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「この世に雑用という仕事はない」32歳電通マンが気づいた仕事の真理

プレジデントオンライン / 2021年6月30日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/alphaspirit

「雑用」を言いつけられたら、どのようにこなすべきか。電通のコピーライター・PRアーキテクトの中川諒さんは「この世に『雑用』という仕事は存在しない。そんな時は恥ずかしくても自分がプロジェクトリーダーだと思い込む。打ち合わせのセッティング、資料のデータの取りまとめ、出力やホチキス止め。どれも仕事を成功させるために必要なセッティングと考えれば、雑用ではなくなる」という——。

※本稿は、中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■尊敬されることも尊敬することもやめてみる

尊敬されようとすることが、恥の生まれる原因だ。いつも立派な自分でいる必要はない。人を尊敬するのをやめよう。「尊敬」という言葉を使うのをやめよう。

一見生意気な意見に見えるかもしれないが、尊敬は二人の人間を尊敬する側と尊敬される側に分断し、縦の人間関係を構築する。そして尊敬する対象から自分が評価されたい、選ばれたいという意識を自分の中に生み出すきっかけになってしまう。

そう感じているうちは、相手との心の距離も縮まることはない。心理的安全性は確保されず、自分の「良いところ」だけ見せようとして、恥をかくこともできなくなるのだ。そこには二人を分かつ、見えない大きな壁が生まれている。

中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
中川諒『いくつになっても恥をかける人になる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

これは決して目上の人を敬うことを止めろと言っているのではない。そこでオススメしたいのが、上下の関係性をつくる「尊敬」よりも、誰に対しても平等な「尊重」を大切にするということだ。

たとえ相手が目上の人であっても、家族や友人と同じように横の関係で付き合うようにしたほうがいい。「尊重」があれば、相手を敬いながらも、互いに対等な横の人間関係をつくりあげることができる。

所属や肩書を超えて互いに尊重できる人間関係ができれば、他人の評価は気にならなくなるだろう。

■先輩の意見と真逆でも進言する勇気を持つ

先輩の言うことに従うのは、とても簡単でラクな方法だ。なぜなら、人の言うことに従うのが、一番自分が傷つかない方法だからである。

「決めたのはあの人だから仕方ない」「自分は指示どおりにやっただけ」と言い訳しながら誰かの指示に従っていれば、わたしたちは責任を転嫁できてしまう。

方針や行動を先輩のせいにして、自分が恥から逃げるのは簡単だ。しかしそれではいつまで経ってもその仕事は「先輩の仕事」のままで「あなたの仕事」にはならない。

目の前の仕事を「自分の仕事」と胸を張って言えるようにするために、思ったことは正直に言おう。自分の意志に反した仕事は、決して「自分の仕事」にはならない。

少しでもおかしいと思うことがあれば、相手が先輩であろうと進言する勇気が必要だ。

ただし先輩に意見を言うときは気をつけなければいけない。あなたがどれだけ正しいことを言っても、先輩の中の「間違いを認めることに対する恥ずかしさ」があなたに牙をむく可能性があるからだ。

「間違っていると思います」と否定から入るのではなく、「先輩の話を聞いていたら思いついたんですが」とあくまで先輩の発言を立てれば、相手を刺激しない。

力の強い相手と向き合うときは、相手の力を利用して返す合気道のようなコミュニケーションがうまくいく。打撃に打撃で対抗すると殴り合いになり、競り負けてしまうのだ。

■経緯や言い訳から報告しない

上司や取引先に報告するときは、結果から報告しよう。経緯や言い訳から始めてはいけない。仕事の中で起こるトラブルの原因が、誰か一人に100%責任があるということはあまりない。

そのミスを防ぐために事前に個人ができた対策はあったかもしれないが、多くの人がかかわるプロジェクトでは不可抗力が存在することも確かだ。このことは、報告する相手も社会人経験の中でもちろん織り込み済みである。

にもかかわらず、私たちはつい恥に負けて、自分の無実を証明しようとしてしまう。悪いのはあなただけではないということをすでに了解している相手に言い訳から始めてしまうと、あなたが自分を守ろうとしている人に見えてしまう。

