞬時に考え、他の人ががんがんしゃべり続けている合間をぬって、発言しなければならないのです。

Appleのスティーブ・ジョブズは、会議で発言しない参加者を次回以降出席させないようにしていたそうです。

英語を標準とした多くの世界では、黙っておとなしく座っている日本人の美徳のようなものは、まったく通用しません。発言しなければ、そこにいないのと同然ですし、もっと言えばそういう人が会議に出ていること自体、問題視されるほどです。

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赤羽 雄二(あかば・ゆうじ)
ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター
東京大学工学部を1978年に卒業後、小松製作所で建設現場用ダンプトラックの設計・開発に携わる。1983年よりスタンフォード大学大学院に留学し、機械工学修士、修士上級課程を修了。1986年、マッキンゼーに入社。2002年、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命としてブレークスルーパートナーズを共同創業。著書に『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』(ダイヤモンド社)、『マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング』(宝島社)、『成長思考』(日本経済新聞出版社)、『アクションリーディング』(SBクリエイティブ)などがある。

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(ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター 赤羽 雄二)

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