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電通のコピーライターが「好きなバンド」「映画監督」の話題をあえて避けているワケ

プレジデントオンライン / 2021年6月29日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Onradio

趣味についての会話は、「どちらがより詳しいか」というマウンティング合戦になる恐れがある。電通のコピーライターでPRアーキテクトの中川諒さんは「好きなバンドの話題は危険すぎる。『好き』よりも『オススメ』を聞くといい」という——。

※本稿は、中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■一日一回でいいから誰かを褒めてみる

あなたは最近いつ人を褒めただろうか。日々周りの人の良いところを目にしているはずなのに、それを口に出して本人に伝える機会は意外と少ない。

人を褒めるときにわたしたちが恥ずかしさを感じるのは、相手のリアクションを想像してしまうからである。褒めたことで相手から「偉そうだ」「ヨイショされたみたいで不快だ」と思われるのではないかと不安になってしまう。

中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

褒めることを「自分のキャラじゃない」と考えている人も少なからずいるだろう。どうしても褒めるのが苦手だという人は、他人の言葉を借りるのもひとつの手だ。「あの人が資料よくできてたって言ってたよ」「あの人が○○さんは本当に優秀だって褒めてたよ」などと、誰かの言葉を借りて間接的に褒めるといい。

褒めるとは、恥ずかしさと引き換えに人に喜びを与えることができる行為なのだ。

褒められることで人は自己肯定感が高まり、心理的安全性の確保にもつながる。大変だった仕事も、その努力が報われる。

いい接客をしてもらったら、商品を受け取るときに「あなたの接客だったから買いました」と伝えよう。飲食店で美味しい料理を食べたら、店を後にするときにキッチンに向かって大きな声で「ごちそうさまでした、美味しかったです」と伝えよう。言われた方はきっと、あなたが想像している以上に嬉しいはずだ。

■趣味ではなくハマっていることを聞いてみる

趣味の話は、関係性を深める共通の話題として機能する。しかし趣味の話をするときは、相手より自分を優位に見せようとする「マウンティング」に注意する必要がある。

好きなバンドの話になったとき「デビュー前から応援していたのに、気づいたら有名になっちゃって〜」と言う人。○○監督の映画が好きと言ったら、初期の作品を見たかと迫る人。

悪気があるわけではなくても、どちらかがマウンティングだと捉えた瞬間に、勝ち負けのない競争が始まってしまう。すべては受け取り方次第なのだ。

マウンティング合戦に巻き込まれないために、新しいことを教えてくれた相手には「マウンティングされた」ではなく「新しいことを教えてくれてありがとう」と思うようにしよう。目の前で教えてくれたことを携帯にメモして後で検索しよう。

そもそも「趣味はなんですか?」という質問は意外と答えにくい。正解がないうえに、自分をさらけ出す必要もあるので、答えるハードルが高いのだ。趣味にまつわる質問をするときは、「趣味はなんですか?」ではなく「最近ハマっていることはなんですか?」。

「一番好きな映画はなんですか?」ではなく「最近見てオススメの映画はありますか?」。こうすることでお互いにファイティングポーズをとらなくて済むだろう。

■雑談では、相手が大事にしていることを聞いてみる

会議で人が揃うまでスマホやPCと向き合ってしまう。リモート会議が始まるまで、カメラもマイクもオフにしてしまう。そんなときこそ自分の恥の殻を破るチャンスだ。

ぼーっと沈黙して待っているくらいなら、世間話をしよう。「場を和ませるのは自分の仕事ではない」と思うかもしれないが、場が和むことで一番得をするのは自分なのだ。待ち時間に会話をしていれば、本題の打ち合わせでも話しやすくなる。

世間話をするような関係性をつくったことによって、自分の心理的安全性が確保されるのだ。

自分が口火を切りさえすれば、話の内容は自分が中心である必要はない。特に話す内容がなければ、誰かに質問してみよう。

雑談で自分の話題以外で会話を弾ませるコツは、相手が大事にしていることについて質問することだ。相手が洋服好きなら「買い物とかどこに行くんですか?」。家族との時間を大切にしている人なら「お子さん今年でおいくつですか?」。

