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「太陽も地球も月もマッハで宇宙を移動中」月食を眺めながら子どもに語るうんちく5つ

プレジデントオンライン / 2021年5月26日 13時15分

図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より

5月26日(水)の夜、皆既月食が起きる。天気が良ければ日本全国で観察することができる。天体ファンならずとも見てみたいが、ここで月を含む最新宇宙情報を知っていると子供や友人に自慢できるに違いない。3分で知ったかぶれる宇宙ネタ5を紹介しよう――。

※本稿は、左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる!科学のふしぎ366』(きずな出版)の一部を再編集したものです。

■Q:月はどうやってできたの?

A:月は、地球に火星くらいの惑星が衝突して誕生したと考えられているよ。

【これでわかる! 3つのポイント】

1)月の始まりは大衝突だった⁉

月の誕生にはいろいろな説が考えられているよ。いちばん有力なのは、岩石がドロドロにとけたマグマのかたまりの原始地球に、火星ぐらいの大きさの原始惑星が衝突して、月が誕生したという「ジャイアントインパクト説」だよ。

2)月の石の成分は、地球にそっくり

その衝突で、地球のマグマや衝突した惑星の破片は宇宙空間に飛び散った。飛び散った物質は重力で地球に落ちてきた。しかし、一部は地球のまわりを回りながらお互いに衝突して集まり、月が誕生したんだ。だから月の石の成分は、地球内部の成分によく似ているんだ。

3)月の表面が白っぽいわけ

月の表面の高温のマグマが冷えて固まってきたとき、軽い斜長石などの成分は表面に移動し、重い成分は地下に沈んだよ。月の表面は、白い斜長石を多くふくむので白く見えているんだ。

【おまけ】月のうさぎなどに見みえる模様は、月の火山活動で黒い溶岩が流れてつくった模様。

■Q:月はどうしてかたちが変わるの?

A:球形の月が、太陽の光で照らされながら、地球のまわりを回っているからだよ。

【これでわかる! 3つのポイント】

1)ボールに太陽の光を当ててみよう

野球やサッカーのボールなど、球形のものに太陽の光をあててみよう。つねに半分光っているけど、見る角度を変えると、光っている部分が満ち欠けして見えるよ。球形のものに光があたると、見る角度によって満ち欠けして見えるんだ。

図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より
図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より
左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる!科学のふしぎ366』(きずな出版)
左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる!科学のふしぎ366』(きずな出版)

2)月は、地球のまわりを回っている

同じように、球形の月に太陽の光があたると、つねに光があたった半分が光るよ。月は地球のまわりを回っているから、毎日少しずつ見える角度が変わる。それで、規則正しく満ち欠けしているように見えるんだよ。

3)欠けぎわのクレーターがはっきり見える理由

横から太陽の光があたる朝や夕方の影は、昼の影より長くなるよね。月の欠けぎわでは、クレーターに横から太陽の光があたる。それで、クレーターの影が長くなるんだ。だから、影でクレーターが浮き上がってハッキリ見えるよ。

【おまけ】クレーターは隕石の衝突でできた。

■Q:太陽は動いてないってほんとう?

A:太陽は、自転も公転もしているよ。

【これでわかる! 3つのポイント】

図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より
図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より

1)むかしは地球が宇宙の中心だと考えられていた

太陽や夜空にかがやく星は、東の空からのぼって西の空に沈むように見えるね。古代ギリシャのころから長い間、地球が宇宙の中心にあって、ほかのすべての天体はそのまわりを回っていると考えられてきたよ。これを「天動説」というんだ。

2)天動説から地動説へ

16世紀になって天体観測の精度がよくなってくると、天動説とは反対に、太陽を中心に地球もふくめた惑星が回っているという「地動説」が支持されるようになったんだ。いまではさまざまな観測結果から、地動説が正しいことが確認されているよ。

3)太陽も銀河系のなかで動いている

太陽の表面に見える黒点などの観測から、太陽も自転していることがわかるよ。また、太陽は銀河系というたくさんの恒星の集まりのなかの1つの恒星で、銀河の中心のまわりを公転しているんだ。

