「ひと言書いた名刺を2年間、毎日届ける」確実に成果を残す"しつこい営業"の勝ちパターン
プレジデントオンライン / 2021年6月6日 11時15分
■大きな成果を出している人は全員“しつこい人”
ビジネス書や、ネットで配信されている記事では、多くの成功者たちの人生のストーリーと出会えます。
なかでもアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏や、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏、テスラCEOイーロン・マスク氏のストーリーは、いろいろなところで目にするはずです。彼らのストーリーを読み、みなさんはどんな感想を持ちましたか?
「あれほどの成果を挙げて(富を築いて)すごいなあ」と、ただただ感心する。
「どうせ何か特別な才能や人脈を持っているんでしょ」と、うらやむ。
「自分の生き方とは次元が違う(何の参考にもならない)」と、無関心を決め込む。
どの感想も、「ちょっともったいないな」と、私は思います。なぜなら、人は、誰しも一度きりの自分の人生しか生きることができないからです。
一度きりの人生を、より幸せを感じて生きたい、と思いませんか?
そのためにはどうすればいいかと考えたとき、私が行きついたのは「他者の生き方から学ぶ」でした。コツを求め、ビジネスパーソンの行動や言動のキモは何か、しつこく探りました。
その結果、見つけたんです、成功を手に入れ、より幸せに生きるためのコツを。
■ジョブズ、ベゾス、イーロン・マスクも「しつこい」
例えば、
ジョブズ氏は、「成功と失敗の一番の違いは、途中であきらめるかどうか」
ベゾス氏は、「発明して、着手して、また発明して、もう一度着手して、やり直して、同じことをまた繰り返す。これを何度も行うのです。作り手は、成功への道は直線ではないとわかっています」
マスク氏は、「根気強さはとても重要だ。あきらめることを強いられない限り、あなたはあきらめるべきではない」
といった発言をしています。
そうなんです、成功者に共通しているのは、あきらめないこと、根気よく続けること、要は「しつこさ」なんです。
コレ! と決めてしつこく突きつめた結果、彼らは成功を手にしました。
この他にも、ビル・ゲイツ氏は「私は物事をとことん突き詰めるのが好きなんだ。そうすれば、たいてい良い結果が出るから」、また孫正義氏は「しつこくしつこく考えて完成度を上げる」など、しつこさ、根気強さの重要性を語っています。
特別な才能や環境ではなく、「しつこさ」こそ、最強の成功哲学だったのです。
■「いいしつこさ」と「悪いしつこさ」
とはいえ、「しつこい人」というと世間一般には、ものわかりが悪いとか、察しが悪いとか、相手を嫌な気持ちにさせるとか、ネガティブな印象が浮かぶかと思います。
しつこさには、「いいしつこさ」と「悪いしつこさ」があり、大事なのは前者です。
「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければそれは成功になる」と、パナソニックを一代で立ち上げた松下幸之助氏は言いました。
あきらめずにコツコツと続けること、しつこくやり続けること。大事だけれどなかなかできないことではないでしょうか? 「いいしつこさ」が幸せな人生をつくる。
まず、幸せに生きる大前提となるこのコツをしっかり意識しておきましょう。
■しつこさでほぼ0%の確率をひっくり返した話
「いいしつこさ」って、具体的には何でしょう?
それを考えるために、一つのエピソードをご紹介します。私がリクルートの求人広告の営業職をしていたときの先輩の話です。
A先輩は、難攻不落と噂される大手企業Bの社長に営業することになりました。
「毎日会社を訪問する」という作戦を立てたA先輩は、名刺にひと言書き、会ってもらえない相手に届け続けました。
「ひと言書く」のも実は大事なので、ちょっと解説しておきますね。A先輩は手書きで、「いつもありがとうございます」「いつもご不在のときにすみません」などなど、短い言葉を添えたそうです。たとえ相手と会えなくても、ひと言名刺が思いを伝えてくれたり、A先輩をジワジワ売り込んだりしてくれていた感じですね。
名刺はさておき営業の成果は? というと、名刺を届け始めて2年経過した頃、B社から「会いたい!」と電話が入り、営業活動に無事に結びつきました。
みなさんは、A先輩の行動を、どんなふうに感じましたか?
