論破王ひろゆき「『自分はバカだ』と思える意識の低い凡人ほどラクして幸せに生きられる」
プレジデントオンライン / 2021年6月4日 11時15分
※本稿は、ひろゆき『ラクしてうまくいく生き方』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
■「目標はトコトン低くしときましょう」
人間がなにかを達成するには、「目標」を立てることが大切です。でも、あまりに高い目標を掲げると、行動するのがおっくうになってしまうこともあります。
たとえば、ふだん運動していない人が「毎日10キロ走る!」という目標をいきなり立てた場合、雨が降ったり疲れていたりしたときに「今日はもういいや」となってしまい、そのまま挫折しがちです。
物事って「やりたいこと」「やりたくないこと」「どうでもいいこと」の3つに分類できると思うのですが、目標ってたいていは「やりたくないこと」なんですよね。やりたくないことに手をつけるために、みんなやる気を出す方法をあれこれ模索します。
でも、人間には「やる気」なんて本当は存在しないんです。脳科学者の池谷裕二さんも、「『やる気』という言葉は、『やる気』のない人間によって創作された虚構」と断言しています。
一方、人間には、やりたくないと思っていることでも、いったん始めてしまうとなんだかんだ気分が乗ってきて、その行動を続けてしまう習性があるんです。やる気が出たというのはこれを錯覚しているだけでしょう。
だから、目標を立てるときは、行動しやすさを重視して、トコトン低く設定してはどうでしょうか。僕も原稿を書きたくないときなんかは、「1行書いたら、1時間ゲームしていい」みたいな自分に甘すぎる目標を立てています。
そうやって1行書いてみると、あんがい2行、3行とスルスル出てきて、あっというまに原稿が完成するなんてことにもなったりするわけです。
■「たくさん稼いでいる人は素直に応援しましょう」
残念ながら、いまの日本はがんばって働いても給料が上がりにくい社会です。
これは仕方ありません。一方、SNSを見ていると、株取引で成功した人や起業して大金を手に入れた人たちが目につくので、どうしてもそういう人に嫉妬してしまう人は多いんじゃないでしょうか。
けれど、そもそも儲けている人に嫉妬するのって、日本人のよくないところなんじゃないか、と思うわけです。たとえば年収3000万円の外資系企業に勤める会社員がいるとします。彼の所得税は約780万円で、住民税は約260万円。厚生年金と健康保険が合わせて150万円で、雇用保険は10万円弱。計算すると、手取りは1800万円ほどになります。
つまり、4割は国に持っていかれるんですね。普通の人よりも、金銭的には社会に貢献してくれているんです(これとは別に、株の配当金や銀行の利子の税率は20%と極端に低いので、それらで暮らしている真のお金持ちもいますが)。
それに、こういう人たちに対して、ムカつくから「節制すべき」と叩いても、普通の人には百害あって一利なしです。むしろ、こういったお金持ちには、がんがんお金を使わせて、余計なものまで買ってもらうべきです。こういう人たちに100円ショップで買った安いボールペンを、芯を変えながら一生使われるのは困るわけです。
10万円以上する高級万年筆を買って、ときどき失くしたり壊したりしては、また別の高級万年筆を買う……とかしてくれないと、困るんです。
稼いでいる人に対しては、財布の紐(ひも)をゆるますために、おだてて接するのがいいと思います。嫉妬しても疲れるだけですから。
■「自分に期待するのはやめましょう」
自分の能力は、こんなはずじゃなかったのに……。そう落ちこみがちな人は、自分への期待が高すぎるのではないでしょうか。
「この能力ならば、もっと給料のいい仕事についているはずだったのに」
「このスペックならば、早く結婚して、幸せな家庭を築いているはずだったのに」
たしかに、まだ若く、努力次第で将来が大きく変わりそうな年齢なら、自分に期待することにも意味があります。がんばって勉強して、志望校のランクを上げるとか、自分がもっとも売り時だと思うときに婚活をがんばる、とかですね。
でも、年をとると、そういう努力で将来を変えることは難しくなります。なので、最初から自分に期待をしすぎず、「まあ、自分の能力はこんなもんだ」くらいの気持ちで過ごしたほうがラクですよね。
