4700万人救った人生相談の巨匠「ダメ人間が78億人集まって地球は回っている」
プレジデントオンライン / 2021年6月29日 11時15分
※本稿は、本田健『20代にとって大切な17のこと』(きずな出版)の一部を再編集したものです。
■どんな人も「ダメダメな自分」とは向き合いたくない
誰しも失敗はしたくないし、がっかりしたくありません。うまくいっていないところを見たくないし、向き合いたくないものです。模試を受けたり、お金がいくらあるのか調べてみたり、ダイエットする前に体重計に乗ってみたりするのは、どれも気が重い作業です。
なぜかと言うと、「自分はダメな人間だ」と思いたくないからです。
「成績が悪い自分」「志望校には受からなそうな自分」「お金のない自分」「ダイエットできない自分」「いつも時間に遅れがちな自分」を認めるのはつらいものです。
そんな自分について、友人が悪口を言っていると聞いたとき、世界がガラガラと崩れ落ちそうな気持ちになったことが今までにあるでしょう。
人に悪く思われたくない。できれば、「いい人だ」「あの人はできる」と思われたいと誰もが考えます。でも、「そうじゃないんじゃないか」という疑いが、なんとも言えない苦しさを感じさせるのです。
じつは自分がどれだけダメなのかを、誰よりも自分が知っているから、ということもあります。それで、つい、いい人を演じたり、本当はやりたくないことを引き受けたり、面倒な飲み会やパーティーなどに顔を出したりするのです。
でも、そういうことをしたら、ダメな自分がいなくなるかというと、相変わらず、「ダメな自分」は、あなたの中にいます。どれだけ友達やまわりにいい顔をしても、それでダメな面を解消できることはありません。完璧になれるわけではないのです。でも、その事実を認めてしまえば、たちまち明日への希望は打ち砕かれてしまいます。
「ダメな自分」にできることなんて何もない、と考えるしかなくなります。それで、そういう部分から、できるだけ目をそらしているのです。
■どうして「自分はダメ人間だ」と思ってしまうのか?
そもそも、なぜ自分はダメな人間だと考えてしまうのでしょうか? その理由は、二つあります。
一つは、人は、「グループに属していたい」と本能的に思うからです。原始時代、人間は、いまの野生の猿のように集団で生活していました。群れから仲間外れにされると、文字通り生きていくことができなくなります。そのために、できるだけグループの輪からはみ出さないように気をつけて行動していたはず。グループの意思に反したり、批判されたり、気分を害するようなことは極力しないようにしていたでしょう。
そうなると、「これはやっちゃダメだ」「それはやめておいたほうがいい」ということが、たえず頭の中でチラチラしていた(たぶん今も)のではないでしょうか。
もう一つの理由は、あなたの理想が不当に高いことです。
「自分は毎朝5時に起きてジョギングできるはず」
「もっと仕事ができるはず」
「恋愛もうまくいくはず」
そんなことを、根拠もなく思っているのです。
あなたの中には「ダメダメな自分」がいるとお話ししましたが、そのすぐ隣には、「完璧な理想の自分」がいます。このすごい人がいるために、ダメダメな自分が生まれ、いつも自己卑下しているといってもいいのです。
![若い夫婦](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/6/670/img_e649c5c4deaabbeeab4c920f8ee531ab831874.jpg)
つい「完璧で素晴らしい理想の自分」と比べて、「なんで今の自分はこんなにイケてないんだろう」と思ってしまうのです。もしも、たいして期待していなければ、ダメな自分にも、それほどがっかりすることはないでしょう。
■自分の弱さを認めると気持ちが楽になる
あなたのまわりを見まわして、完璧な人間なんているでしょうか?
