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GAFA部長が断言「パソコンでアイデア整理をする人は仕事ができない」

プレジデントオンライン / 2021年5月27日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/anyaberkut

あなたはどんな方法で仕事のアイデアを整理しているだろうか。「GAFA部長」として仕事術をメディアで発信している寺澤伸洋さんは「A3のノートに鉛筆を使って思考を整理している」という。その理由とは――。

※本稿は、寺澤伸洋『GAFA部長が教える 自分の強みを引き出す4分割ノート術』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

■私もかつてはアイデアをパワポにまとめていた

あなたは自分の考えをまとめたり整理したりするとき、どのような方法をとっていますか。パソコンですか? それともスマホにメモをしていますか?

僕は20代半ば頃までは、すぐにパソコンに向かうタイプでした。上司に「あのプランはどうなってる?」と訊かれたら、「今の考えをパワーポイントにまとめてみたので送ります!」といった感じで、思考の途中経過をパソコンできれいなアウトプットにまとめて見せるのがいい、と信じ切っていたのです。

ところが僕が経営企画本部に配属になり、本部長に同じことを言った際、「思考過程でパソコンを使ってはいけない」と、次のように指導されたのです。

「お、難しい顔してパソコンに向かってるじゃん。何やってるの?」

「いやー、今パワーポイントで企画書を作成してるんですけど、アイデアが上手くまとまらなくて……」

「ちょっと待って。今の段階でパワーポイントなんか使っちゃだめだよ。思考がそこで止まってしまうからね。思考するときには、まず鉛筆でA3の白紙にまとめなさい。A4ではなくA3だよ。思考の広さ・深さは描いているキャンバスの広さに比例するからね」

「ええ! 鉛筆で手書きですか?」

■A3用紙に鉛筆と消しゴムを使って手書きする

正直、こう言われた当時は、目からウロコでした。社会人は何にでもパソコンを使うべきだという先入観があり、パソコンは紙よりも優れているという思い込みもあったからです。

また、必ず鉛筆を使うのがポイントです。ボールペンで書き間違えたくないからといってA3用紙に書き込むのをためらっていたら本末転倒です。思考のプロセスなんて間違っていると感じたら何度でも書き直していいわけですから、鉛筆と消しゴムを用意して、思う存分好きなように頭の中で考えていることを紙に書き出してみてください。A3手書きで「考えること」はきっと、あなたのキャリアでも大きな強みになるはずです。

この一件でA3用紙に手書きをするようになってから、僕の考え方は大きく変わりました。もちろん今でも僕の思考はまず、A3に鉛筆で手書きからスタートします。まわりの人にもA3手書きをすすめていますが、一度手書きで物を考えるようになった人はみんな、「もういきなりパソコンに向かうなんて考えられない!」と口を揃えて言うほど、アウトプットの質も量もはっきり大きく変わるのです。

■ツールによって思考が制限されたら本末転倒

では、なぜいきなりパソコンに向かってしまうとダメなのか。その思考を実践するなかで僕が感じた理由は2つあります。

ひとつは、パソコンに向かって考えていると、どうしてもプロセスが「思考→操作→描画」となって、思考が分断されるということです。

たとえば円をひとつ描くにしても、手書きの場合は好きな場所にサッと描くだけですが、パワーポイントなどで円を描こうとすると「操作」が必要になります。その操作に気をとられて手間どっているあいだに、思考そのものが収縮してしまうことがあるのです。

鉛筆
写真=iStock.com/mdurinik
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mdurinik

2つめは、思考の途中段階でパワーポイントを使って整えてしまうと、まだ途中段階だとわかっていても完成品のように見えてきて、新たなアイデアを入れにくくなるということです。

この2つめは本当に危険で、まったく思考が広がらなくなります。追加の案が出てきても、再度列を挿入してフォントの大きさや改行場所も含めて表をキレイに整える作業のことを考えると、ついつい新しい案の追加を拒絶してしまいます。