「自分の能力にたいして期待しない」という前提に立てば、いまからでも、もっといろいろな工夫や対策ができるはずです。
たとえば、クリエイティブなことを提案する能力が足りないと思っていたら、そういった能力がなくても、相手によろこんでもらえるような営業を心がけることができます。結婚市場で考えた際のスペックが足りていなければ、もっとターゲットを広げるとか、もしくは結婚はあきらめて、ペットと幸せに暮らす人生を選択してもいいはずです。
給料をたくさんもらったり、結婚したり子どもをもうけたからといって、幸せになれるわけじゃありません。自分にはそれが無理そうだなあと思ったら、そうじゃない方向で生きるように舵(かじ)を切ったほうがいいのではないでしょうか。
■「『自分はバカだ』と思っておきましょう」
自分が賢いと思っている人は、自分だけの考えで物事をすすめがちです。でも、人間って自分で考えているほど理性的な存在ではないと思うんですよね。どちらかというと、外部刺激によって、自動的に感情や気分が反応してしまう、動物的な本能の影響が大きい。
なので、自分の理性を過信したりせず「勝手に反応してしまうバカなものだ」と考えておいたほうが、うまくいかなかったときに自分に失望して自己肯定感を下げずにすみます。
それに、自分はバカだと思っている人のほうが、自分以外の人の力を借りて、うまく物事をすすめようとします。そうすると、無駄な努力をしなくなって、生きるうえでのコストパフォーマンスがよくなるんですよね。
自分の賢さに自信がある人は、なんでも自分一人の力だけでやろうとしてしまいます。他人の意見や力を借りようとしない。でも、自分のなかにあるセンスや経験だけでは、どんなに優れた人でも限界があるんです。
たとえば社内で企画を通したいとき。となりの席の先輩に質問すれば、上司がどんな説得方法に弱いのか教えてもらえるのに、そういう発想がないからひとりよがりなものをつくって上司にボツにされ、企画書の作成に費やした労力や時間を無駄にしてしまったりします。
自分のことをバカだと思っていれば、まず人に頼ることを考えるし、プライドが邪魔して頼れないということもありません。自分のことはバカだと割り切って、スムーズに他人の力を借りながら、ラクをしてみましょう。
■「成功者のマネをするのをやめましょう」
本屋さんに行くと、創業したばかりの会社をどんどん大きくしている社長の本とか、短時間ですごいフォロワーを獲得して月収4ケタ万円になったような人の本が所(ところ)狭しと並んでいますよね。本だけじゃなくて、ネット上にもそういうすごい人たちの話がたくさんあります。
そういう本や情報をエンターテイメントの一環として楽しむのは別にいいと思うのですが、そういう“成功者”の発言を真に受けて、「自分はまだまだだ、もっとがんばらなきゃ」と考えるのは、どうなのかなと思います。
まず大前提として、この本に興味を持ってここまで読んでいる人は、そういう社会的な成功者とは根本的に異なる「凡人」である可能性が非常に高いです。社会で注目されるような人って、「俺が社会を変える」くらいのすごく高い志を持っていたりして、そのためだったらプライベートも犠牲にできるような人たちなんですよ。
その時点ですでに普通の人(凡人)ではないってことです。凡人がそういう人たちのマネをしても、うまくいく可能性は低い。だから、安易にマネしないほうがいいんです。
凡人は「社会を変えよう」とか「人生でなにかを成し遂げよう」みたいなことを考える必要はありません。そういうことは、それができる人たちに任せて、「毎日なにごともなく、ごくふつうに楽しく飯が食える」というのを目指せばそれでOKだと思いますよ。それがたぶん幸せってやつです。
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2ちゃんねる創設者
本名は西村博之。1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、『無敵の思考』『働き方完全無双1』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)
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