すごい先輩や上司、同僚でも、そんな人はいません。遠くから見ていると「すごい人」に見えても、近くに寄ったら、意外に、たいしたことなかったりするのです。それどころか、すごい人ほど、全然できないところもあったりします。天才は、常識がないから天才になれたのです。
![本田健『20代にとって大切な17のこと』(きずな出版)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/a/9/200/img_a9fc4b66950a8ed17c8b96d9631983bd194191.jpg)
僕たちは、いいところもあるけど、ダメダメなところもいっぱいある存在なのです。失敗したり、言われたことができなかったり、忘れ物したり、下手な噓をついてしまったりして、あとで気まずい思いをしたりします。
それでも、がんばって、人によくしようと無理をしたりして、なんとか生きています。それが、人類のほとんどの生き方だと思います。もちろん、もっとよくできる人、逆にもっとズルい人、できない人もいるでしょう。そういう人が78億人集まって、この地球で生きているのです。
もし、いま生きている人たちが、優秀ですごければ、とっくに世界の問題は解決しています。あなたの両親や先生たちを見たらわかるでしょう。偉えらそうなことを言っても、できていないことばかりです。
自分にもブーメランが返って来そうなので、あらかじめ言っておきますが、僕も失敗ばかりしています。頼まれていたことを忘れていたり、ダブルブッキングして、お客さんが玄関で鉢合わせしたり、冷や汗をかくようなミスを連発しています。
僕の会社のスタッフにも、「あの件どうなった?」と聞かれ(うちのオフィスでは、みんなタメ語で仕事しています)、「ええ? あれって、何だっけ??」としどろもどろに僕が答えることも、しょっちゅうです。
そんなときは、「ごめん、忘れてた。許してね。だって人間だもの」と、相田みつを風にごまかしながら謝(あやま)ります。みんな、優しく許してくれているようです(たぶん……)。
そうやって、お互いがダメなところを認め合い、許し合い、フォローし合うのが、チームのよさだと思います。それでいて、できるところを伸ばし合えたら最高ですね。そのためには、自分の間違いや弱さを認められる強さが必要です。
僕たちは、ごく小さい頃から「間違いは許されない」という文化で育っています。
「ABCDの中から正解を選べ」と言われ、黒ひげゲームで剣を樽に刺すストレスを毎回感じているのです。間違えたらとんでもないことが起きる、というストレスを、僕たちは20歳までに何千回感じてきたことでしょうか。
20代のあなたは、まだそのトラウマから抜け切っていないと思います。僕も30年たった今でも、高校の試験を受けている夢を見ることがあるぐらいです。そういうときは、ハッと目が覚さめて、「50代でよかったぁ~」と、いまの幸せを嚙(か)みしめます(笑)。
失敗したらダメなメンタリティーを、どのタイミングで手放すかです。失敗してもOKになるには、しばらくリハビリが必要かもしれません。
「何かうまくいかないことがあっても、大丈夫」と感じられるまでには、もう少し時間が必要かもしれません。
■セルフイメージを高めるには?
「セルフイメージが低いんですけど、どうしたら高められますか?」
とよく聞かれます。自分に自信がないために、なにかやりたいことがあっても、それができないと思って、自信を持てるようになりたいと思うようです。
「セルフイメージ」というと、自分にどれだけ自信があるかだと考える人が多いのですが、その意味で言うなら、自信のあることがいいとは言い切れないと僕は思っています。
たとえば、知らない人がたくさんいるパーティーに行って、そこにいる人たちの輪に溶とけ込もうとするとき、「セルフイメージが高くないと積極的になれない」ということがあるかもしれません。
![大人の女性は強さを示す](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/8/670/img_28c7aa888d5e94c35390f44edfdc5746633467.jpg)
でも、同時に自称セルフイメージが高い人に対して、尊敬の念ばかりではないはずです。ちょっと傲慢な感じがして、「好きになれない」かもしれません。
そういう人は、「私はすごい」「オレは偉い」みたいなオーラが出ていて、まわりからは案外、引かれています。そういう人は、セルフイメージが高いのではなくて、自意識が強いだけです。
セルフイメージが高い状態とは、自分らしくいられることです。知らない人たちの中に入っても、自然に会話ができる感じです。なにも自信満々である必要はありません。
どんなにすごく見える人でも、その人はその人なりにダメだと思っていることがあるものです。
セルフイメージとは、自分にふさわしいものが何か、ということです。高価なものを身につけるだけでは、セルフイメージは高まっていきません。セルフイメージを高める一番の方法は、つき合う人を変えることです。
素晴らしいもの、素晴らしい人たち、素晴らしい仲間、素晴らしいパートナー……自分にふさわしいものを増やすことで、自然にセルフイメージは高まっていくでしょう。
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作家
神戸生まれ。経営コンサルティング会社、ベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」。著書に『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)などがある。
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(作家 本田 健)
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