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「仕事が遅い」と思われている人が根本的に勘違いしていること

プレジデントオンライン / 2021年5月27日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/littlehenrabi

仕事の効率を上げるにはどうすればいいか。コンサルタントの上岡正明さんは、「コツコツ頑張ることが成果につながる時代はとっくに終わってしまっている。インプットよりアウトプットを優先したほうがいい」とアドバイスする――。

※本稿は、上岡正明『自分のやりたいことを全部最速でかなえるメソッド 高速仕事術』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■仕事は「インプット×アウトプット×改善」の繰り返し

高速仕事術は、インプット(情報収集)とアウトプット(行動)と改善の3タームを、時間差なく同時サイクルで仕事を進めていく働き方です。

こう書くと、よくわからないと思考が止まってしまう人がいますが、何も難しいことはありません。あなたも仕事をする際、必ずインプットとアウトプットと改善を繰り返しているはずです。

例えば、1週間後までに新商品の企画書を作る仕事があったとしましょう。企画書を作るのは、あなたはこれが初めてです。そのときあなたはまず何をするでしょうか? 企画書の前例をチェックしたり、わかりやすい企画書の作り方を本で学んだりと、「インプット」することでしょう。その後、実際に企画書を書くという「アウトプット」をして、上司からの意見を聞いたりしながら、「改善」を重ねていくことになります。

簡単な例を出しましたが、あらゆる仕事は「インプットとアウトプットと改善」をサイクルさせることで前に進んでいくのです。つまり、仕事を高速化させるということは、この三つのタームをできる限り速く、できれば同時に回していくことを意味しています。

仕事が遅いタイプの人にありがちなのは、インプットに必要以上の時間をとってしまうことです。企画書を書くノウハウを調べ出したら、さまざまな人がそれぞれの切り口でノウハウを解説しています。選択肢が増えていくと、どれが自分に適した方法なのか迷いが生じ、結果としてアウトプットにも時間がかかってしまいます。

また、仕事が遅い人は、完璧主義者であることが多く、1回目のアウトプットで100点の出来を目指してしまいます。だから、遅くなっているのです。

■60点でアウトプットし「改善」していく

ただ、すべてのプロセス上に「改善」というタームがあれば、初めは100点を狙うよりも、60点くらいの出来でアウトプットし、上司のアドバイスやさらなるインプットをして100点へとブラッシュアップしていくことができます。一人でウジウジ悩んでいる時間がなくなるため、仕事はあっという間に終わっていくでしょう。

このように「インプット×アウトプット×改善」を高速でサイクルさせる意識を持つことを、私は「IOK高速サイクル」と呼んでいます。あなたがもし、自分の仕事がなかなか終わらないと悩んでいるならば、「IOK高速サイクル」が回っているか、常に意識しておくべきなのです。

■成果を上げるための必須条件「フォーカス力」

私が働くコンサルティング業界は、尋常ではない速さが求められます。顧客のニーズに応えるために、的確な情報収集をし、最適な戦略プランを提示し、それを即座に実行に移さなければなりません。好機を逃がすとその効果を最大化させられないからです。

コンサルティングのプロジェクトは、2、3カ月程度の短期集中型のものが多いため、仕事の遅さは即致命傷となります。顧客からの信用も失ってしまいます。そのため、他業種に比べてもスピード感を求められる仕事といえます。

ダーツが3本センターに命中している
写真=iStock.com/spukkato
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/spukkato

だから「IOK高速サイクル」をマックスで回していかなければならないのですが、そのとき大切なのは、「余計なこと、今やらなくていいことをやらない」ことに尽きます。最も大事なことにフォーカスして、ささいなことは切り捨てる覚悟を持つことが大切です。

例えば、新商品や新規事業をコンサルティングする場合、クライアントから現状の課題や目標をヒアリングし、「誰に」「どのような手法で」「どう伝えるか」の戦略を練っていきます。このとき、テレビやラジオ、新聞や雑誌、ウェブメディアやSNS、イベント開催や記者会見、書籍出版などさまざまな手法が考えられます。

こうした際、新人が陥りがちなのが、ゴールイメージやターゲットを絞り切れず、ノーフォーカスの状態でインプット(情報収集)してしまうことです。加えて完璧主義の人は、あらゆるメディアの情報収集に時間を費やし、悲劇的なタイムロスをしてしまうことになります。

■最短距離でアウトプットにつなげよ

時間は有限です。インプットをすることは安心感につながりますが、時間を浪費するばかりで成果にはつながりません。必要なのは、早めに仮説となるゴールやターゲット層を見極めて、改善しながらトライ&エラーの中で的を絞っていくやり方です。

例えば、「20代女性に向けて売る」と見極めたら、徹底的にSNSマーケティングにフォーカスし、その分野の情報をディープに集めて、最短距離でアウトプットにつなげていくのです。ライバルの追随も許さず、大きな差となってあなたやあなたの会社を支えてくれます。