このように「本当は好きで人に話したいこと」を質問されると会話は盛り上がる。

話の内容は何でもいい。そのあとの打ち合わせであなたの居心地がよくなることが大切だ。誰かのためではなく、自分のために、勇気を出して沈黙を破ろう。

■良いと思ったら、いいね! とレビューで応援する

SNSなどでコンテンツへの感想を投稿するのは、意外と恥ずかしいものだ。

「こんな浅いことしか言えないのか」と思われるのが怖かったり、自分のリアクションがどう見られるかが気になったりするからだ。

しかし、そのリアクションはコンテンツ制作者への応援なのだ。インスタグラムの投稿やユーチューバーの動画。最近見た映画や本のレビューでもいい。いいね! ボタンを押す、で感想を書くなど、どんな小さなことでも、あなたの行動は応援につながる。

良いと思ったら、恥ずかしさの殻を破ってリアクションを示そう。あなたの応援は、制作者たちの恥を支えている。

自分のアウトプットの質を上げるためには、インプットの質を上げる必要がある。これは「今よりもイイものを見ろ」という単純な話ではない。摂取する情報の質を上げるだけでなく、情報の摂取の仕方の質を上げるということなのだ。

具体的には、「インプットのためにアウトプットする」ということ。自分はそのコンテンツの何が好きだったのかを考えて言語化することで、はじめてその情報は自分の脳に定着する。

コンテンツは消費するだけではもったいない。リアクションを示すことで、自分のインプットの濃度が高まるだけでなく、制作者の人たちが次の恥に向かうための勇気に変わるのだ。

目標に向かって走るビジネスパーソン
写真=iStock.com/koyu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koyu

■行くか行かないか迷ったなら行ってみる

飲み会や遊びに誘われたとき、面倒になって、行くかどうか迷った経験はないだろうか。頭の中にはそのとき、いろいろな言い訳が飛びまわる。知人が少なさそう、場所も少し遠い、今日は雨が降るかもしれない……。

行かない理由をいくら並べても、行かないという消極的選択を選ばせようとしているのは、実は、ホームではない環境に飛び込むのが恥ずかしいという、あなたの感情なのだ。

「面倒」の語源の説のひとつに、人を褒め慈しむ「めでる」がある。このときに気恥ずかしかったことからその複雑な感情が強調されて「面倒」に残ったという。面倒と恥はそう遠くない感情なのだ。実際、面倒なことは、恥ずかしいことが多い。

迷ったなら行こう。行かないと即決せずに迷ったということは、行った先に何か新しい発見やつながりがありそうだと感じているからだ。行って後悔することはない。なぜなら、行ったからには後悔しないよう普段より積極的に楽しもうとするからだ。

忘れてはいけないのは、あなたを誘ってくれた人は「断るかもしれないあなたを誘う恥」をあなたのためにかいてくれた人である。

あなたのために恥をかいてくれる人は大切にしよう。そして彼らのために、あなたも恥をかこう。

一方で、迷うまでもないような誘いは思い切って断ってしまってもいい。「行ってもどうせ」と思っているうちは、「どうせ」何も起きない。

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中川 諒(なかがわ・りょう)
電通 コピーライター/PRアーキテクト
1988年生まれ。幼少をエジプトとドイツで過ごす。慶應大学環境情報学部卒業後、電通入社。プロモーション局、営業局を経てクリエイティブ局へ。Googleシドニーとシンガポールでの勤務経験を経て現職。PR視点で企画制作を行う。ヤングカンヌPR部門日本代表、ヤングスパイクスPR部門日本代表・本戦金賞、TCC新人賞、グッドデザイン賞など。

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(電通 コピーライター/PRアーキテクト 中川 諒)

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