自己愛の塊「職場の頑ななタイプ」を説得するときに絶対使ってはいけない"ある言葉"
プレジデントオンライン / 2021年6月21日 8時15分
■自己愛が強い自信家タイプ
頑なな人は「こだわりが強い」「頑固」といったネガティブな印象がある一方で、「芯が通っている」「ぶれない」とポジティブに評価されることもあります。ただの面倒な人と片づけられないのが厄介なところですね。
そもそも、どういったタイプの人が頑なになりやすいのでしょうか。
第一に、自己愛の強い人です。物事の考え方が常に自分中心。判断材料のすべてが、自分の過去の成功や失敗の体験なので、まず周りの人が言うことには耳を貸しません。「こっちのほうが効率がいいよ」と言ったところで、「これでうまくいっているから」という感じです。そういう人はプライドが高く、勝ち負けでしか判断できません。人に意見を譲ることは負けだと考えているので、相手の話には最初から興味を持たないのです。
■保守的で何も変えたくないタイプ
また保守性が高いタイプも多いですね。何かを変えたり、今までと違うことをしたりすると、周りから反論がくるかもしれない、自信もないし、人の目も気になる、リスクを負いたくない……、だから、このまま変えずにいこうと。変えたことで結果的に失敗し、責任をとらされるのがいやというパターンです。
つまり頑なな人には、自己愛の強い自信家タイプと、自信のない保守的なタイプの2タイプの人がいるということです。
■頑なな人を説得するためのポイント
頑なな人を説得するのは、一筋縄ではいきません。どう攻略するか考えるだけではダメで、前提として信頼関係が必要になります。信頼関係がないと、そもそも話も聞いてもらえませんから。
信頼関係をつくるには、まずうそをつかない、傷つけないなど、人として当たり前の行動をとること。こういう頑ななタイプの人は、組織でも孤立しやすいので、ふだんから挨拶をしたり、手伝いを申し出たり、こちらから積極的に声をかけて歩み寄ることは、信頼関係をつくるのに役立ちます。
次に仕事できちんと実績を上げることです。実績がないと「仕事もできていないのに提案ばかりされても」となります。また実績を上げていれば、周りに賛同してくれる人も増えるので、共同の提案という形で、より提案しやすくなります。一対一ではなく、一対大勢のかたちにもっていけるのは、仕事で結果を出している人の強みです。
■「イエスバット法」は使わない
ただし頑なな人に説得するときに、注意することが2つあります。ひとつは「イエスバット」法ではなく、「イエスアンド」法を使って話すこと。
多くのビジネス書では、自分の意見を言うときに「イエスバット法」が推奨されています。相手の意見を一度「はい」と受け入れて、「しかし」と自分の主張をする方法です。ところが、この言い方だと頑なな人は「しかし」をこちらが感じる以上に拒否されたととらえるため、「お前、何様だ」と余計に頑なになってしまいます。
![「YES!」と書かれた紙を掲げる手元](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/9/670/img_59958152a4cb10082ed7fc6de5350a1d282646.jpg)
一方で「イエスアンド法」なら、相手を受け入れたあとに「それに加えて」「実は」とつないでいくので、相手は拒否されたように感じません。「実はこんな方法もありますが、どうですか」といった言い方になります。
■「時代遅れですよ」は全く効かない
もうひとつの注意点は、相手がこだわっていることを突き過ぎないようにすることです。たとえば古いスタイルを変えない相手に、「時代遅れですよ」「時代は変わりましたよ」というのは絶対にNGです。こちらとしては、時代というワードを使って、つい焦りをあおりたくなりますが、頑なな人は、それまでこのやり方でうまくやってきたわけですから、いくらあおっても焦ることはありません。「時代が」と言われてもピンとこないでしょうし、それゆえ変える理由にはなりません。こんなふうに言っても伝わらないだけでなく、変に後味が悪くなるだけなので、やめておきましょう。
もし何か言うなら「会社の売り上げが伸びますよ」「いい人材が入ってきますよ」など、会社側のメリットを伝えるのがベターでしょう。ゆくゆくは、その頑なな人にもメリットがあるというところまでつなげられたらベストだと思います。
■一度ならず、何度でもトライ
いずれにしても、頑なな人は一度の説得ぐらいでは、簡単に納得してくれません。こちらの熱意をはかっているところもあるので、一度であきらめず、タイミングを見計らって、「やっぱりこう思ったんですけど」と二度、三度、何度でも同じ話をしてみる。同じ業界の成功事例を見せて「こういうやり方があるみたいですよ」と言うのも効果があるでしょう。そのつど心が折れても仕方ないので、三度ぐらいは最初から織り込み済みでやっていきましょう。
とにかく、あらゆる方法を駆使して、自分がどれほどそれをやりたいのか、それをやることで周りがどうよくなるのかという熱意とメリットを伝えることが重要です。そうなると、たとえばリモートワークなら「じゃあ、週に一回からやってみるか」と頑なな人なりに妥協してくれるのではないでしょうか。それが頑なな人に提案するときの王道パターンです。
■さらに上の上司に話すのも手
もしも、それが会社の利益に大きく関わるぐらいメリットのある提案なら、その頑なな人を飛ばして、その上の上司に相談してみるのも手です。ただし、コソコソやると頑なな人は怒りますので、事前に「部長の○○さんに相談しますね」とストレートに伝えておきます。「好きにしろ」と、へそを曲げられる可能性もありますが、どうしても実現したい企画なら、それもありです。
ただ、ここまでやって無理なときは、正直無理です。こちらが最大限の力を尽くしてできなければ、それ以上踏み込むのはエネルギーのムダづかいになります。いつでも頑なな人を攻略できるわけではないですし、時にはあきらめることも必要になるでしょう。
しかし、そのときはいったんあきらめても、信頼関係を見直す、仕事の実績をつくるなど、説得力のある自分にブラッシュアップさせていけば、この先、頑なな人が変わるチャンスは必ず訪れるはずです。
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産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務
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(産業医・精神科医 井上 智介 構成=池田純子)
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