便利だからといって、ツールによって思考を制限してしまうのは本末転倒。パワーポイントなどで自分の案を清書するのは、自分の考えが出そろって整理し終わったあとにすべきです。つまり、パソコンはアイデアをまとめるツールではなく、「アイデアをきれいに清書するためのもの」と覚えておきましょう。

■キーボードを叩いても脳のスイッチは入らない

手書きの効能は、実は脳科学の観点からも立証されています。「手書きで文字を書く」のと「キーボードを打つ」のでは、脳の働きがかなり違うというのです。

ノルウェーのスタヴァンゲル大学とフランスのマルセイユ大学の共同研究では、手書きとタイピングの双方の状態で脳の働きをMRIスキャンした結果、手書きをしている人の脳でのみ、言語処理に関わる「ブローカ野」が活性化することがわかりました。(注1)また東北大学の研究でも、自分の指先を使う手書きが脳の前頭前野を活性化させるのに対して、デジタルツールを使った場合には活性化しないという結果が出ています。(注2)

注(1)Anne Mangen, Jean-Luc Velay.Digitizing literacy:reflections on the haptics of writing. Advances in Haptics,387-402
注(2)川島 隆太、手書きの習慣が前頭前野の「論理力+情緒力」を飛躍的にアップさせる 脳科学が解明!「書く力を磨けば仕事力も上がる」 President 43(20) Oct 17, 2005, p.50~55

ちなみに前頭前野というのは、記憶や学習にも深く関連する部位で、思考や創造性、理性をつかさどっています。簡単に言えば、手書きで文字を書く行為は、タイピングやスマホのフリック操作とは違って、指先を繊細に動かす必要があるので、脳がフル活動しているということです。その分、脳が活発に働くので、記憶にも残りやすくなります。

デジタル入力した内容は、必ずしも我々の脳内で情報処理されるとは限りません。パソコンやスマホで入力したのに覚えていないということは割とよくありますが、手書きで書くと、身体が行為そのものを記憶します。ですから内容を思い出そうとしたときにも、「ああ、あのときこんなふうに書いたはず」という具合に、すんなり記憶を呼び起こすことができるのです。

■「ノート=思考のプロセス」にすれば無駄がなくなる

僕が20代の頃はずっとA3のコピー用紙を使っていたのですが、使い勝手がいい半面、保管性が高くないため、考えがまとまってワードやパワーポイントなどできれいなアウトプットになった後は、いずれ捨てられてしまう運命にありました。

寺澤伸洋『GAFA部長が教える 自分の強みを引き出す4分割ノート術』(世界文化社)
寺澤伸洋『GAFA部長が教える 自分の強みを引き出す4分割ノート術』(世界文化社)

普段はほとんど見返さないものの、何年か経って「あのときはどう考えてたっけ」と振り返りたいときには何も残っていない……。あれだけA3用紙に手書きしてきたにもかかわらず、残念ながら今現在、僕の手元にはその紙が1枚たりとも残っていません。

「これはもったいなさすぎる……」と、思考のプロセスを残すことの価値を改めて感じた僕は、「紙と違ってノートだと、そうそう捨てることもないだろう」と考え、A4判のノート(見開きA3)を使うことにしたのです。

とにかく僕は手書きで自分の頭の中にあることをどんどんノートにアウトプットしていたので、「ノートに書いてあること=その時点での自分の考えのすべて」であり、ノートを見れば、ひと目でその当時の自分の考えに戻れるようになりました。

このようにきちんと思考のプロセスを残しておくことで、毎回ゼロから思い出す必要がなく、それまでの思考の積み上げからスタートできるようになるため、どんなときでも無駄がなくなるのです。

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寺澤 伸洋(てらさわ・のぶひろ)
外資系企業社員
1976年、大阪府生まれ。灘高校、東京大学経済学部を卒業後、日系メーカーで17年間勤務。経理、営業、業務改革、Web企画、マーケティング、経営企画と多様な部門を経験し、半年間のイギリス留学後、GAFAの部長として現職に転職。個人で出版した初の電子書籍が半年で異例の2万ダウンロードを記録。その後も精力的に執筆活動を展開。幅広いメディアで活躍中。

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(外資系企業社員 寺澤 伸洋)

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