相手が知りたいのは「あなたが悪くない理由」ではない。にもかかわらず、結果的に仕事よりも自分を守ることを優先していると相手に感じさせてしまう。ミスをしたことよりも、言い訳から始めたことで信頼を失ってしまうのだ。

理想の自分像が強い人ほど、そこから外れて感じる恥も比例して強くなる。自分を守ろうとした結果、逆効果になってしまう。まずは自分の不十分さを受け入れて、事実に基づいて結果を説明する以外に信頼を回復する方法はない。

■打ち合わせで書記を買って出る

会議で発言するのが苦手な人は、書記をやることをお勧めする。手元のやノートなどではなく、ホワイトボードがあれば目一杯使おう。

皆の意見をそこに可視化するだけでも、十分チームの役に立つことができる。議論が硬直したら、そこで自分の意見も織り交ぜていけばいい。ホワイトボードの横に立っていれば、ちょっとした思いつきもその場で言いやすくなる。

ホワイトボードを使ってアイデアを練るビジネスチーム
写真=iStock.com/eggeeggjiew
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/eggeeggjiew

自分が発言をする余地がなさそうな打ち合わせほど、ホワイトボードに議論をまとめる人が必要だ。なぜなら先輩たちは自分たちの議論を戦わせることに頭がいっぱいになっているからである。皆の意見を客観的に可視化できる人は、これまで意見を求められなかったあなたしかいないかもしれない。

オンライン会議だったら、会議で何が議論され、何が決まって、次のステップは何かをまとめた簡単な議事録をつくって、参加者に共有するのでもいい。

打ち合わせが終わった後に、これをすべて把握できている人は意外と少ないうえに、参加者全員の認識も揃っていない。

皆の意見をまとめて共有するだけでも、十分にチームの役に立てる。何より、会議の質を上げることに貢献しようという姿勢が、周りの人の目にはポジティブに映るだろう。大事なのは能力よりも姿勢なのだ。

■勝手に自分をプロジェクトリーダーと思い込む

先輩や上司に仕事を頼まれたとき、自分は雑用だから仕方ないなどとぶつぶつ言いながら、その仕事を渋々やっていることはないだろうか。特に若手のときは、先輩たちがやらない「誰でもできる作業」をお願いされる機会が多くある。

そもそも、この世に「雑用」という仕事は存在しない。用を雑に済ますことでその仕事は「雑用」になる。打ち合わせのセッティング、資料のデータの取りまとめ、出力やホッチキス止め……これらは雑用に見えるかもしれない。

しかしそこで先輩たちは、「誰でもできると思える仕事をきちんとこなせるかどうか」を見ているのだ。

このようなとき僕は自分自身を「雑用係」ではなく、仕事全体の「プロジェクトリーダー」だと(勝手に)思いこむことにしている。思い込むのは自由である。

そうするとこれまで「誰かにやらされていた雑用」に見えていたものが「自分がプロジェクトを成功させるために必要なプロセスやコンディション」に見えるようになったのだ。

打ち合わせの場所、資料のタイトルや順番、ホッチキスの向きのすべてが、仕事を成功させるために必要なコンディションだった。

プロジェクトリーダーでもないのに自称していいんだろうかと思ったあなた。大丈夫。この世に雑用という仕事がないのと同じように、あなたは「雑用係」ではない。

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中川 諒(なかがわ・りょう)
電通 コピーライター/PRアーキテクト
1988年生まれ。幼少をエジプトとドイツで過ごす。慶應大学環境情報学部卒業後、電通入社。プロモーション局、営業局を経てクリエイティブ局へ。Googleシドニーとシンガポールでの勤務経験を経て現職。PR視点で企画制作を行う。ヤングカンヌPR部門日本代表、ヤングスパイクスPR部門日本代表・本戦金賞、TCC新人賞、グッドデザイン賞など。

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(電通 コピーライター/PRアーキテクト 中川 諒)

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