■無理に頑張らなくてもいい
2年間名刺を届け続けたと聞くと、「がむしゃらにがんばるのがよいのだ」と感じたかもしれません。しかし、ここで種明かしをすると、A先輩は、B社にすごく強い思い入れがあって毎日通ったわけではありませんでした。
もちろん「営業がうまくいくといい」と、心底願っていました。
でも、毎日通い続けられたのは、A先輩の通勤ルートにB社があったから。
つまり、「ひと言書いた名刺を毎日届ける」という仕組み化・習慣化を行っただけ、いつか連絡が来るかなと思いながら継続しただけだったのです。
難攻不落といわれたB社に営業できたのは、A先輩ががむしゃらにやったという気合や精神論の問題ではなく、続ける仕組み化がしっかりなされた結果の成功でした。
ここが「いいしつこさ」のキモです。
「いいしつこさ」には、気合や根性は必要ありません。ある意味クールに、どうやったら続けられるか考え、仕組み化・習慣化する姿勢が大切なのです。
もう少し補足しておきましょう。
A先輩は、どちらかといえば人見知りで内向的なタイプでしたが、一日70件の営業をやり続けることのできるすごい方でした。「あいつは器用ではないが、信用できる」との評価を得ており、やり続ける力のカタマリのような先輩でした。
しつこく続けていたその時間もB社の社長さんはちゃんと見ていて、評価してくださったのでしょう。A先輩は「やり続ける」ことで営業を成功させたのです。
■信頼貯金もしつこさから生まれる
「いいしつこさ」でうまくいった話をもう一つ紹介します。自分の体験談です。リクルートで求人広告の営業をしていたときの話です。
あるうどん屋さんへ飛び込み営業しました。
一回目、店に入ったら無視されました。
二回目も、完全に無視。
三回目はなんと、私がいないかのように店の主人Cさんがふるまいました。
存在すらないことにされるとは……。いまでこそ笑えますが、当時は相当落ち込みました。「なぜだ?」と。
でも「なぜ?」と考え始めると、明快な答えに出会えないんですよね。そんなとき、私はいつも、「どうすれば?」と、自分に問いかけます。
うどん屋さんに営業し、求人広告を受注したいというのが目的。主人のCさんはけんもほろろ、私など全く眼中にないというのが実情。
うまくいくか、いかないかわからない状況でしたが、「完全に無理」という言葉は、私の辞書にはありません。「(どっちに転がるか)半々やな」と思いました。
目的がかないそうにないから、ダメだからと撤退するのではなく、八方塞がりな状態を「どうすれば」変えられるかと考え抜いて出した答えは、「とりあえず、お客さんになってうどん食べよう」でした。
■うどんを食べた先に広がった未来
何度無視してもやって来る面倒くさい営業ではなく、純粋に一人の客としてうかがったので、Cさんには何のリスクもありません。Cさんは私を普通に迎えてくれました。
完全無視されていたはずの私の話相手に、ほんの少しだけなってくれました。そしてその後も、あきらめずに営業は続けました。
しばらく経ったある日、店に入った私の顔を見るなり、「伊庭さんには負けたわ」と、Cさんは苦笑いしながら話しかけてきたのです。
「取り引きしている業者があるから、あきらめてほしくて冷たくしてたんよ」
「普通は、二回くらいであきらめるのに……」
と言い、求人広告を出していただける方向に話が進みました。
忘れた頃に、当初の目的がポーンとかなったわけですね。このエピソードも、先のA先輩の話と同じ「しつこさ」がポイントです。
営業を成功させたいという思いはブレずに持ち、やり続けた。A先輩の場合は、ひと言添えた名刺を届ける行為を、私の場合は、客として訪問する機会を交えつつ、何度も訪問するという行為を続けた結果、お相手の信頼を獲得するに至ったのです。
でも、どちらも努力や根性で続けたわけではなく、続けられる仕組みをつくったり、ちょっと工夫したことで、目的が達成できたのです。
■人は意外とあきらめやすい存在だ
「ホントにこんなにうまくいくのかな?」と半信半疑の方もいらっしゃるかもしれませんね。
少し古いデータではありますが、こんな話があります。成功哲学の提唱者であるナポレオン・ヒル氏は、男女3万人に「人は何回チャレンジしたらあきらめるか?」を調査しました。
何回であきらめると思いますか? あなたなら何回であきらめますか?
回答結果は、平均で1回以下。つまり、多くの人が1回の失敗であきらめたり、挑戦する前にあきらめている、ということ。人は意外とあきらめやすい存在なのです。
裏返していえば、あきらめずにしつこくやることはそれだけでアドバンテージになります。しつこくやり続けることは、相手の信頼を得たり、思いもよらない幸せを手に入れたりすることにつながるのです。
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らしさラボ代表取締役
1991年リクルートグループ入社。リクルートフロムエー、リクルートにて法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社らしさラボを設立し、リーディングカンパニーを中心に年間200回を超える研修や講演を行っている。著書に『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』(アスコム)など多数。
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(らしさラボ代表取締役 伊庭 正康)
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