「幸せな人生のためにはお金が必要」そう考えるのは無教養なバカである
プレジデントオンライン / 2021年6月16日 9時15分
※本稿は、プロ奢ラレヤー『プロ奢ラレヤーのあきらめ戦略~お金に困らず、ラクに、豊かに生きるには』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
■死ぬまで続く人生の「勝利条件」とは何か
あきらめたら人生って結構ラクだし、意外と豊かだし、楽しいじゃん。死ななくて済むし。僕はそんな話をずっとしてきました。
それでもまだなんとなく「あきらめる」こと=負け、だという思いを払拭できない人のために「人生の勝利条件」について話したいと思います。
僕自身、あまり競争ごとには興味がありません。しかし、「人生の勝利条件」というものは誰かと競うためにあるというよりも「方針を示すコンパス」のようなもので、明日の自分が迷子にならないために、ある程度の精度で用意しておくべきものだと思っています。
というのも、「いま、何を追いかければいいか」ということを理解するのは何においても重要なことだからです。
人生における勝利条件とは個人差があるものだと思われているので、「勝利条件とは○○だ」と断言すると、「勝手に決めつけるな、お前に何がわかる、自分が向かっている方角は間違いじゃないんだ、だからそうやって間違えを指摘するな」と怒鳴りつけられてしまいます(一般的に、人が怒るのは「本当のことを言われたとき」ですが……)。
でも、そうやって怒鳴りつけてしまう人のことは一旦無視しておいて、あえて簡潔に答えを言ってしまいましょう。
「『人生の勝利条件』とは、ずばり笑えることである!」と。
ラフ。ニヤつく。腹を抱えて笑う。ニコニコする。嬉し泣きする。スマイル。死ぬまで続く人生において、これらに費やす時間の長い人間が「勝ち」です。これだけは断言できます。
■お金は教養のないバカに効く
しかし、そうはいっても多くの人は「人生に勝つ」というと、なぜかすぐにお金に飛びついていきます。お金があれば何でもできるし、何でもできるということは、この世にある「一番笑えそうなこと」に触れる機会も多そうだから。
確かにそのロジックもわかります。
でも、それは本当でしょうか?
もしもそんな風にゲームの選択肢に迷ったときは、「先駆者の顔を見る」ことです。
つまり、自分が選ぼうとしている選択をした先駆者が、いま「自分が得ようとしているもの」を、どれくらいの割合でどれだけ得ているのか。それについて見てみるわけです。
たくさんのお金を持っている人間はどれだけ笑っているだろうか。その人間は「お金のない人たち」の中の「笑える人」に比べてどれくらいの割合なのだろうか、と。
結局のところ、僕は「笑える」ということ以上のことはないと思っています。「たくさんのお金」というのは、あくまで笑うための手段の1つです。それは「家の前にいるアリをただ眺めているだけで日中ずっと笑える」という性質には勝りません。
お金は「笑えない人」が笑うために、非常に役に立つアイテムなのは確かです。根が暗い人、すぐに気分が悪くなる人、教養のないバカな人。彼らにはお金がおすすめです。お金は鬱に効くし、バカにも効く。
■安く笑える人は最高にお得
しかし逆説的にいえば、いわゆる「笑える人」には大したお金は必要ありません。笑う能力が高ければ高いだけ、「笑う」ということに対して払わなければならないコストは低いからです。
アリを見て笑っていれば、タワマンの一室にいる人類のように、自らの人間ランクの高さに浸るために数多の時間と予算をかける必要はありません。
安く笑える人は最高にお得なわけです。
それでも「笑えるが勝ち」という主張に対して異議のある人は、きっととてつもなく崇高な精神の持ち主なのだろうと思います。たとえば来世への希望とか、人類全体に向けた愛だとか、そういったものを持ち合わせているに違いありません。その点で「笑える」のだとしたら、それはそれで勝者なんでしょう。
想像力は知性の賜物。笑いたいときに、好きなだけ笑える人が「人生の勝ち組」です。
手段を追いかけるのも楽しいかもしれませんが、たまにはこうして、もう一度目的に回帰してみるのも悪くはないのではないでしょうか。
■生きるのをあきらめないために「あきらめる」
「笑い」の次には「生」の話をしておきましょう。いきなりですが、僕は他人の人生に興味がありません。どう生きているか、何を考えているか、とか超どうでもいい。
でも興味はないけれど、みんな死なないで生きればいいのになあ、とは思っています。 だって一人でも人間が減ったら僕に奢りに来る(可能性のある)人が一人いなくなってしまうわけなので(笑)。
というのはまあ冗談ですが、世界ではどうやら毎年、冗談にならないぐらいめちゃくちゃな数の人間が死んでいます。
インフルエンザでは25~50万人。交通事故では135万人。あと80万人が自殺。新型コロナでも沢山の人が死んでいます。
人生っていうのは生きているだけですごい。
だからこの本を読んでいる人には、これだけは言っておきたいんです。
「死なないように生きていこう」と。
少なくともここまで生き残ったのだから。生きているだけですごいのは、誇張でもなんでもないことだと思っています。
