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ひさしぶりに会う人に「こんにちは、覚えていますか?」と話しかけるのはただの傲慢だ

プレジデントオンライン / 2021年6月25日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imtmphoto

ひさしぶりに会う人には、どう話しかければいいか。電通のコピーライター・PRアーキテクトの中川諒さんは「相手が覚えていないことを前提に、恥ずかしくても自分から名乗って、声をかけたほうがいい」という——。

※本稿は、中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■自己紹介は名字ではなく名前を名乗る

自己紹介は、あなたを知って覚えてもらう千載一遇の大チャンス。しかし、第一印象が決まるそのような大事な機会を、わたしたちは活かしきれていない。

この国に自分と同じ名字の人は何千人何万人もいるということを知っておきながら、名字しか名乗らないような当たり障りのない自己紹介を、わたしたちは何度も繰り返している。無難な自己紹介は、むしろ傲慢だ。相手に覚えてもらう工夫を放棄しているともいえる。

中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

そんな自己紹介について、あらためて考え直してみよう。たとえば名字でなく、下の名前を名乗るだけで、相手との距離はグッと近くなる。名前の漢字を説明してもいい。それだけで記憶に残りやすくなるはずだ。

最近ハマっていることを語ってもいい。好きな食べ物を伝えたっていい。話題は何だっていい。これは会話のきっかけに過ぎない。名字だけでは話題は広がらない。何より、相手に覚えてもらおうというあなたの姿勢が伝わることが大切なのだ。

自己紹介を考えるうえで、自分のプロフィールを一度書き出して、200〜300字程度にまとめてみることをお勧めする。初めて会った人に、自分の経歴のどこに興味を持ってもらえるのかを客観的に見ることができる。さらにキャリアを考えるうえでも、自分がこれからどのような経歴を重ねればいいかを考えるきっかけになる。

■初対面こそプライベートに踏み込んでみる

わたしたちは「第一印象が大切である」と分かっているがゆえに、初対面の人との会話では、変な人や図々しい人に思われたくないという気持ちから、自分を隠して他人行儀になってしまう。

「減点されない第一印象」をつくろうというわけだ。それでは確かに減点されないが、加点もされないので、結局は相手に印象は残らない。

ところで、様々な人と一緒に仕事をしていると、時に相手に対して対立や怒りの感情が生じることがある。これは、相手を自分の「敵」だと思ってしまうことに原因がある。

しかしこうした対立の大半は、立場や役割によってアプローチが違うことによって生じているだけで、いい仕事をしたいという想いは同じ仲間なのだ。自分の立場や役割が脅かされると感じた瞬間に、私たちは本来仲間だったはずの目の前の人が敵に見えてしまう。

仕事で知り合った人とは仕事の関係と割り切って付き合うのもひとつだが、それでは心の距離が縮まらない。そんなときに効果を発揮するのが、プライベートの話をすることだ。自分のプライベートを明かすことは、相手に「わたしはあなたの敵ではない」と信頼と友好を示す行動である。

目の前の人にも、それぞれ家族や大切な人がいる。一緒に仕事をする相手には早めにプライベートの話をしておくことで、のちのち対立や摩擦を減らすことができる。

■挨拶は無視されそうでも自分からする

「挨拶はタイミングを見計らってすればいい」。そう思っているうちに、相手のほうから先に声をかけられてしまうことも少なくない。挨拶は自分から先にして損することは絶対にない。挨拶は自分に敵意がないことを相手に示す行動なのだ。

初対面の人には、全員が大切な人間関係になりうる相手という意識で挨拶しよう。誰がいつあなたの大事な人になるか分からない。

ビジネスウーマン同士で名刺交換
写真=iStock.com/GCShutter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GCShutter

久しぶりに再会した人には、「お久しぶりです。中川です。実は○○のときに一度ご一緒しているんです」と、相手が覚えていないことを前提に、自分の情報をきちんと渡したうえで挨拶しよう。

突然現れて「こんにちは、覚えていますか?」と聞いてしまうと、相手も不意をつかれてしまい、せっかくの再会がいい思い出にならない。

「かなり前ですし、きちんとお話しできなかったので、またお会いできて嬉しいです」などと、相手が覚えていないことを前提に声をかけること。さらにいうと、あなたが苦手と感じている人にこそ、自分から挨拶したほうがいい。苦手だと意識は相手にも伝わるものだ。

人は自分の心の鏡だ。自分から心を開けば、相手も少しずつ心を開いてくれる。自分が苦手意識を持ったままだと、相手との距離が縮まることはない。

微妙な距離感の相手にこそ自分から挨拶することで、あなた自身の緊張がほぐれ、あなたらしく立ち振る舞うことができる。攻撃は最大の防御。挨拶はどんなときも先手必勝だ。

■意識して相手の名前を呼んでみる

挨拶や感謝の気持ちを伝えるときには、意識的に相手の名前を添えよう。「○○さんおはようございます」「△△さんありがとう」。

自分の名前を呼ばれて嫌な気持ちになる人はいない。相手の名前を呼ぶという行為は「わたしはあなたに興味があります」という意思表示なのだ。

相手が目上の人であっても、「部長」や「監督」など肩書や役職で呼ぶのをやめよう。肩書で呼ぶと無意識に上下の関係性が生まれ、フラットな気持ちで相談や報告ができなくなってしまう。相手が後輩の場合、彼らは名前を呼ばれることで先輩に認められていると感じ、心理的安全性が確保される。

恥をかく勇気を得ることができるのだ。社外の人にも、「○○さん、いつもありがとうございます」と意識的に名前を呼ぶことであなたの尊重する気持ちが伝わる。その気持ちは仕事で返ってくる。

相手の名前を呼ぶという行為は、よい人間関係をつくるうえで非常に有効な方法だ。この方法は会議の場でも使うことができる。「さっき○○さんがおっしゃったとおり」と発言した人の名前を入れることで、発言者は自分がリスペクトされていると感じることができる。

人は自分に興味を持ってくれる人に好感を持つ。「もしかしたら、自分のことを好きではないかも」とあなたが思っている相手にこそ、相手の名前を呼ぶことを実践してほしい。人は自分の心の鏡なのだ。

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中川 諒(なかがわ・りょう)
電通 コピーライター/PRアーキテクト
1988年生まれ。幼少をエジプトとドイツで過ごす。慶應大学環境情報学部卒業後、電通入社。プロモーション局、営業局を経てクリエイティブ局へ。Googleシドニーとシンガポールでの勤務経験を経て現職。PR視点で企画制作を行う。ヤングカンヌPR部門日本代表、ヤングスパイクスPR部門日本代表・本戦金賞、TCC新人賞、グッドデザイン賞など。

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(電通 コピーライター/PRアーキテクト 中川 諒)

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