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「凡人には理解しづらい」山口真由さんが"仕事で電話は使わない"という意外な理由

プレジデントオンライン / 2021年7月12日 9時15分

山口真由さん - 画像=川しまゆうこ

テレビのコメンテーターなどで活躍する信州大学特任教授の山口真由さんは、「仕事で電話は使わないようにしている」という。なぜなのか。山口さんは「わたしは『話す』というアウトプットが苦手。だから、ちょっとした用事でも『書く』ようにしている。苦手なことは極力やらないほうがいい」と説明する。セブン‐イレブン限定書籍『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』からお届けしよう――。

※本稿は、山口真由『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■自分の得意なことで勝負したほうがいい

もしあなたがいま、仕事をまるで「苦行」のように感じてしまうなら、それは自分が不得意なことをしているからかもしれません。そんな努力を続けていると、心身が消耗するわりには、得られる成果が乏しかったりもします。

わたしは、本気で努力するなら自分の得意分野でと決めています。得意なことを磨いて「とがった」能力に変えていければ、不得意なことは十分にカバーできると考えているからです。

あたりまえですが、社会は分業で成り立っています。自分が得意なことで存分に活躍できれば、別のことはほかの人がしっかり活躍してくれるでしょう。

また、これは「ひとつの分野に集中する」という意味ではありません。幅広い分野をバランス良く磨くのが得意なら、その能力を誰にも負けないくらいに高めていけばいいのです。

時間は有限です。

いま不得意なことで疲弊していると感じるなら、ぜひそのエネルギーを自分の得意なことにそそいでみてください。そして、それを趣味のレベルを超えた、「仕事に直結する能力」にまで高めていくことを目指すのです。すると、どんどん結果が出てきます。

仕事では、なかなか条件や環境が許さないこともあると思います。それでも、少しずつでいいので、自分の得意な方向へシフトしていくことを意識してみてください。

■「読む」「聞く」「書く」「話す」で自分の得意分野を分析する

「自分の得意なことがよくわからない」

そんな人もいるかもしれませんね。たしかに、自分が好きなことであっても、それが「得意」なのかどうかというと、少しちがう場合があります。不得意なことに埋没しているならなお、自分が得意なものを客観的に見つけるのは難しいかもしれません。

そこで、自分の得意分野を見極めるために、わたしがよく使う方法を紹介します。

それは、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4つの行動で、自分のことを分析する方法です。

たとえば、わたしの場合は「読む」ことが圧倒的に得意ですが、一方で「話す」ことはかなり苦手。また、「聞く」ことも比較的得意ですが、「書く」ことはふつうといったところです。すると、自分は「読む」ことに特化したインプット型なのだととらえることができます。

そうなると、仕事としては、大量の資料をすばやく読む必要があり、かつクライアントに文書で回答することが多い企業法務専門の弁護士が選択肢に挙がるわけです。

逆に、官僚の仕事には、政治家に口頭で報告・説明する場面も多く、一流の官僚になるには「話す」能力がかなり求められるため、わたしには不向きであるともいえます。

まずはこの4つの行動を軸に、自分を分析してみてはいかがでしょう。

■わたしが苦手は「話すこと」

仕事でのコミュニケーションにいえることですが、わたしはふだん電話ではなく、メールやチャットなどの手段を使うようにしています。最近では、「電話は相手の時間を奪う行為」といわれることもありますが、わたしが電話を使わない理由はそれではありません。

ただ、「話す」というアウトプットが苦手だから。

窓ガラスの向こうでスマートフォンで電話する女性
写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi

つまり、同じアウトプットなら「書く」ほうがいいので、ちょっとした用事でも「書く」ことを中心にしたコミュニケーションにして、少しでも自分に良い状況をつくり出そうとしているのです。

仕事では、苦手なことでもやらなければならない状況はたくさんあると思います。そんなとき、もっとも避けたいのは「苦手なこと」に「苦手な方法」で取り組むこと。これではストレスも溜まるし、苦労の割に良い結果も期待できません。

そうではなく、「苦手なこと」は、自分の「得意な方法」で取り組む工夫をすべきなのです。

自分にとって少しでも良い状況を、自分でつくり出す力があれば、苦手な状況であってもつねに落ち着いて対処することができるはずです。

■自分の得意分野を見いだすコツ

「読む」「聞く」「書く」「話す」の4つの行動での自己分析が難しいときは、他人からの客観的な意見を聞くことで、自分では思いもしなかった一面を発見できることもあります。

ただしそのときに注意してほしいのが、「事実」と「評価」のちがいです。

弁護士をしていたとき、わたしは「事実」と「評価」をわけることの大切さを何度も教えられました。「評価」は人によって変わります。しかし、「事実」には主観が入らないため、別格の説得力を備えているのです。

たとえば、わたしはむかしから「頭がいいね」といわれてきました。でも、そんなものは「評価」に過ぎません。いったいどんな面を見てそう感じたのか、とてもあいまいなのです。

偏差値でしょうか、記憶力でしょうか。それとも発想力でしょうか。主観が入っているため、なんとでも解釈できますよね。

そこであるとき、わたしは「評価」を細分化して探っていくことにしました。そうしてたどり着いたのが、「繰り返しが得意」という、単なる「事実」だったのです。そして、これこそが自分の能力の本質でした。

本質をつかむことができれば、あとはそこを集中して伸ばしていけばいい。すると、人よりも秀でた結果を出すことができるはずです。

■「自分の強みを磨くことに集中してほしい」

近ごろ、アウトプット能力の重要性がさまざまなところで主張されています。そのこと自体はなるほどと思う面もあり、アウトプットに秀でた能力を持っているのは素晴らしいことだと思います。

山口真由『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』(プレジデント社)
山口真由『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』(プレジデント社)

ただ、「アウトプットが得意」だとする人にありがちなのが、アウトプットした内容の根拠が弱かったり、具体性に乏しかったりして、話に説得力がないこと。なぜその結論にいたったのかを分析し、根拠を伝えられなければ、結論だけをただアウトプットしてもあまり意味はないと感じます。

そんなとき、勉強などで培われたインプット能力は裏切りません。とくに話が上手ではなくても、インプットした内容を理屈とともにていねいに伝えれば、多くの人を納得させることはできます。

もちろん、ビジネスシーンでのアウトプットには、強いメッセージを発することや、ある程度の「はったり」感も必要かもしれません。でも、この社会は、なにもアウトプット型の人間だけしか活躍できない場所ではないはず。

もし自分をインプット型だったり、内向的だと感じたりする人は、むしろその事実を正面から受け止め、自分の強みを磨くことにぜひ集中してください。

この社会は、インプット型の人間に対して、不利にできているわけではないのですから。

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山口 真由(やまぐち・まゆ)
信州大学特任教授/ニューヨーク州弁護士
1983年生まれ。北海道出身。東京大学を「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け卒業。卒業後は財務省に入省し主税局に配属。2008年に財務省を退官し、その後、15年まで弁護士として主に企業法務を担当する。同年、ハーバード・ロー・スクール(LL.M.)に留学し、16年に修了。17年6月、ニューヨーク州弁護士登録。帰国後は東京大学大学院法学政治学研究科博士課程に進み、日米の「家族法」を研究。20年、博士課程修了。同年、信州大学特任准教授に就任。21年より現職。著書に『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA)などがある。

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(信州大学特任教授/ニューヨーク州弁護士 山口 真由)

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