じゃあ「死なないように生きていく」にはどうすべきか。「あきらめる」ことです。生きるのをあきらめないために。
■「安定」なんてまやかしにすぎない
どれだけ未来を悲観して将来に多くを備えていても、どうしたって避けられないトラブルが世の中には存在していて、それはどんな人間にも多かれ少なかれ降り注ぎます。
新型コロナウイルスでそれを実感した人も多いはずです。
死なないためにも「絶対に起こること」については最低限の準備をしながら、それ以外のイレギュラーなトラブルは「まあいっか?」「しょうがないよな?」という感じで、あきらめながらやっていく。
人生はそれの繰り返しなのではないでしょうか。
コロナ以前にYouTubeの報酬基準が変わり、実質的に解雇になった一部のYouTuberたちに対して「そんな不安定な仕事してるからだ。ざまあみろ」的なこと言っている人たちがネット上では散見されました。
でもいまの状況はどうでしょう。別に僕はYouTubeをやってるやつがえらい! かっこいい! とは思っていませんが、「安定」した仕事をしていると勘違いしている彼らも、本当はいつ解雇されるかわからない。
不確実なことに溢れているこの世で、真の「安定」なんてあるのでしょうか。
「安定」をあきらめている人より「不安定な仕事をしている」ことに気づいていない人のほうが僕は危ない気がします。
■「嫌な仕事を続けるコスト」はものすごく高い
たかが仕事をあきらめただけ。結婚をあきらめただけ。安定をあきらめただけ。
あきらめて「仕事をやめるコスト」よりも、余計なことを気にして「嫌な仕事を続けるコスト」のほうがずっと大きい。長期的に見たら「あきらめる」ほうが圧倒的にコストが低いのに、人間はどうしても短期的なコストの低さに目がいってしまい、これがジワジワ首を絞めるわけです。
仕事が嫌で嫌で仕方がなくて、明日を生きることをあきらめたくなるくらいなら、仕事をあきらめて生きればいい。
何かをあきらめる前には「さすがにこれをあきらめたらやばいことになるだろう……」と感じるけど、実際は「全然やばくないじゃん!」と気づきます。これは真理。誰でも同じ。
あきらめられる人とあきらめられない人の本当の違いは、「恐怖を感じるか」ではなく「恐怖がフェイクだと知っているか」です。
「10年は泥のように働け」と言っていた人が、数年後には自殺していた、という話を聞いたことがあります。本当に守るべきなのは「収入」なんかじゃなくて「命」です。
いろんなことをあきらめても、生きることだけはあきらめちゃいけない。
カロリー摂取と睡眠を欠かさなければ人間は生存できます。人間の維持コストはそれだけ。
それだけなら年収50万円あれば守りきれるでしょう。
■迷惑なんてかけ合ってナンボ
「生存さえしていれば次がある」
そういう初歩的で退屈で手垢まみれで見映えの悪い気構えが、「死なないために」は一層求められていきます。
チェコで飢え死にしかけたとき、友達になったばかりのギリシャ人に「メシを奢ってくれ!」と頼んでみました。そいつは快く奢ってくれた。そこから世界が変わりました。
声を上げれば誰かが助けてくれる。俺はお金がなかったんじゃない。プライドがありすぎただけだった。
当時は助けてもらうのは申し訳ないと思っていたし、自分のことは自分で解決しなければ、と自分をあきらめられていませんでした。
日本が息苦しく「あきらめる」ことに寛容じゃないのは、「人に迷惑をかけちゃいけない」という前提が大きな要因になっています。いろんな国に行ったけど、これは日本の独特な文化だなーと思います。
たとえばインド人は平気でウソつくし、適当だし、全然時間も約束も守らないけど、僕がすげえ好きなのは「自分も迷惑をかけて生きているから、人の迷惑も絶対に許す」ところです。迷惑をかけないのは不可能。だからお互いに迷惑をかける。かけられる。お互いさま。
そういう生き方が浸透しているから「あきらめたら誰かに迷惑がかかるかもしれない……」なんて、そもそも思わない。
迷惑なんてかけ合ってナンボだろう、という気持ちで生きてみると「あきらめる」ことにも抵抗感がなくなります。
そんな感じで僕は僕に奢りに来る人が一人でも少なくなったら嫌なので、これを読んでいるみんなは死なないように生きていったらいいと思います。
そのために、あきらめられるものは、どんどんあきらめよう。
それでも、いま死にたい人におすすめなのは「3年後に死ぬ」という設定で生きることです。「どうせ3年後に死ぬしなー。好き勝手やるかー。どうなってもいいや!」くらいにゆるく生きるわけです。
そうすると、だいたい3年後は僕みたいになります。
おすすめしたけど、おすすめはできません。
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無職
1997年埼玉県生まれ。高卒。「他人の金で生きていく」をモットーに、「奢られる」という活動をし、半年で2万人を突破。現在ツイッターのフォロワー数は10万人超、noteの有料会員数も3000人を超える。愛称は「プロ奢(ぷろおご)」。
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(無職 プロ奢ラレヤー)
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