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「何でも話せる親しい人」だからこそ絶対に言ってはいけない"NGフレーズ"

プレジデントオンライン / 2021年6月20日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

いい人間関係を続けるにはどうすればいいのか。『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)を出した心理研究家の津田秀樹さんは「『何でも話せる関係』だからといって、何を言ってもいいというわけではない。ちょっとしたひと言で取り返しのつかないことになる恐れもある」という――。

※本稿は、津田秀樹、西村鋭介『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)の一部を再編集したものです。

■親しい相手との会話が実は一番難しい

会話やコミュニケーションの悩みというと、職場や取引先など、仕事関係のシーンを思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、つい感情的になってしまったり、遠慮のないきつい言葉をぶつけてしまい、後悔したり悩んだりするのは、自分にとってより親しい間柄の人、夫や妻、恋人やパートナーなどとの会話ではないでしょうか。

「親しい相手との会話なら、気を遣う必要もないし悩まないのでは?」と思うかもしれませんが、そういう良い面もたくさんある一方で、親しい間柄だからこそ、相手を深く傷つけたり、傷つけられたりしてしまうこともあるのです。

「何でも話せる関係」だからといって、何を言ってもいいというわけではありません。信頼していた相手からひどいことを言われてしまうと、親しくない人から言われるよりも、大きな傷になります。

今回は拙著『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)より、身近な相手と良い関係を続けていくための会話のコツをいくつかご紹介します。

■「言わなくてもわかってくれるはず」は甘えと過信

相手との距離が近くなると、何が好きなのか、何が嫌いなのか、こういうときはどんな反応をするのかなど、その人のことがいろいろとわかってきます。同様に、自分のことも相手がよく知ってくれている状態になっていきます。

そうするとつい、「この人なら、自分のことをわかってくれているはず」と思ってしまい、自分の気持ちや考えを言葉にしなくなってしまうのです。ですがこれは、甘えや過信に他なりません。

例えば、落ち込んでいて元気が出ないとき、相手がそんな自分の様子に気が付かずに関係のない話をしてきたら、「落ち込んでいるのに気が付いてくれないなんて」「いつも一緒にいるんだから察してよ」と思ってしまうことはないでしょうか。

あまり親しくない人であれば、こんな態度をされても傷ついたりイラつくことはありませんが、親しい相手になればなるほど、「言わなくてもわかってほしい」「自分への愛情があるなら、察してくれて当然だ」という独りよがりな感情が強くなってしまうのです。こんな不満が積み重なっていくと、ケンカになることが増え、関係を続けることが難しくなってしまいます。

■「以心伝心」「阿吽の呼吸」は難しい

当たり前のことですが、どんなに長い時間一緒にいても、人と人が完全に分かり合えることはあり得ません。以心伝心、阿吽(あうん)の呼吸というのは素敵な理想ではありますが、やはり言葉にしなければ伝わらないのです。

察し合えるかどうかではなく、ちゃんと気持ちを話し合えるかどうかで、親しさや愛情の深さを測る方が、より良い関係を築いていけるのではないかと思います。

両親のけんかに悲しい表情をする少年
写真=iStock.com/imtmphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imtmphoto

相手との関係を長続きさせたければ、「なんで察してくれないの!」「言わなくてもわかってよ!」「私のことがわかってない」「あなたのことがわからない」などといった言葉でお互いを傷つけるのではなく、「こんなことがあった」「こんな風に思っている」というように、自分の考えや気持ちをしっかり言葉にして伝えていくことが大切です。

■文句を言うときは「行動を憎んで、性格を憎まず」

相手との距離が近くなればなるほど、見えてくる欠点もあります。つい、「そういうところを直してよ」と言いたくなります。

しかし、注意したり文句を言うときは、言い方が重要です。相手の「行動」について不満を言うことは問題ありませんが、「性格」について不満を言うことが多くなってしまうと、言われた側の心を傷つけたり怒らせてしまうことになり、ケンカや別れの危険性が高くなります。

もちろん、行動の背景には性格があるわけで、行動だけに文句を言って、性格については言わないというのは、難しく感じるかもしれません。

たとえば片付けが苦手で部屋を散らかすという行動は、その人の性格のせいともいえます。そんなときはつい、「だらしない性格!」などと怒ってしまいますが、これでは性格を非難することになります。あくまで「部屋を散らかさないで!」と行動だけを非難した方がいいのです。