【おまけ】太陽系は銀河中心のまわりを秒速227 kmで動いているとされる(※)

(※)編集部註:国立天文台は2020年11月26日、約20年をかけて実施した天の川銀河の3次元立体地図を作る「VERAプロジェクト」で観測した結果と、ほかの研究チームによる観測データを組み合わせ、天の川銀河の基本的な尺度をより高精度に決定。太陽系から銀河中心までの距離は約2万5800光年、太陽系の位置における銀河系の回転速度は秒速約227km(マッハ1は秒速340mなので、計算上はマッハ667)と測定したことを発表。

■Q:太陽はなぜ明るいの?

A:地球からいちばん近い恒星だから明るく見えるんだよ。

【これでわかる! 3つのポイント】

図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より
図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より

1)太陽系のなかでただ1つの恒星

自ら光を発する星を恒星というよ。太陽の表面温度はおよそ6000℃、太陽の上空のコロナは100万℃以上、中心温度はだいたい1600万℃の高温状態なんだ。太陽はものすごい量のエネルギーを生みだして、宇宙空間に放出しているよ。

2)太陽が宇宙でいちばん明るい?

同じ明るさで光る恒星でも、遠いところにある恒星は暗く、近いところにある恒星は明るく見えるよ。太陽はとくべつ明るい恒星ではないけど、地球のすぐそばにあるので明るく見えるんだ。

3)太陽の明るさの秘密は?

太陽の明るさの秘密は、核融合反応だ。太陽の中心部は、重力で強く圧縮されて、高温・高圧の状態になっている。そこでは、4個の水素原子が結びついて1個のヘリウム原子に変わりつづけている。これを核融合反応といって、ものすごいエネルギーが生まれているんだ。

【おまけ】コロナのほうが太陽の表面よりはるかに高い温度である理由は、いまもなぞ。

■Q:日食ってなに?

A:地球と太陽の間に月が入って、太陽をかくすことだよ。

【これでわかる! 3つのポイント】

図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より
図版=左巻健男『1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366』(きずな出版)より

1)月が太陽の光をさえぎってしまう

ものに日光があたると、影ができるね。影のなかに入ると太陽が見えなくなる。月が地球と太陽の間に入って月の影に入った地域では、太陽が欠けたり(部分日食)、まったく見えなくなったり(皆既日食)する。これが日食だよ。

2)太陽と月、どっちが大きく見える?

太陽は月の400倍くらい大きいけど、太陽は地球と月の距離の400倍くらい遠くにある。だから地球からは太陽と月はほぼ同じ大きさに見える。月と地球の距離はつねに変わるから、月のほうが大きく見えたり、小さく見えたりするんだ。月が小さく見えるときに日食が起きると、月の周りに太陽がはみ出る金環日食になるよ。

3)なぜ、日食は毎月起こらないの?

月が地球のまわりを回る通り道が、地球が太陽のまわりを回る通り道とおよそ5°かたむいているんだ。だから、太陽、月、地球とならんでも、月の影がずれると日食にはならないよ。

おまけ 日食は1年に2回から4回、多い年には5回、地球上のどこかで起きている。

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左巻 健男(さまき・たけお)
東京大学非常勤講師
東京大学教育学部附属中・高等学校、京都工芸繊維大学、同志社女子大学、法政大学生命科学部環境応用化学科教授、同教職課程センター教授などを経て現職。東京学芸大学大学院教育学研究科理科教育専攻物理化学講座を修了。『RikaTan(理科の探検)』誌編集長、中学校理科教科書(新しい科学)編集委員。法政大学を定年後、精力的に執筆活動や講演会の講師を務める。『面白くて眠れなくなる物理』『面白くて眠れなくなる化学』『面白くて眠れなくなる地学』『怖くて眠れなくなる化学』(PHP研究所)、『身近にあふれる「科学」が3時間でわかる本』『身近にあふれる「微生物」が3時間でわかる本』(明日香出版社)、『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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(東京大学非常勤講師 左巻 健男)

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