ひとつのことにフォーカスして、深く掘り下げていくことは、仕事のスピードを速め、成果を上げるための必須条件です。私はこのスキルを「フォーカス力」と呼んでいます。

■ずる賢く「手を抜く」ことは美徳である

フォーカス力を高めるために一番いいのは、当然ですが「経験」です。経験を積んでいけば、昭和的な働き方を続けていても、おのずと重要なものが何なのか見極められるようになっていくでしょう。

上岡正明『自分のやりたいことを全部最速でかなえるメソッド 高速仕事術』(アスコム)
上岡正明『自分のやりたいことを全部最速でかなえるメソッド 高速仕事術』(アスコム)

しかし、現代は令和です。経験を積んで、などと悠長なことを言っていたら、時代から取り残されてしまいます。企業にも人を育てるような体力が残っているのは、一部の大企業くらいなものでしょう。ホリエモンが言っているように、寿司屋で10年も修業して寿司職人になるのはナンセンスとしか言いようがありません。

では、どうすればいいのか? まず、メンタルセットを変えましょう。「真面目にコツコツやる」ことが、必ずしも成果に結びつくわけでないことを自覚しましょう。実際、これまで真面目にコツコツ頑張ってきたあなたは、満足のいく成果を上げられたでしょうか? 残念ながら、コツコツ頑張ることが成果につながる時代はとっくに終わってしまっているのです。

だったら、どう考えるべきか? 「ずる賢(がしこ)く」手を抜くべきところは「手を抜く」ことは美徳と考えましょう。ほかの多くの仕事を切り捨てて、ひとつの仕事にフォーカスすることは、はたから見たら「ずる賢く」「手を抜いている」と思われるかもしれません。しかし、それでいいのです。

3カ月集中して学べば、ベテランになるまでネタを握らせてもらえない寿司屋で10年分の経験を積むのと同じスキルを手に入れられる。そう考えましょう。

■不安だからインプットに走る

では、あなたにとっての寿司職人養成学校はどこにあるのでしょうか。

はい。そんなものはありません。あなたがフォーカス力を高めるためには、とにかくすぐにアウトプットを始めるしかありません。

仕事で成果を上げられない人は、とにかくアウトプットするのが遅すぎなんです。特に新しい仕事にチャレンジするとき、不安でなかなか動けない、という悩みをよく聞きます。たしかに「不慣れな仕事」「難易度の高い仕事」「クリエイティブな仕事」を始めようとすると、自分にはそんなスキルがないのではないかと不安になり、不安を解消するためにインプットばかり繰り返して、なかなか行動を起こせないことがあります。しかし、これこそ、仕事が遅い人が陥りがちな最大のミスです。

なぜかというと、アウトプットしてみないことには本当に重要なことは何なのか、フォーカスすべきポイントが何なのかわからないからです。

■腹をくくって一歩を踏み出す

かくいう私も、経営者という新たな一歩を踏み出す前は、失敗を恐れて、不安になってばかりいました。

「営業の経験がないのに大丈夫だろうか?」
「法人税のことを勉強しておいたほうがいいのか?」
「ある程度顧客のめどが立ってから開業したほうが安全では?」
「そもそもコンサルティングについては門外漢なのに、やりがいがありそうだからというだけの理由で始めても大丈夫か? 会社に就職して修業を積んだほうがいいのでは?」

といった具合です。

しかし、ふと自分のキャリアを振り返ってみたのです。未経験だった私が放送作家になれたのは、すべて積極的にアウトプットを繰り返したおかげでした。その成功体験を信じた私は決意しました。やるのか、やらないのか。「やる」と腹をくくった私は、準備もそこそこに、とにかく起業することに決めました。

■行動すればインプットすべきものが見える

起業してからも、失敗の連続です。でもそれは、インプットしてから始めても同じことです。だったら、誰よりも早く失敗してしまったほうがいいわけです。失敗したりわからないことがあればインプットし、その都度改善していけばいいと判断したのです。

すると不思議なことに、起業前に悩んでいたことは、ほとんどが杞憂(きゆう)でした。そして、起業前にはわからなかった、フォーカスすべきポイントが見えてきたのです。

行動、つまりアウトプットしてみると、必ず何らかの課題にぶつかります。その課題こそ、いの一番にインプットしなければならないことにほかなりません。このことは、どんな仕事にも共通していえることです。自分がフォーカスすべきことがわからない人は、まずはインプットを続ける前に、行動を始めてみてください。

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上岡 正明(かみおか・まさあき)
フロンティアコンサルティング代表
1975年生まれ。放送作家を経て、27歳で戦略PR、ブランド構築、マーケティングのコンサルティング会社を設立し、独立。これまでに大手上場企業など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。多摩大学大学院経営情報学研究科修了(MBA)。著書に『現場のプロが教える 即戦力をつくる広報PRの教科書』(すばる舎)、『死ぬほど読めて忘れない 高速読書』(アスコム)など著書多数。

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(フロンティアコンサルティング代表 上岡 正明)

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