なぜなら、「結果としての行動に不満があるだけで、あなたのことが嫌いなわけではない」ということになるからです。要するに、「罪を憎んで、人を憎まず」というわけです。

■ダメ出しは具体的に

逆に言えば、行動ではなく根本的な性格について悪く言うようになったら、それは相手への嫌悪感がかなり高まっているといえるでしょう。

「行動には腹が立つけれど性格は許せる」と思っているのと、「性格が許せない」と思っているのでは、まったく違うのです。

また、「行動」は気をつけることで改善することができますが、「性格」は簡単には直せません。直せないことについて文句ばかり言われると、相手はどんどん追い詰められてしまうのです。

行動について注意するときは、できるだけ具体的に指摘すると効果的です。

たとえば、ただ「散らかすな」というのではなく、「脱いだ服はここに置いて、ゴミはここに入れて。それだけは守って」などと具体的に伝えた方が、「だらしない性格を直して」と言われるよりは、はるかに改善しようという気持ちになれるはずです。相手にとっても自分にとっても、この方が良い結果に結び付くといえるでしょう。

掃除機をかける夫とソファでリラックスする妻
写真=iStock.com/Yagi-Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yagi-Studio

■相手も自分も幸せになる「4種のプラスのストローク」

一緒に過ごす時間が長くなってくると、とくに口にしなくなるのが、相手への感謝やほめ言葉などです。

津田秀樹、西村鋭介『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)
津田秀樹、西村鋭介『会話の9割は「言いかえ力」でうまくいく』(アスコム)

夫婦や恋人、パートナーという関係であれば当然、相手に対する好意や温かい気持ちをたくさん抱いているはずですが、親しいだけに、口に出して伝えるのが気恥ずかしくなってしまったりします。

また、前述のように「言わなくてもわかっているだろう、伝わっているはずだ」と考えてしまうところもあるでしょう。

しかし、既に述べた通り「察してほしい」というのは無理があるのです。相手を大切に思う気持ちは、ぜひ口に出してちゃんと伝えましょう。

そこで活用していただきたいのが、「4種のプラスのストローク」です。ストロークは直訳すると「なでる」「さする」という意味で、会話において相手の心を温かくなでてあげるような「心のスキンシップ」をしよう、ということです。

大切な要素は、下記の4つです。

・賞賛:相手をほめること
・好意:相手に対して好意を持っていることを実際に伝えること
・肯定:相手の言い分に対し、自分も同じ気持ちだと賛同すること
・存在価値:相手の存在価値を認めているというメッセージを伝えること

この4つを伝えることは、親しい人間関係を長く持続させるために欠かせません。

■親しい相手ほど遠慮や心配りを

「優しいね」「素敵だね」など相手の良いところや好きなところをほめる、「一緒にいられて嬉しい」「会えて嬉しい」など好意を伝える、相手の発言に対して自分も同じ気持ちであれば「私もそう思っている」と賛同する、「あなたのおかげで」「あなたがいてくれたから」など、相手の存在価値を認める言葉を伝えること。

毎日やるのは難しいかもしれませんが、少なくとも時々は、この4つを意識して伝えるようにしてみましょう。

親しい相手との会話は、心を許している分、遠慮や気遣いを忘れてしまいがちです。しかし、同じことを伝えるのでも、言葉の使い方、選び方次第で相手の受け取る印象は、まったく違うものになります。

ちょっとしたひと言で取り返しのつかないことにならないよう、日頃から思いやりを持ち、伝え方の工夫をしていくことがとても大切です。

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津田 秀樹(つだ・ひでき)
心理研究家
筑波大学卒。『anan』や『non-no』などの雑誌の心理テスト作成、携帯公式心理サイトの主宰、心理学的映画紹介、心理マンガ(原作)、就職適性検査の対策本の執筆、ニンテンドーDSのソフトのディレクションなど多方面で活躍。著書に『迷いがなくなる心理学 人生のサンタク』(PHP研究所)、『ジーパンをはく中年は幸せになれない』(アスキー新書)など。

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西村 鋭介(にしむら・えいすけ)
精神科医
精神保健指定医、精神科専門医。東京大学中退、国立大学医学部卒業。現在は理論的心理学と、科学としての精神医学を統合させ、悩みに潜む心理学的背景を解析するとともに、それを病院での臨床の場に実際に応用。「心理学」と「精神医学」の二方向からのアプローチで、人の悩みの真の解決を目指し、日々活動中。携帯公式心理サイトで、「ココロコラム」と「お悩み相談」のコーナーを長年担当。

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(心理研究家 津田 秀樹、精神科医 西村 鋭介)

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